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短編小説の本棚

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日常や現代ファンタジーの小説が多く含まれています。 たまに過酷なファンタジーもありますが、楽観的な作者の書くものです。 最後はきれいに纏まって読後は良いような気がします、たぶんで…
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2023年7月の記事一覧

いつか、また

いつか、また

 頬が痛い。顔を上げると目の前のパソコンが起動していた。画面に表示された時間は午後十一時を少し回る。取り敢えず終了させた。
 中途半端に寝たせいで眠気に見放されたようだ。イスの背もたれに引っ掛けていたパーカーを羽織る。ポケットの中の財布を確認して部屋を出た。
 軋む床をそっと歩いた。居間の光が廊下に漏れている。近づくと父親と母親が言い争っていた。
「正幸の不登校はいつまで続くんだ」
「わからないわ

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