マガジンのカバー画像

10年越しの夢を捨てる時が来た

12
どんな人生にも、希望はあると信じて。
運営しているクリエイター

#独親

10年越しの夢を捨てる時が来た #3

10年越しの夢を捨てる時が来た #3

 苦しくなかった訳ではない。むしろいつも、逃げ出したいほど苦しかった。息をしているのに、溺れて呼吸困難でいるような感覚が常にあった。

 夏菜子は小さい頃から「弱い子」だった。

 小学生の頃は、数ヶ月に一度は熱を出す子だった。風邪を引いたり扁桃炎を起こしたりインフルエンザに罹患したり、冬場なんかは毎月近くの小児科にかかって点滴を打たれていた。小さな子どもは注射針を見たら泣いてしまうものだが、夏菜

もっとみる