漫画家さん ③
次の日も
その次の日も
先輩とともに
彼女のお部屋を訪れた
当時の私でもわかる
衰弱
この方に明日はあるのだろうか…
証券会社時代には
考えたこともなかった
自分に置き換えることなど
できなかった
現実なのに
非現実だった
ご両親の心境
もちろん
ご本人のお気持ちも
想像もできなかった
言葉にできるような
絶望
とも違う
それより
もっと深い
もっともっと尊い感情が
渦巻いていた
廊下にご両親をお呼びして
彼女の状態を
先輩が伝える
涙を流すご両親
私は
マスクの下で
唇をギュッと噛んで
地に足が着いていることを確認して
とにかく
ご家族の前で涙だけは流すまい
と
必死で堪えた
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