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辛かった研修医時代の経験が、母親になって役立っている話

こんにちは。精神科女医のyumeです。

今回は、とあるXの文章を読んで、いろいろと感じることがあったので、思ったことを記事にしてみました。

私が読んだ記事はこちらです。

小児科の先生の書かれた文章を引用させていただきました。

この文章のなかでは、”研修医として働く苦しみと、母親になって育児をする苦しみが似ている”ということが書かれています。

私自身、この研修医と母親、どちらも経験しています。
その立場で思うことは、研修医時代に苦しんだ分、母親になってからの苦しみは少なかったなということです。

研修医の頃は、こちらの先生が書かれている通り、理想と現実のギャップに苦しみ、”なんで自分はできないんだ”、”他の先生に診てもらった方が患者さんは幸せだ”と心の底から思い、本当に苦しかったです。
(具体的には下記の記事をご参照いただければ幸いです)

なんだかんだ言って、おそらくプライドが高かったのだと思います。
学生時代も真面目に勉強した結果、まずまずの成績ではありましたし、部活動でもストイックに練習しており割と活躍したので、頑張れば何でもできるほうでした。
なので、”努力してもできない自分”に直面したのは初めてだったかもしれません。

それまでは努力して”できる自分”になってきていたのに、頑張ってもできない、それどころか頑張る気力すら奪われ、できない自分から脱却することができない、身動きが取れない、そんな状態が一番辛かったです。

だけど、あの時辞めずに、最後まで研修医を続け、初期研修を修了しました。その過程で学んだことが私の大きな財産であり、今の幸せにつながっています。


私は研修医生活を通し、できない自分に直面したことで、自分の限界を知りました。

その結果、ある種開き直れたというか、吹っ切れたというか。
出来なくてもいい。わからないことは人に聞こう。できないと言っていい。
人に頼ろう。
そんなふうに思えるようになったのです。

研修医時代の経験からこのような考えになったので、子育ては最初から一人でやろうと思っていませんでした。理想のお母さん像になんて自分には到底なれないので、最初から目指していませんでした。

私は子どもを妊娠する前から、実母には子育てのサポートをお願いし(お礼も支払っています)、その約束ができた上で妊娠に至りました。
里帰りの体制も整えてもらい、産前産後3か月間はお世話になるという予定も組み、予定の調整もしてもらいました。
そのため産後しんどい時は母が赤ちゃんを見てくれ睡眠時間を確保させてもらったり、息抜きに外出させてくれたりし、とても助かりました。

また夫とは子供を持つかどうかについても話し合いをしており、自分が子育てを一人でできる自信がないことを伝え、夫も積極的に関わることを約束したうえで妊娠しました。
また家事に加えて育児の負担が増すことに備え、子なし時代から家事を分業するように約束し、お互いがそれらをできるようになってから妊娠しました。
それらのおかげで、夫は産後に休みをとって育児に関わってくれ、実家から自分たちの家に戻ったあともスムーズに育児も分業できました。

そして内輪だけでは母や夫のストレスも増すと思ったので、公的サポートにも頼ろうと考えていました。
具体的には産後ケアに申し込み、助成の範囲内でできることをフルで活用しました。
また地域の子育て支援センターや民間の育児に関するイベントなどに参加し、保育士さんに相談したり、同じように赤ちゃんを育てているお母さんたちとも交流したりし、孤立感を感じないようにしました。

また自分や子供の健康については、専門家に意見を聞いています。
私は医者ですが、専門外のことは産婦人科医や助産師、小児科医に聞きます。
わからないことは専門家に聞いた方が何より安心。
産前は産科の先生に大変お世話になりましたし、産後も助産師さんに頼り、授乳や育児の相談をしましたし、健診ではその都度小児科の先生に不安なことや疑問に思ったことを聞いています。
とても丁寧に答えてくれ、大変ありがたいです。

するとどうでしょう。研修医時代よりは楽なのです。
あれ?赤ちゃんの子育てって大変じゃなかったっけ?
研修医の方が辛かったかも。
となりました。

もちろんこれは赤ちゃんの気質によるところや、家族の協力がどの程度得られるかにもよると思います。
私の場合は、赤ちゃんが比較的寝てくれるほうでしたし(ギャン泣きも寝かしつけに時間がかかることもよくありますが)、上記の通り自分にできる万全な体制を整えてから赤ちゃんを迎え入れることができました。

それもあって、もちろん子供も自分も体調崩してダウンしてるときなど、だいぶしんどい時もありますが、研修医時代に比べたら育児の方が楽だし、何より楽しいと思える時間が多いです。
楽しいと思えるから、子育てできていることに幸せを感じます。
そして母親である私が楽しく笑顔で子どもに関わることが、子供の幸せにつながるのだと思っています。

辛い体験も、巡り巡って幸せにつながるとはこのことだなあと思いました。

そして、こうも思いました。
研修医時代、人に頼ったり、できない自分も認められていたら、もっと研修医生活が楽しく有意義なものになっただろうなあと。

もちろんこの経験があったから今幸せになれたとは思うのですが、もしやり直せるとしたら、この考え方のもとでもう一度研修医をやってみたいなあと思います。

以上、まとめると、
研修医と母親の苦しみは似ているかもしれない。
でも自分の場合は研修医時代に苦しんだ分、母親になってから割と楽だった。
その理由は、研修医生活を通して、”最初はできない自分で当たり前”と思え、人に頼ることを覚えたから。

ということでした。


最後まで読んでくれてありがとうございました。
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ではまた。

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