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西暦2100年の空

2023年念願の新居建築 

 野鳥の彼等の会話が聞こえてきた。  「この辺りがいいかな〜」と新婦のウグちゃんが、新郎イスは「陽当りいいし、静かだしね。」と話し合い新居の場所を決めた。
 イスは小さな小枝を一つずつ組合せてトゲがないのを一つ一つ確認しながら新居を造り、新しい命が宿っているウグちゃんを気遣いながらも一生懸命働き新居完成まであと少し…。
 ウグちゃんが「がんばって…!」、イスは少し無口で多くは話さないけれど、“未来の父"の顔がほころんぶ。


建設途中

「最近、あの木に鳥が来るんだよね。」と、お隣なりの高城さんの奥さんに言われて莉緒は自分の家の庭の白樺を見上げた。
 高城さんに「鳥が巣を作ってるんですね〜」と、のんびり屋の妻の莉緒がのんびり話すのを待っていたかの様に、高城さんか早い口調で「家の屋根に止まって居たりして屋根キズがつかないか、心配で…。」
 高城は“迷惑"とは言わずに、巣作りを歓迎はしていなく、まるで有害物を見る様に無機質な瞳がウグとイスを見張っている。

 ウグちゃんとイスはこの歓迎されない会話を聞いていて、ロボットの様な高城さんの“無機質な言葉"に空を自由に飛ぶウグちゃんは、「高城さんも生物なのにね」とイスに話すと「高城は心を失ったロボットみたいな人だね。」
 春の陽だまりの中をウグちゃんとイスは子供達に囲まれ生きている。
 ウグちゃんとイス達種族はもうすでに人間の話す言葉を理解するくらいに進化している。


進化?、それとも退化?

 生物だと言う事を忘れてしまった冷徹な生物に成り下がってしまったこの高城と同じ種族の僕達は進化と言う名の退化をしてしまっていた。
 全ての基準が“自分にとって"有害、無害や利益の有無の基準線で観てしまう。
 合理的だと勘違いして“監視する癖"が身に付き、ありとあらゆる物を“ロボット化"してしまった。 
 身近な掃除すら任せっきり…。
 生きる為に必死に何かをする事は必要なくなり“生きながら死んでい生物"に。
 全自動化が進み歩く事も必要無い様な生活が音もたてずに進んで来ていて何もしなくてとも、暮らせる時代が到来すしたら…。
 もて余す時間は刺激だけを求めてしまい刺激が過激になり、“殺戮ボタン"を簡単に押してしまう。
 “自分の血を一滴も流さない"単なる機械だから、何も感じず簡単に…。
 嘘の様な話しは既に始まっていて、花火の様にミサイルを打ち嬉しげにしてる父娘がいるじゃない…!
 
 
西暦2100年

  あの時のウグとイス種族の末裔達は今日も自由に空を羽ばたき生きて、美しい声でさえずっている…。
 この星で“あの高城の種族"は、もはや空から見かける事はない。


 …………………… 終わり ……………………

 




 

 
 

 

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