見出し画像

南へ渡る白鳥

白鳥

 雪が溶けて春の香りがほんのりとしだし、渡り鳥の“白鳥”が北の方へ飛び立ち青い空を気持ち良さそうに羽ばたく。
 遥か遠いシベリアに向けて飛ぶ白鳥を寒がりの僕はいつも“何故、寒い処へ?”と思うが、白鳥は暮しの最適な場所へ移動する。
 移動は飛行機や鷲、鷹に襲撃される危険が有る中、や、天候に左右されながら、体力と運に任せながらも今居る場所よりも快適な場所が有ると信じて羽ばたき続ける。
 どうやら季節が変わると暑過ぎて、ここは白鳥達にとっては生きられない場所に変わるらしい。
 白鳥達は移動する充分な力と翼を持ち合せ、この場所に留まる事はない。

スズメ

 朝の凛とした春の空気はまだ冷たく、朝露が光る中スズメ達が合唱している。
彼等は寒い冬を身を縮め少ない食料を分合い耐え凌ぐ。
 もっと暖かく住みよい場所はあるはずなのにと思いながら、スズメは渡り始めた白鳥を羨望の眼差しで見上げる。
 スズメはその地域に根ざして暮らす鳥のようだ。
 凍えるような寒さと短い夏の猛暑を耐えながらも穏やかな春や色づく秋を楽しみながら暮らす。
 生まれた場所がスズメの運命すら決めてしまう、翼を持ち合せ羽ばたく事は出来るが白鳥の様な体力と大きな翼と太陽の位置で方角を知る様な能力を持ち合わせていないから、    生まれた場所が凍えるほど寒くても、どんなに暑くてもその場所で暮らす。



子鳥



 どうやら、スズメから白鳥が産まれたらしくピヨピヨと泣く“子鳥”が成長し羽ばたく時が来たらしい。
 この白鳥は寒がりで“南”が最適らしく“南方”へ羽ばたくが一緒に行く鳥達はいないけど、きっと大丈夫大きな翼は頑丈だから。
 
 この場所の桜が咲く頃には”子鳥”だった白鳥が翼を広げ飛んだあと!
 白鳥の飛ぶ先々は、晴れ晴れと!
南の白鳥の喜楽を願い、哀淋の時は戻っておいで渡り鳥への思い。
 でも、飛べなくなっらスズメが必ず飛んで行くからね!!

 
 ……………………おしまい……………………

 








 
 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?