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#異伝
機動戦士ガンダム 一年戦争異伝 【ゴーストクロニクル】 第30話 熱戦のイヴ〜前編〜 《series000》
『G2、聞こえるか? 今から想定 A1のセッションを開始する』
バトラー少佐の声がコックピットに響いた。コンソールの上部に描かれたG2の文字をチラリと見遣ると、改めて、よく通る声だなとクラウザーは思った。
メインモニターにはルウム暗礁宙域が広がっている。11時の方向に半球の地球が見える。上部に明滅するLive Simulation Modeの文字が、これが仮想であることを告げている。
『こ
機動戦士ガンダム 一年戦争異伝 【ゴーストクロニクル】 第29話 The Commander's Convergence with the Top Secret 《series000》
「ブラックヴォルトとは、突撃機動軍に鹵獲されたルウム13バンチを軍事要塞に改装した物。そう言ったね、HOLO」
P004ファースト・オペレーションズ・オフィサー=カイン・イン中尉は、この時もいつもの様に冷静だった。相棒と互いを任じ合うアダムが、この時ばかりは激しく動揺したのとは対照的だ。
「イエス、カイン」
P004AI作戦参謀官HOLOが、明朗な返答を返した。
P004、Brief
機動戦士ガンダム 一年戦争異伝 【ゴーストクロニクル】 第28話 Free Fray in Brief Chamber One 《series000》
P004、Brief Chamber 1──
AI作戦参謀官と作戦詳細相互理解を行う為の空間だ。チャンバー1はファーストクルー以上のブリーフィングに使われるのが通例である。
室の上座のやや高台には、4列16席のブースシートの居並びを見下ろす事が出来る様に、斜め向きに据えられたキャプテン・ブースシートが設置されている。そこに座るP004指揮官=ロイデ・アームオン大佐は、各個のブースシートで作戦
機動戦士ガンダム 一年戦争異伝 【ゴーストクロニクル】 第27話 小さな諜報戦 part 4 《series000》
カイルのモバイルに、次々と自己消滅したらしい機能停止ボットのレポートが届いていた。どうやら先程の大型艦外作業ロボットが、皮切りの様だ。
「……自己消去ボットの報告が連続しています。WW、SS、CC、QQ、MM、他にも出そうです。恐らくこの艦のABの1割弱に及ぶと思われます」
モバイルをポーズして、カイルはアームオンに視線を向けた。
「うん──さっきの大型艦外作業ロボットがスパイ中枢だった
機動戦士ガンダム 一年戦争異伝 【ゴーストクロニクル】 第26話 小さな諜報戦 part 3 《series000》
「機械! た、確かに──AI作戦参謀官が諜報活動を行うなら無敵だ! P004のナビゲーターなら全ての情報にアクセスできる! それに──盗み聞きでも、そもそも最強だ。Navigational Codexを破るなら、彼はクルーのOperational Voicesに限らず、プライベートでの会話や独り言まで、艦内で発される全ての発言を記録できる! ま、まさか──ホ、HOLOがスパイなのか!? それではも
もっとみる機動戦士ガンダム 一年戦争異伝 【ゴーストクロニクル】 第25話 小さな諜報戦 part 2 《series000》
「もし飛行機に乗らなかったら、後悔することになる。多分すぐにはない。でも、いずれ後悔する」
闇深い夜、遠くの滑走路の灯りがぼんやりと二人の男女を照らしていた。男は深刻な面持ちで女を諭していた。
女の目には涙が溢れている。しかし、彼女は彼の言葉の真実を受け入れる覚悟を決めていた。
「私たちはいつもパリを持っているわ。私たちにはそれがあるの。私たちが失ったものと引き換えに」
彼女は静かに、
機動戦士ガンダム 一年戦争異伝 【ゴーストクロニクル】 第24話 小さな諜報戦 part 1 《series000》
「第四デッキ管制よりG4、 オートパイロットで着艦せよ」
『了解した。オートで着艦する』
「G4、目視確認、問題なし、機体外部に異常は確認できない」
管制タワーと外宇宙を隔てるクリアービューポートに投影されるG4を見つめる管制官が報告した。
「……G4、アプローチ、問題なし。フォローを継続する」
タワーのベクターディスプレイに表示される線画のG4の数学的軌道パスをチェックしながら、も
機動戦士ガンダム 一年戦争異伝 【ゴーストクロニクル】 第23話 出撃!64-TET DOM 《series000》
『ファルコンネスト、ウォッチママよりアップル1、聴こえますか?
ミッションを進行させてください』
パイロットシートで、まだベルトを掛けようとしているアインに、フレイアからの通信が入った。ベルトフックがしっかりと刺さっていることを感触で確認して、バックルをプレスする。滑らかな衣擦れ音と共にベルトに圧迫されるのを感じながら、アインは小さく、やれやれのジェスチャーをして見せた。
「なんだか張り切
機動戦士ガンダム 一年戦争異伝 【ゴーストクロニクル】 第22話 EVFFFの十傑 《series000》
────サイド5暗礁宙域。
一年戦争初期に行われた、ルウム戦役によって生まれた暗礁宙域だ。最大の戦いと云われるルウム戦役の戦闘規模に比例して、このルウム暗礁宙域もまた最大の広大さと深さを有している。その暗い海の底に、静寂に包まれた黒い影が潜んでいた。
────Codename Black Vault
その姿を一見すれば、まず最初に開放型のスペースコロニーだと思う。
しかし次に、全体
機動戦士ガンダム 一年戦争異伝 【ゴーストクロニクル】 第21話 OPERATION SILENT MAPPER 《series000》
『第四デッキ管制よりG4、 オートパイロットで着艦せよ』
「了解した。オートで着艦する」
クラウザーは自動操縦にバトンを渡した。そのまま、コンソールに流れる文字列が全てグリーンである事を確認している。未だ母艦はミノフスキー粒子の戦闘濃度散布を続けているからだ。着艦操作をしているローカライザーに通信障害が発生したら、マニュアルに戻さなければならない。
P004の左舷端、第四デッキの先端、発艦
機動戦士ガンダム 一年戦争異伝 【ゴーストクロニクル】 第20話 仕舞い 《series000》
ヴィーー!! ヴィーー!!
本能的に危機を直感させる様に造られたデンジャーベルが、けたたましく鳴り響いた。
同時に、造られた訳でなくとも生存本能を刺激する破壊の振動が、船体を伝わってくる。
「対ショック防御解除! 損害を報告しろ!!」
追撃艦隊2番艦。艦長にして現艦隊指揮官=オルドー・ゼスト大尉の命令が飛んだ。
「核融合炉動力伝達主経路損傷! 直ちに誘爆回避されたし──」
バァ
機動戦士ガンダム 一年戦争異伝 【ゴーストクロニクル】 第19話 魔女の胎動 《series000》
G4のスナイパー・スコープ・ウィンドウに、ムサイ級2番の後姿が映っていた。
G4は敵艦隊の展開するエリアを駆け抜けて、その先で180度旋回をした。後進姿勢でスナイパーポジションを取り、非常に大きな相対速度でどんどん敵艦隊との距離を開きながら狙撃に入ろうとしている。全て、シュアルの指令書の通りだ。
クラウザーは、G4が潜航突入で交戦エリアをすり抜けた後に起動するのは、当然、敵艦隊の眼前だと思
機動戦士ガンダム 一年戦争異伝 【ゴーストクロニクル】 第18話 プレイメイカー ウィズ ゲームメイカー 《series000》
「メインエンジン停止。セーフティロック。予備電源、フリーゲージOK。400分以上のステルス行動が可能。ミッションに入る──」
『G4シフト。ミッションチャンネル交信を流動へ。パーソナルコード通信を固定せよ。P004コマンダー、シュアル・オファー中尉です』
潜航突入の準備を整えているクラウザーに、シュアルが申告した。
「ラジャー、G4。この回線をメインに固定。──クラウザー・ラウザー中尉だ。