scene 014 「30秒だ」
操舵手を失った4番艦は、メインロケット噴射の軌跡を錐揉ませながら暴走していた。
スロットルはロックされているようだ。最大戦速のままだ。加速Gが緩まないどころか、螺旋蛇行しているおかげで更に強烈な負荷になっている。席を立つ事はおろか、横を向くことすら困難だった。
更に、敵艦からの砲撃も無くなってはいなかった。強かにチャンスを逃さず、撃沈を狙っているのだろう。
(主砲手が無事だったのは九死に一生だった。よくぞ、敵砲を受け流してくれている。だが──)
血まみれの口にマ