ゴーストクロニクル

UC0079 GUNDAM styling work【GHOST CHRONICLE】…

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UC0079 GUNDAM styling work【GHOST CHRONICLE】機動戦士ガンダム一年戦争異伝 https://lit.link/GHOSTCHRONICLE

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  • 機動戦士ガンダム ゴーストクロニクル series 000

    UC0079 GUNDAM styling work 【GHOST CHRONICLE】機動戦士ガンダム一年戦争異伝 series 000

最近の記事

scene 014 「30秒だ」

 操舵手を失った4番艦は、メインロケット噴射の軌跡を錐揉ませながら暴走していた。  スロットルはロックされているようだ。最大戦速のままだ。加速Gが緩まないどころか、螺旋蛇行しているおかげで更に強烈な負荷になっている。席を立つ事はおろか、横を向くことすら困難だった。  更に、敵艦からの砲撃も無くなってはいなかった。強かにチャンスを逃さず、撃沈を狙っているのだろう。 (主砲手が無事だったのは九死に一生だった。よくぞ、敵砲を受け流してくれている。だが──)  血まみれの口にマ

    • scene 013 ミラキュラス

       ビームが、進行方向に被さるように撃ち込まれた。  G1が、滑らかに旋回しながらそれを越えて行く。逆噴射どころか、横方向へのベクトル変更すらしていない。 (撃ってくる奴が変わったか……)  バーニアが左後方へ向けて噴射され、スッと機体が右前方にスライドする、と、すぐに右後方へ噴射され、左前方に反復したように帰る。フェイントに引っ掛かったかのように、G1の右方を通り過ぎるビームが後方に消えていく。二度の噴射は加速ベクトルをさらに増加させていた。 (凄腕のサプレッサーの動

      • scene 012 ネバーギブアップ

         「…………オペレーター。旗艦より発進の4機と、狙撃2機が、突入する様だ。見えているか?」  ウルザンブルン艦隊2番艦のブリッジ。キャプテンシートに座するオルドー・ゼスト大尉が、上方スクリーンを見つめながら尋ねた。  その目は不審者を見るように細められ、その声は訝しげだ。  艦の目であるオペレーターに向かって、見えているか? などと、問うたのには理由がある。  スクリーンに映る6つの光点は明滅している。その明滅パターンは、彼等が発している友軍識別の為の暗号を、複合化した位

        • scene 011 阿修羅の戦士

          「敵機撃墜!! ザクです! 先制しました! スコアはG1!」  最大戦速の強烈なG、敵艦隊の嵐の様な砲撃を受けての激しい衝撃と、眩しいスパーク。平衡感覚がどうにかなってしまいそうな程に狂おしいP004のブリッジで、インフォメーションが轟いた。  オペレート・オフィサー=カイン・インだ。  音など聞こえるはずがないと錯覚しそうなこの状況で、その声はとてもよく聴こえてくる。声量に溢れていて、しかし、何処か平静で、叫んでいるように感じない。 「よし!」 「や、やったわ!!」

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        • 機動戦士ガンダム ゴーストクロニクル series 000
          15本

        記事

          scene 010 White shoot Red shot

          「sniper mode」  機械的な擬似音声がした。機体の多数のギミックが、細かく切り替わる複雑な振動が、小さく伝わってくる。  激しいメガ粒子砲撃を受けて雷光迸るP004を盾にする後方に位置取って、ビームライフルを構えるG型がいた。G4=クラウザー機だ。  ────君をP004のMSPとして迎えたい────  今、クラウザーはP004のMSPとしてG型を駆っている。ただし、チームとは連携していない、単独展開だ。  この艦に収容を受け、特殊な処遇と特例的な艦長の意向

          scene 010 White shoot Red shot

          scene 009 激闘の予感

          「……! 高熱源体多数発生! 敵MS! 艦隊進路上! 先刻の二頭立て再捕捉地点!!」  追撃艦隊1番艦『ベルセルク』でオペレーターが叫んだ。 「なにいいいいい!!? 本当に!! 居たのか!!?」  ブリッジの空気が震える大音声が轟いた。呆気に取られた大口を開けている、ベルセルク艦長=ワーデン大尉だ。  続いて、怒号とも響めきともつかない、ざわめきが起こる。 「コミュニケーター! 全艦隊に通達! 突破戦闘の艦隊指揮を追撃艦隊2番艦の艦長にやらせろ!」  奥のソファーで

          scene 009 激闘の予感

          scene 008 テイクザリード

           P004のブリッジは、推力80%の高加速で振動していた。  舵を取るエレンは、立座の姿勢で操舵手席に身を預けている。  普段は背を合わせるカインとアダムの座席も、90度回転して今は進行方向を向いている。  そして、カインが見つめるディスプレイには4つの光点が瞬いていた。と、突然に、光点が増えだした。 「敵艦隊より高熱源体分離! 熱源、レベルC! ザクです!」  カインの声が響いた。 「ええ!?」  エレンが後ろを振り仰いだ。その滑らかに捻られた姿体には、加速中の高G

          scene 008 テイクザリード

          scene 007 ノルンの三銃士

          「……! 艦隊進路前方に高熱源体発生!」  追撃機動艦隊1番艦『ベルセルク』のブリッジで、オペレーターの声が轟いた。 「なに! 二頭立てか?」  振り向いて、ワーデン大尉は叫んだ。 「ヤー、艦長! 間違いありません、二頭立てです! 先程の戦闘宙域です! やりました、再補足!」  ブリッジに歓声があがった。ワーデンはギュオスを振り仰いだ。 「お見事です、少佐殿! しかし、良く当たりましたな!」  嬉しそうに言うワーデンの言葉に、ギュオスは苦笑した。 「貴様が教え

          scene 007 ノルンの三銃士

          scene 006 スクランブルエッジ

           パパパパ……  コマンド・コンソールのモニターに、クラウザーのシミュレーションデータ結果が表示された。 (ノービス…じゃないの! なによ、使えないじゃない! 何処が天才よ! ばかみたい!) 「パワーレベル100になりました。機関起動終了、です……」  ブリッジクルーのとりどりの報告に混じって、エレンが言った。  戸惑う様に振り返り、艦長を、そしてシュアルを見た。 「コマンダー 、MS発進は未だ終わらないのか? 時間が、かかっているようだが……」  アームオンは前

          scene 006 スクランブルエッジ

          scene 005 運命のはじまり

          「これは……」  P004のブリッジ後方、高くせり上がったオペレーターシートの上で、オペレート・オフィサー=カイン・インは呟きを漏らした。嫌な予感を含んだ……と言うべきか、何かを怖れている様な声だ。 「どうした?」  オペレーターシートの下、階段状のシャフトに据え付けられたキャプテンシートに座る、ロイデ・アームオン艦長は、静かに問い質した。 「敵追跡艦隊、進路変更しました!」  ブリッジに、緊張が走った。 ・・・・・・・・ ・・・・  第4デッキをぐるりと廻るキ

          scene 005 運命のはじまり

          scene 004 砂浜の一針

           ────暗礁宙域。  それは、大きな戦いの跡に生まれる暗い海である。  無数に漂う破壊された巨大兵器は、かつての面影をありありと残し、その死に切れなかった動力は半永久的な核の鼓動を打ち続ける。  電波探知、金属探知、熱源探知──宙域を見定めるあらゆる目は惑わされ、鋼鉄の亡霊と息ある艦隊を見分けることは難しい。  ここはソロモン海。連邦軍要塞コンペイトウの周りに広がる視界ゼロの迷宮。  今、空前の規模の連邦艦隊がこの港に集結していようとも、招かれざる客の往来を見通すことは出

          scene 004 砂浜の一針

          scene 003 BREAK THROUGH

           ────P004の4番デッキ。  そこは、巨大な機械の講堂とでも言うべきだろうか。  高層ビルの10階分を、全て吹き抜けにしたような高い天井。プールがすっぽり納まる幅で、数百メートルを伸びる空間。  その先一方の壁は、今は開いている。城の巻き上げ橋が下ろされたように、ぼっかりとトンネルの出口を覗かせている。  ただ、その向こうに見えるのは明るい地上の風景ではなく、星辰瞬く宇宙空間だ。  数十人からのノーマルスーツ姿が、デッキのあちこちに天地無く浮かんでいた。  何本もの

          scene 002 ゴーストソルジャー

          「クラウザー・ラウザー中尉!」  通路を隔てる白いドアーに向かって、クラウザーは声を張った。中ほどから覗いているレンズが、素早く瞬いたように見えた。  小気味の良い電子音が鳴り、キーロックが解除された事を告げる。  ここからのエリアは艦長の為の空間だ。クラウザーはいつも、このエリアに入る時は緊張する。それが、長く乗り合わせた艦であっても。 「入ります」  誰も居るはずの無い扉の向こうに挨拶をして、クラウザーは歩を進めた。  視界が開けると同時に、通路の両側に立つ2名の兵

          scene 002 ゴーストソルジャー

          scene 001 絶望のジルバ

          熾烈と混迷を極めた、人類史上初の宇宙大戦「UC0079 一年戦争」 無音の空間に散った無数の魂が鳴き叫く戦場で、今ここにもまた、己の存在を勝ち得るために命の咆哮を轟かすパイロットがいた。 「くぅ……ぅおおあああー!!」  食いしばった歯からもれる呻き声は、一瞬の後、強烈なGから開放されて雄叫びに変わった。  掠めるように抜けていくビームの光が、サイドモニターを白く染めた。  一瞬の差で命が繋がり、すでに何度目かの、これ以上は無い冷たい汗が背筋を迸る。  休むことなくス

          scene 001 絶望のジルバ

          scene 000 イントロダクション

          scene 000 イントロダクション  ────UC0083、12月4日──── 「顧みろ!」  猛獣の咆哮を思わせる、聞く者の心に直撃してくる太い声が響いた。 「今回の事件は地球圏の静謐を夢想した、一部の楽観論者が招いたのだ!」  演説の壇にしてはやや暗い、薄くヴェールに覆われたかのような照明演出の中、拳を持ち上げ聳え立つ大男が熱弁を揮っていた。  体格に相応しい大きな頭。その上に乗せた軍帽が、小さな烏帽子の様に見える。 「──また3日前、北米大陸の穀倉地帯に

          scene 000 イントロダクション

          【機動戦士ガンダム】MOBILE ARMOR(モビル・アーマー)〜ビグロ誕生〜

          【GHOST CHRONICLE】におけるMA 相対する敵機はビーム装備の大型機動兵器。最新データにあがっていた奴だ。 (ビグロ……だったな!) 不気味で、薄汚れた暗褐色。Gm117を遥かに上回る巨体。 そして、そのずんぐりとした三角形の機体に灯っている一つ目に 否が応無く 畏怖心を煽られる。 それがこの上なく腹立たしく感じられた。 機動戦士ガンダム ゴーストクロニクル series000 scene 001 - 絶望のジルバ - より 全文はこちら  オリジナル

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          【機動戦士ガンダム】MOBILE ARMOR(モビル・アーマー)〜…