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道草

日々の生活の記録/切り取り



1.登校出勤時間

毎朝、家から駅まで歩いている。
会社勤めであるから、特に考えがなければ同じ時間に同じ道筋をを歩くこととなる。
面倒に感じることもあるが、やもすれば引きこもりがちで運動不足である私にとっては貴重な運動時間である。殆ど毎日、同じ道を同じ時間で通るのでだいたい同じ時間に登校している同じ学生と一緒になる。
去年までは男子学生だったが、今は女子学生である。
一緒になるといっても、彼女らが歩いているのを私が追う形になるか、彼女らが少し後ろを歩いてくる気配を感じるかぐらいである。
同じ時間の同じ車両の同じ位置に乗る人で顔見知りになっていく感覚である。彼女らは楽しそうに話している時もあるし、黙って歩いている時もある。また、時には片方が休みなのか一人で歩いている時もある。
そんな時はなんとなく私は片方の彼女の遅刻だか体調だかを暗に心配してみたりする。
 社会人になって随分経つが、彼女らとだいたい同じ空間で歩く時は、登校しているような気分である。とはいえ、駅前になると彼女らは学校の方へまだまだ歩くのでそこまでである。私にとってはここから出勤時間が始まる。   彼女らが前を歩くときはその背中に向かい、気をつけてなと心の中で暗に無事を祈る声をかけてから改札を通るのが今の私の日課である。