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【刀剣】山鳥毛を追いかけて〜前編・岡山と関〜

刀剣の鑑賞をするようになったのは、2015年に地元福井で行われた「エヴァンゲリヲンと日本刀展」からでしょうか。
それまでも興味はあったのですが、やはり”難しい世界”というイメージが非常に強くて……。
そんな中で知って、足を向けた日本刀とアニメ作品とのコラボ展は、初心者の私には非常に入りやすく、以降地元でお刀の展示がある度にちょこちょこと見に行くようになりました。

そして、2017年に同じく地元で開催された「刀に彫る」展。
研師の男の子が主人公の漫画作品「KATANA」でおなじみの、かまたきみこさんが美しいメインビジュアルのイラストを飾った、刀身彫刻にスポットを当てたお刀の展示会。
そこで出会った東博所蔵の長船景光の太刀の姿に物凄く衝撃を受け、県内だけではなく県外の展示にも遠征の際などに足を運ぶようになっていくように。

後に東博で小竜景光も観る事が叶いましたが、やはりこの2017年の展示の際に見た景光が忘れられず……。
もうねスーパーモデルみたいに格好良かったのよ!
えっらい格好良かったのよ!
そんでシュッとした姿に彫ってある龍は可愛くて。

まぁ、そんなわけで徐々に鑑賞する機会が増えてはいったのですが、私が「山鳥毛」という刀の存在を知ったのは、上越市が買い取りを検討しているというニュースをテレビで見たから……という所からでした。。
ええ、浅学なため上杉謙信は知っていても、上杉謙信の刀は全然知らなかったのですよね。。
テレビ画面にパッと映し出された山鳥毛を見て、またも衝撃が走りました。

「え? 鳥の羽毛? え? 何が、どうなってるの????」

プワ〜っと、もわ〜っとした刃文が刀身にびっしりと浮かんでいて、映像(静止画でしたが)は数秒程度だったのですが、もう本当に第一印象は、
もの凄い羽毛
お値段についても報道されていましたが「まぁ、それくらいは余裕でするだろうな……納得」という感じ……。

その後買い取りを断念されたというニュースも目にしましたが、ともかく「私が直接見ることは出来ない刀なんだろうなぁ〜」という……今にして思えば浅学にもほどがある思考回路だったわけなんですけど、その時はそう思い込んでいたのです。。うううおバカ。。

で、再び山鳥毛を目にする事になったのは、本当にごく最近、2019年末、刀剣乱舞における山鳥毛実装にて大々的に報じられてからです。
その時になってやっとやっと私は、今度は岡山県の瀬戸内市がクラウドファンディングやふるさと納税を活用し、購入を目指していることを知りました。本当にそれまで全然1ミクロンも知らなかったの……。
一口佩刀という企画もそこで知り、応援のため完全に勢いで寄付しました。

山鳥毛をこの目で観たい!
いやもうとにかく、観たい。観たいったら観たい。
後はみなさんご存知の通り、凄い勢いで寄付金が増え……目標金額を達成し……里帰りの交渉中くらい? だったのでしょうか、ついに岡山県立博物館で送り出しの展示が決まりました。

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2020年2月末、気がつけば私は岡山にいた。
初めての岡山。
一口佩刀で貰ったサンクスパスポートを携帯のカバーのポケットに忍ばせ、岡山駅から後楽園まで……私は歩いた。

いや、なんで歩いたんだろう?
って思う程度にはまぁまぁ距離があったので、後楽園まで路面電車なりバスなりで行くのがベストだと普通に思いますが、田舎者マインドなので歩けるなら歩いちまうんですわコレが。。
なんなら帰りも歩いたし、二日目も歩いて行ったし(オススメはしない)
2月末というとまだまだ寒い時期ではあったんですが、徒歩で身体を動かした北陸の民にとって、岡山の気温はなかなかの暖かさでした……着く頃には興奮もプラスしてまぁ汗だくでしたわよ。。天気も良かったし。

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料金を支払い、ロッカーに荷物を……っていうか上着を預け、常設展などもじっくりと回りながら(備前焼の展示は2Fにあり、これは二日目に堪能)そろそろと、特別展のブースに近づいていく。

今回は写真撮影可能ということで、愛機Nikon Dfをしっかりと肩にかけて。
刀の展示で写真撮影が可能なパターンが初体験だったので、もうどうやって撮るべきか、どのレンズにするべきか、偏光フィルターは要るのか等、死ぬほど悩んだんですが、結局マクロレンズ一本での勝負でした。。

入り口付近、ポールで順路のしきりをしてある手前で、パンフレットを貰い(家に帰ってからラミネートした/↑写真参照)いざいざご対面!
この日は平日でしかも夕方だったので、物凄く人が多いというわけではなかったのですが、それなりに数名連なるくらいの人出でした。

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展示室入ってすぐのケースの角に、山鳥毛は展示されていました。
つまり待ってる段階で、茎側からお背中(棟)は鑑賞できてしまうわけです。
ご覧の通り、逆側はほぼ見えない仕様。
奥側にはずらりとその他の刀剣の展示も。
ちなみに最前列での鑑賞でなければ、普通に後ろから眺める事も全然可能でした。

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鎺を狙って撮った棟……この重ねの厚さ……。
そして、

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息止まります、本当に。
写真はクリックすると拡大表示されますので、良ければクリックしてみてください。
中望遠のマクロレンズ(Tamron 90mm)での撮影なので、近距離では全身の撮影はできないのですが、

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列外れて後方からであればなんとか全身図も。
光の反射をなるべく消しつつ、刃文は見えるように頑張りましたが、初めての刀の一眼レフ撮影……むっずかしかったです。
でも初めてがこのお刀ですごく嬉しかったし、たくさん撮影させてもらえて本当に有り難かったです……ありがとう岡山県立博物館さん!

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技術がない分、とりあえずシャッター数切るべし!
っていう感じだったのですが、本当に光の当たり具合で見え方が変わるといいますか……全く見飽きないです。ギラリと派手な瞬間もとてもいい!
特に、

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若干ブレてますが。。
切っ先部分に揺らぐように薄く入ってる刃文("刃文"でいいのかな? 帽子が正しい?)が好きです。とっても綺麗でお気に入りの箇所。
(凄い余談ですけど、割と最近まで刃文の「文」は「紋」だと思ってました……)

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記事のヘッダーにさせてもらった写真。
大きな刀傷は実際戦闘に使われてた証なのだそう。樋にも小傷が伺える。
この刀はその傷を受けて、当時の主人を守れたのでしょうか?
きっとそうだといいですよね。

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二日間のゲリラ旅で、その他後楽園も周り、岡山城も周り(岡山城内にも刀の展示がありました)、倉敷でアフタヌーンティーしたり、お人形の展示を見たり、岡山県立博物館でも様々な展示及び刀を拝見し、それはそれは濃ゆい内容となり、写真も撮影しましたが、既に山鳥毛だけであの枚数となっておりますので割愛します……。。
それだけ充実した岡山の旅でした……いやーちょっと時間足りなかったですね。。

しかし、話はここで終わらなかった。
長くてごめん。

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約一ヶ月後の3月後半。
今度は私は岐阜県関市にいた。

岐阜は隣県ではありますが、関市に来るのは初めて。
いよいよ移動規制がかかってくるかも?……というギリギリのタイミングでした。
実際4月に入った途端完璧な移動規制となったので、以降半年以上は自粛になるわけですが。
ともかく、何故兼定や孫六のお膝元な関市なのかというと、丁度この時、関鍛冶伝承館さんにて蛍丸写しと石切丸、そして山鳥毛の写しも展示されていたからです!

現代の刀匠さんが打った山鳥毛の写しが見たい!

と思い、衝動的に車で山を越えました()
霧が深い朝に、Google map大先生を頼ってえっちらおっちら3時間(長良川鉄道に乗りたかったので、途中からは運転してませんが)
いやもう本当Google map大先生のおかげで行動範囲がめちゃくちゃ広がったなと思います……たまにとんちんかんだけど、大抵なんとか目的地に着くもんな……。
ありがとう文明の利器!

岐阜まで来て伝承館さん開いてない! みたいな事態は避けたかったので、車の運転から長良川鉄道に切り替えるタイミングで、伝承館さんに電話して開館してるか一応確認。この日もとっても良い天気でした。空が青い〜!
刀剣専門の博物館は、両国にある刀剣博物館に行って以来だったのですが、関鍛冶伝承館さんもすごく充実した展示でありました……ナイフ系の展示もあった。
もう少し近かったらガンガン通うのですが……絶妙な距離なのよね。。

平日なのもあって、ほとんど貸し切りみたいな館内。
「ウッホ贅沢〜!」と思いながら館内を眺めていると、特別展示のあるブースの入り口手前のところで、職員さん達らしき方々が何やら新しい体験型展示品を設置しているよう。
ならば、と設置完了まで少しだけ待って、早速体験。

……ええ、このツイートの写真の2枚目のへっぴり腰女が私でございます()
正しく蛍丸写しの火造りを持ってみよう体験者第一号だったので、職員のお姉さんに激写されました(笑)
で、肝心の蛍丸写しの火造りですが、めっちゃくちゃ重かったです……。
重っ……えっ? おっっっっも!」って感じ。。
長さがあるから余計に重く感じるというか……一応女性でも持ち上がるけど、これを振り回すとかまずもって無理だし、そもそもこれ打つのが大変そう。。。。職人さん凄いです……。

一通り蛍丸写しの火造りを体験したあとは、いよいよ特別展のブースへ。
横に細長いブースで、展示ケースは黒。
そして目玉である蛍丸写し、石切丸、山鳥毛写しは縦型展示でした!
このうち石切丸以外の二振りは撮影可能……ということで、しっかり持って来たDfで撮影しました。

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やっぱり息が止まる……縦型展示はまた趣が違って良いですね!
そして黒背景は締まりがあって、刀が浮かび上がって見えるのも魅力的^^
吉田正也刀匠によって打たれた、平成も末も末生まれの山鳥毛写し。
新しい刀のキラッキラの輝き、本当に綺麗です〜!
写しと本歌を割と近い期間に見に行けたのは、凄く幸運だったなと思います。
写真も撮って見比べることが出来るのも嬉しい……。

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これはスマホで撮影した方の写真。
こっちの方が全身撮るのは適してたかも。
今気がついたけど縦型展示、これ茎のところのアクリル板でのみ支えてるのでしょうか?? え、地味に凄い気がするのですが……。

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蛍丸写し。この刀は本当に大きくて、反りもめちゃくちゃ深くて、すごくカッコよかったのですが、中望遠レンズでは普通に画角に収まらなかったので()最後のスマホ撮影が一番上手く撮れてました……。
3振り作刀された写しの中でも一番反りの深い影打ちが今回の展示で、反りの深い太刀が好きなので嬉しかったです^^
資料見たら反り4.1cm、全長135.1cmでした……おっきい……。

撮影不可だった石切丸は、石切神社の宝物殿と京博で過去2回お会いしていて、今回で3度目ましてでした。1度目も2度目もかなり人が多い中での鑑賞でしたが、今回はもうほぼほぼタイマンだったので、非常にありがたかったです……じっくり向かい合って来ました。
お隣に展示してあった蛍丸写しと比べると、刀身は短く(と言っても75cmは普通に越えてるのですが)細っそりとしていて、あんまり大太刀的な豪壮なイメージは無い感じ。
殆ど鏡面みたいにピカピカした刀身に、自分の顔が写ってちょっとドキリとした。

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一通りお刀を堪能した後は、関鍛冶伝承館さんのすぐ横にある濃州関所茶屋さんで一服することが出来ます^^
ご飯も食べれるし、刀剣関連のお土産ものもあるのですよ〜!
私は鐔チョコを買って帰ったのですが、日本刀アイスも食べたかったな……。
今回は途中から電車だったけど、次来る時は伝承館さんまで車で来ようかな〜と。

というわけで、ここまでコロナ禍直前の山鳥毛追っかけレポートでした。

その後、長い県外遠征自粛期間に入り、自粛期間中に山鳥毛は正式に瀬戸内市に里帰りを果たし、そして備前長船刀剣博物館にて9月半ばより里帰り展示として再びお目見え……! となるわけですが、その話は追っかけ後半に続きます。

ここまで非常に長々とお付き合い頂きありがとうございました……!
後半も長くなりますので、物凄くお暇な時にでもお付き合いくださいませ。。

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