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2023年7月26日

 2016年以降、毎年7月26日にこの場所に文章を書くことを続けています。  今年の現時点で、僕は余裕がない状態になっています。これは、2016年のことと直接は繋がっていません。つまり、過去でも、現在でも、施設で生じたことが自分の状態に直接影響を及ぼしているわけではないということです。    現在、僕は様々な場所で臨床をする日々になっていて、決まった場所に一週間のほとんど滞在する過ごし方をしていません。いくつかの場所で携わっている診療の中の一つの場所で生じたことに、今の自分

    • 2022年7月26日

       去年の記事を読むと去年の今日も外来の日だったようです。今の勤務先での外来は週に1回。同じ日付で2年連続外来をやるというのは、曜日が変わらないと無理です。そしてそう、2022年4月から外来の曜日が変わったのでした。  外来の日は1日中緊張しっぱなしな気がします。あまりに人数が多いと、お待たせしてしまう時間のことも考えるので、時間との戦いになります。限られた時間で、どのような交流ができるだろうか。どれくらい対話的であることができるだろうか。時間を限ってしまって良いのだろうか。こ

      • あれから5年

         毎年この日、考えていることを書き留めるようにしています。今日は外来の日でした。僕の勤務先では、外来は午前午後の通しなので、朝から夜まで話をし続けることになります。今日もたくさんの人にたくさんのことを教えてもらいました。毎週来る人、隔週の人、毎月の人など、通院頻度は人それぞれですが、みなさん、本当に色々な体験があったり、色々なことを考えたりしているのだなぁと日々感じます。  週に一日半は訪問診療に行きます。何かしらの理由で通院することが難しいから訪問してお話しにいくわけで

        • あれから4年

           2016年7月26日から4年が経ちます。僕は変わらず、病院や施設での勤務を続けています。事件の直接的なことについては、様々なところで議論され、記事にもなっていたりして、それらを読んだり読まなかったりしています。4年前、事件直後の報道はほとんどみられませんでしたが、だいぶ読むようになりました。僕が非常勤で勤務していた時に最もかかわりのあった看護師さんとは、本当に時々ですが連絡を取って、園のことやそれ以外のことを聞いたり話したりしています。 毎年、この日に思うことを、まとまり

        2023年7月26日

          あれから3年

           2016年7月26日に津久井やまゆり園で起きた殺傷事件から3年。 事件数日〜数週間後、負傷されて救急病院に入院している方々の次の居場所がなかなか見つからないという状況がありました。それで自分が勤務している病院で受け入れられるように精神科部長や病院の理事長にお願いしたところ、あまり稼働していない病棟をまるまる空けてくれ、何人かの方々に数週間ほど入院してもらったのでした。みなさん、負傷後適切な処置を受けていたので身体的には比較的元気。その病院は内科や外科病棟も併設された比較的

          あれから3年

          あれから2年

          「分かりきれなさ」という距離感を 2016年7月26日に津久井やまゆり園で殺傷事件が起きてから2年が経ちます。僕は2年前と変わらず、総合病院の精神科に勤務して、一般的な精神科診療に日々従事しています。2016年に事件が起こる約4ヶ月前まで、津久井やまゆり園に非常勤の嘱託医として月に数回勤務していた僕は、事件後に何度か園に行って、一緒に仕事をしていた看護師さん達に話を聞き、衝動的に「いろいろな目線」という文章を書きました。 あの時の混沌をきわめた気持ちは整理されないままです

          あれから2年

          あれから1年

          去年の今日起きた津久井やまゆり園の事件の痛み、自分の中では全く風化されず、心にそのまま埋まっている感じです。 事件後の急性期の段階では、今の勤務先の病院にご協力頂き、できる限り(と言っても微力ですが)の関わりをしました。 事件当日、負傷者の方々は救急病院に搬送されました。そこで救命された方々は、一命をとりとめたものの、事件のために既に戻れる施設を失っている状態でした。しかし、救急病院には何日も入院できる準備はありません。傷の状態と、抱える知的障害のことを考えると、どこの病

          あれから1年

          いろいろな目線

           2016年7月26日、知的障害の方々が入所している相模原の施設で殺傷事件が起きました。僕は被害を受けた施設の嘱託医を数年間していたことがありました。それによる個人的な感情の話を詳しくするつもりはありません。しかし、やはり当然といえば当然ですが、思考がだいぶとらわれてしまって、色々なことに集中できない日が続きました。施設に今は関わっていない僕がこうなのだから、直接被害に遭われた方々の大変さは想像を絶するだろうと思いました。出来る限りのことをしたいと考えて、まずは現場レベルで必

          いろいろな目線