鳥羽シェフと「雄々(おすおす)コミュニケーション」

「鳥羽シェフとは絶対友達になれなそう」
と夫が言った。
不倫がどうこうという理由ではなく、ああいう「雄々した(おすおすした)」人は苦手なのだという。言わんとすることはわかる。私も多分苦手だ。いや会ったことないし完全に想像だけど。鳥羽シェフは「雄々」しているな、と私も思う。

「雄々してる」と我々が感じる要素はなんだろうか。
「男として」「けじめ」といった言葉の選び方、(これも想像だけど)悪いやつに傷けられている女を守る俺というスタンス、マッチョな風貌、財力社会的地位、その他もろもろ。彼のパブリックイメージを形成する要素のほぼ全部がかなり男性的である。(いや会ったことないし本当に想像でしかないので完全に言いがかりなんだけど)。

個人的には、不倫の善し悪しは置いといてちゃんと矢面に立って落とし前をつけようとしてる鳥羽氏は凄いと思っている。不倫した側でなかなかあんなに記者と堂々と対峙できる人もいないだろう。「火の鳥黎明編」で文字通り矢面に立って息子を守った猿田彦を思い出した。

同じく最近、某ラッパーが「女風呂が覗ける状況なら男は誰だって覗く。覗かない奴は男じゃない(意訳)」的な発言をしていた。
発言のクソさ加減は言うまでもないが、これも「雄々コミュニケーション」の派生系ではなかろうか。別に鳥羽シェフが風呂覗きそうとかそういう話じゃなくて、風呂覗き肯定も鳥羽氏に感じるマッチョさ加減も、根っこにあるのは多くの男性が持つ同じような「雄」要素だろう。

ところで私の夫も男性であるが、雄々コミュニケーションが苦手という彼は絶対に女湯を覗かない人間だと思う。そして略奪した女を矢面に立って守るみたいなこともしないだろう。
これは「うちの夫は素晴らしい人間なので覗きや不倫なんかしません!!」といった単純な話ではない。

覗きにまじらないのも妻以外女っ気がないのも、ひと昔前なら一定数の人間から「男らしくない」と言われかねない要素である。その理屈で言ったらたしかに彼は男らしくないのかもしれない。
一方で「男として」という気負いがあまりない分、誰かを蹴落としたり押しのけたりしない優しさがある。私は夫に「女なんだからこうして」みたいに言われたことは一度もない。間違いなく令和のモテる男は鳥羽シェフより某ラッパーよりうちの夫だと思う。

なんだかただの夫アゲの文章になってきているが、周囲の同世代を見ても女性から支持を得ているのは弊夫のような人ばかりで、雄々タイプは本当に人気がない。
広末涼子は、現夫も昔付き合っていたとされる人も、風貌は違えど雄々系の「俺」が服着て歩いてますという男性ばかりのように見える。古風な男性趣味なのかもしれない。もしくは凄く自分に自信がないのかも。
天下の広末涼子になにを言っているんだと思うが、不安定な業界に長く身を置いていれば、良くも悪くも自我がどっしりがっしりした「雄々系」の手を取りたくなってしまうのかもしれない。

人んちの、しかも芸能人の不倫なんかに興味を持つのは低俗なことだと思っていたが、自分が結婚すると途端にいろいろ自分ごととして考えてしまうものなのである。女性週刊誌に不倫ネタが決まって常にある理由がわかった気がした。

そういえば「令和のモテる女」はどんな女なのだろうか。おそらくだけど手堅く稼いでちゃんとコミュニケーションが取れて、情緒が安定している女なのではなかろうか。ここでふと「令和のモテる男」と「令和のモテる女」の構成要素は非常に似ていることに気づく。
男と女の役割分担の時代は終わって、お互いに同じような能力を求める時代になってきたということだ。私も夫を見習って優しい人間にならなければ。まずはブログを書いてるときに話しかけられたくらいでイライラするのを辞めるところからである。










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