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「ホルモンケアとFemtech〜生理から妊娠、更年期まで〜」Femtech Fes! イベントレポ

writer/篠原舞

Femtech企業の事業成長をサポートするfermata inc.が主催するイベント「Femtech Fes!」。女性のヘルスリテラシーを向上させることを目的として定期的に開催されているこちらのイベントに、弊社代表の長谷川がゲストスピーカーとして登壇しました。

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ライフステージとともに変化する女性ホルモンについての基礎知識から最新Femtech事例、さらにはホルモンから考えるライプランニングまで、多岐にわたって語られたイベントの様子をレポートします。
※今回イベントはオンラインにて開催されました

fermataとは?
「あなたのタブーがワクワクに変わる日まで」を掲げ、アジア・日本では未発達のFemtech 市場を育てるコミュニティ&スタートアップ支援エコシステムを提供します。医療、パブリックヘルス、ビジネス、デザイン、マーケティングなどの専門家で構成されており、市場調査から本格マーケット参入だけでなく、ユーザーコミュニティとの接点まで提供し、Femtech 企業の事業成長をサポートします。
長谷川 彩子
Vitalogue Health代表取締役CEO
東京大学薬学部・薬学系研究科卒(神経科学・薬理学)
London Business School MBA修了。薬剤師、漢方認定薬剤師。

アクセンチュアにてM&A・新規事業・戦略コンサルティングに従事。イギリス留学から帰国後、ゴールドマン・サックス証券にてTMT/ヘルスケアセクターにおけるアドバイザリー業務に従事。株式会社アカツキの投資プロジェクトHeart Driven Fundを経て、Vitalogue Healthを起業。郵送のホルモン検査キットを使い病院・婦人科に行かずに自分の身体の状態を知ることができるサービス「canvas(キャンバス)」を開発。

あらためて学ぶ「ホルモン」とその影響

ホルモンとは、「組織間の情報伝達をする物質」のこと。

この中で「女性ホルモン」と呼ばれているのは、エストロゲンプロゲステロンです。

エストロゲンは子宮内膜を厚くするなど妊娠のための準備をする役割を、プロゲステロンは子宮内膜をふかふかにして着床しやすくさせるなど妊娠を助ける役割をそれぞれ担っています。

女性はこれら二つのホルモンのダイナミックな変動によって、体調や気分がコントロールされてるのです。

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他にも、女性の身体に深く関与するホルモンがいくつかあります。そのうち、性ホルモンでは、例えば

AMHは卵巣から分泌されるホルモンで、卵巣予備能(残っている卵子の数)を知る指標となっています。卵子の数は年齢とともに減っていきます。誤解されがちですが、AMHは妊娠のしやすさ・しにくさとは相関しません。

テストステロンは男性ホルモンのことですが、女性でも分泌されています。数値が高すぎると排卵が抑制されることもあります。

これらのホルモンのバランスが崩れると、

・疲れやすくなる
・動悸
・寒がりになる
・ニキビ
・多毛
・気分の落ち込み
・月経不順
・PCOS(多嚢胞性卵巣症候群:卵巣で男性ホルモンがたくさん作られてしまうせいで、排卵しにくくなる疾患)
・更年期症状

など、さまざまな支障をきたすので、定期的にホルモンの状態をチェックしておく必要があるのです。

海外のホルモンケア&Femtech事例

海外にはホルモン周期をトラッキングできるサービスが多数存在します。fermataのAKANEさんが、妊娠や出産を考えている人が使用できるものをいくつか紹介してくださいました。

基礎体温(OvuSense、Ava、TempDrop、femSense)

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・正確性は膣内の温度を直接測ると80%以上、口内や脇で測ると22%
・一般的に低温期と高温期で0.3度差があるところが排卵日と言われている
・しかし、測る時間帯や前日の飲酒の有無などによって差が出てしまう

尿(Mira Fertility、Natural Cycles、Oova、Proov)

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・正確性は94-98%
・使用し続けることによって正確性は増す
・尿によって排卵期を予測できるのは24-48時間。どんなに正確なものでも2日前からしかわからない

血液(Modern Fertility、Fig Fertility、Fertilome、LetsGetChecked)

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・正確性は99%
・ただ、自己診断だけでは難しいので、検査結果を受けて産婦人科に行くのがおすすめ
・Vitalogue Healthが提供する郵送ホルモン検査サービス「canvas」も、血液を採取することでホルモン検査を行っている

 唾液(Eli、Pexxi、inne)、二酸化炭素(breathe ilo)、おりもの(Kegg)

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・ホルモン周期をトラッキングできる次世代デバイス
・どれだけ早く、正確に、手間をかけずに検知できるかに特化している
・唾液は排卵日が近づくとシダの葉のような模様が出てきて、それが一番濃い日が排卵日
・ホルモン周期によって二酸化炭素の濃度が変わるので、それを測定するものや、おりものの水分量や粘度を検知するものなど(排卵日が近づくほどおりものは透明度や粘度が増す)

<AKANEさんによるKeggを3ヶ月間使用した所感>
- Keggは上記のうち、おりものの計測をするデバイス
- 15年間低用量ピルを飲んでいたが、血栓症リスクの心配もあったので、今回やめたタイミングでKeggを使用
- 最初はホルモン周期が安定していたものの、ピルをやめてから1ヶ月後はすごくブレが生じた。3ヶ月目でようやく自然周期に戻るように(安定するように)なってきた
- ピルを辞めたことで身体面で特に変化はなかったが、精神面の症状(イライラするなど)は強まった印象
- 継続的に使用することで正確性が上がるので、とにかく続けることが大事
- Keggは性交渉の日や生理開始日を記録したり、市販のLH(黄体形成ホルモン)検査薬などのテスト結果を記録することができる

ホルモン数値を知ることで、どのように自分の未来を描けるのか?

ホルモン検査をすることで、3つのメリットがあります。

1. ライププランが描きやすくなる

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「女性ホルモンのピーク」と、「妊娠・出産・子育て」、そして「仕事の頑張りどき」は重なっています。だからこそ自分のホルモンの現状を知って、いつでも次のアクションが取れる準備をしておくことが、主体的にライププランを描く上で重要です。

2. 「PMS・妊娠・更年期」に影響するホルモンの現状が分かる

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ホルモン検査の頻度は、年に1回は受けることをおすすめします。ただ、ホルモンは毎月変動があるので気になるようならもう少し頻度を高くするのもいいでしょう。

3. PCOSなどの病気の早期発見にもつながる
不妊の原因にもなるPCOS。これは生殖年齢女性の5-8%がかかると言われています。関連病態としては、視床下部-下垂体-卵巣系の異常や副腎系・糖代謝異常などがあります。いずれにせよ、早期発見が望ましい病気です。


女性は一生を通してホルモンに大きな影響を受けて生きています。だからこそ、今のうちから定期的に自分のことをケアする習慣をつけておくことが必要なのです。ケアの第一歩は、ホルモンの現状を知ること。ぜひ「canvas」を通じて、ホルモンの変化を知り、自分の人生を主体的に描いていって欲しいなと思います。

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~ canvasの最新情報は、こちらで発信しています ~

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伊勢丹Beauty Apothecary x fermata
デリケートゾーンについて by fermata

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