見出し画像

桜柄って可愛いよね。

どうも。

KONGです。

KONGの体験談を語る上での職場体験記。

警備員。
コンビニ。
パチンコ店。

他にも色々あるんですが、特にKONGの血となり肉となり、一番の衝撃と様々な経験値を与えてくれた場所。

その場所は

『靴屋さん』

KONGが働いていたある靴屋さんは、商店街にあるごくごく普通の小さな靴屋さんだった。

小さいといっても業務内容はなかなかハード。

まず朝の開店時には、店内の通路を塞ぐように積まれている、大量の在庫が入った大きな段ボールをひたすら外に運び出す。

お店には所狭しと様々な商品が並んでいる為、在庫分を置いておくスペースが店内にないのだ。

(※逆に閉店時には、店内の通路にまた大量の段ボールを戻して積む)

重い物だと20キロ〜40キロの靴の段ボールを持ち上げ外に出さないといけないのだが、

なんせ通路が狭い上に周りには靴の在庫が敷き詰められているので、段ボールを抱えたまま振り返る事ができない。

肩まで持ち上げるか、抱えたままゆっくりバックしかなかった。

そうやって30分〜40分かけて全部の段ボール箱を外に運び出した後で、ようやく靴を販売する事ができる。

そんなハードな靴屋さんだった。

従業員は、社長さんと息子さん、パートのおばさんとKONGの4人。

KONGが入る前は、息子さんが一人で開店準備と閉店作業を全部やっていたというので驚いた。

客層は主婦が多めではあったが、とにかく色んな人が出入りしていくので、中には少し変わったお客様も少なくなかった。

そしてKONGがその靴屋で最初に体験した事件もまた、まさにそういう「少し変わった人」高級革靴を買いにやって来た事によって始まったのである・・・。

そのお客様は、見た目は少しガラが悪く、とても高圧的な態度で凄んでくるおじ様だった。

おじ様はまず、タバコを吸いながら店内に入ってきて、フラフラとした足取りで高級棚に向かって行った。

おいおいおい。

いくら路面店とはいえ、そのタバコの灰の行方が気になったので、KONGはすかさず灰皿を持ち出した。

「すみませんー。燃えたら大変なので、これで火を消して貰えませんか?」

「・・・・・・・・・・・・。」

おじ様は無言でコチラを睨みながら差し出された灰皿にタバコを押し付けると、力強い手つきでKONGの肩を組んで来た。

酒の臭いが鼻をつく。

そして、その臭い口を開き

「おぉ〜にいちゃん・・・

桜柄の革靴あるか?」

へ?

桜柄の革靴?

んなもんはない。

とりあえず、この人が気に入りそうなワニ革の高い靴を薦めてみた。

「うちにあるのはこんな感じです。桜柄はないですねぇ〜」

そういいながら肩に置かれた手をそっと振り払う。

するとおじ様は、ニヤニヤしながらワニ皮の靴を指さすと

「・・・この靴、俺の足に合うやつあんのか?」

「サイズ教えてもらえれば、出しますよ」

「本当に俺の足に合うのか?」

「・・・サイズ教えてもらえれば」

何故か同じ質問を繰り返すおじ様。

正直、薄気味悪い。

「・・・27センチだ」

ちょうど飾られていたサイズが27センチだった。

「どうぞ履いてみてください」とお願いする。

不快な事にまだニヤニヤしている。

なんなのだこの親父は。

そしておじ様が靴を脱ぐと・・・





・・・足の親指が・・・





「おい。

あわねぇな?

お店の人が嘘つくのはよくねぇぞ?」

再度肩を組まれる。

「いや、あ〜っと?」

いや、聞いてないし。

事実を伝えるのも何か違う気がするし。

「いや、そ〜っすねぇ・・・」

結局言葉が出てこず、

殴られるぐらい覚悟をしたその時・・・


「おいおい。

ウチの若いもんを困らせてんじゃねぇよ」

このタイミングで我が靴屋のBOSS(社長)が出勤してきた。

のだが、こちらもなかなか高圧的である。

ゴジラVSメカゴジラを目の当たりにした市民の気分を味わった。

そして社長は、その客を店の外に連れ出すと、ボソボソと何やら会話を始めた。

よく聞き取れない。

聞き取れても嫌なのだが。

しばらくすると、社長が振り返って

「カイちゃん。今の靴、袋に入れて持ってきて〜」

優しい口調で告げて来た。

すかさずワニ革の靴を袋に入れて持っていくKONG。

すると・・・

「いやあ、にいちゃん悪かったな!」

まるで別人になったかのような気持ちのいい顔で、おじ様は靴を購入し、フラフラと帰って行った。




・・・・・・・・・・・・いや怖えよ!!!


色んな意味で!!!

おじ様も!!!

社長も!!!

みーーーーーーーーーんな、怖えよ!!!!

そしてその後もこの靴屋で働く中KONGは様々な事件に巻き込まれ、一回りも二回りも成長する事になるのだが・・・それはまた別のお話。

つづく

それではまた!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?