大切な人をベルサイユ宮殿へのプチ旅行に連れていく世界一簡単な方法
わたしには、グレープフルーツ一つで、夫をベルサイユ宮殿へのプチ旅行に連れていくことができるという特技があります。嘘のように聞こえるかもしれませんが、本当です。
突然ですが、みなさんは、グレープフルーツをどうやって食べていますか。
わたしが子どもの頃は、こんな感じでざくざく切って出されていました。かぶりついて食べる、スイカスタイルです。
これは切って出すのが簡単でいいのですが、食べるときに手が汁まみれになるのが難点です。それに、皮の周りに残ってしまう身を取り切れないのが残念です。
一方、夫がわたしと出会うまでにしていた食べ方は、横にパカンと切って、スプーンで掬って食べるスタイル。
これも半分に切るだけの手軽さがあるのですが、スプーンで掬うときに美味しいジュースが身から絞り出されてしまうのが致命的です。グレープフルーツ本来の果汁あふれる味わいを損なっています。最後に皮の底に溜まったジュースを一気に飲めばいいのかもしれませんが、身とジュースが別々にならない方がいいに決まってます。
わたしは大人になって一人暮らしを始めてから、グレープフルーツは一つ一つ皮を剥いて、身だけの山にしてから、フォークで一気に食べるのが一番美味しく、かつ満足度が高いことに気づきました。
朝ごはんや、仕事から帰ってきた夜に食べたいなと思っても、いちいち剥くのが面倒くさいので、あらかじめ剥いて冷蔵庫に入れておくようにしたのがきっかけです。
一つずつ剥くのがちょっと手間といえば手間ですが、やってみると案外簡単にきれいに剥けます。このひと手間さえ乗り越えれば、食べるときには手を汚すことなく、果汁を絞り出してしまうこともなく、さらにはいちいち皮から身をはがす面倒もなく、優雅にぱくりと口に運べます。考えうる最高の形です。
結婚当初、わたしにとっては当然のものとして、こうして皮を剥いてグレープフルーツを出してあげたとき、夫はおおいに感動してくれました。「ボク、この食べ方スキ!」と大絶賛です。後日遊びにきた義両親に、わたしのグレープフルーツの出し方がすごいと言って、熱くプレゼンしてくれたくらいです。(義母があまり感動していないのをわたしは見逃さなかったけど。)
夫が喜んでくれるのが嬉しいので、グレープフルーツが家にあるときは、皮を剥いておき、いつでもフォークでつまめるようにしています。時々、夫が仕事の合間に書斎からキッチンに下りてきて、冷蔵庫のタッパーに入っているグレープフルーツを出して食べているのを目撃すると、よしよし食べてるなと思いながらニヤリとします。
かくいう今日も、夫はみずみずしいグレープフルーツの身をぱくりと口に入れ、目を閉じて味わいながら、こう言いました。
「きっと、マリー・アントワネットも、こうやってグレープフルーツを食べたと思うよ。」
聞きましたか、みなさん。
こうやってグレープフルーツを剥いてあげるだけで、大切な人をベルサイユ宮殿へのプチ旅行に連れていってあげることができるんですよ。
今日もご満悦でなにより。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
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