夫がパソコンを買ってきた
唐突に、夫がパソコンを買ってきた。
今朝、「ちょっと出掛けてくる。」と言って出ていったので、てっきりいつものようにジムに行ったものと思っていた。でも、暫く帰ってこないからどうしたのかなと思っていたら、電器屋へ行っていたのだという。
「これ、君にだよ。開けてごらん。」
「え、私に?えっと、今日は誕生日でもないし、記念日でもないし、クリスマスでもないし・・・、なんで?」
箱を開けると、ノートパソコンだった。いま使っているアップルのノートパソコンは、数年前に夫にもらったお古なのだけど、それと比べると、画面の大きさは同じだが、薄くて軽い。それに、私には馴染みのウインドウズが搭載されている。
超がつく節約家の私の最初の反応は、
「いま使ってるもので充分なのに!買わなくて良かったのに!」
夫は、「待て待て」と言わんばかりに私を制しながら言った。
「君は、これから毎日書くんだろ。だから、僕なりにサポートしたかったんだ。」
そして、私が「お買い得」に弱いことを知っている彼は、このパソコンが半額以下の超お買い得だったことを、何度も強調した。
じわりじわりと胸に染み込むものがあった。
***
私は、夫と結婚してアメリカに来た。それまでにしていた仕事は、続けようと思えば続けられたが、アメリカに生活拠点を持つ以上、家族と一緒に過ごせなくなることがわかっていたので、結果として辞めた。
結婚後、割と早くに子供ができて、自分のための時間が限られるようになった。コロナ禍に入ってからは、育児以外のことをする余裕がなくなった。
夫との結婚生活では、最初から様々な変化が立て続けに起こり、山あり谷ありながらも幸せに過ごしてきたけれど、私自身にフォーカスして人生を充実させることが後回しになっていた。
そんな中で、少しずつ私が自分のために動き始めていることを、夫は喜んでくれている。
私がnoteを始めたのは2年前なのだが、いくつか記事を書いた後、書く意味がわからなくなって1年ほど書かなくなった時期があった。それが最近、以前よりも時間がとれるようになり、また書きたいと思うようになった。
先日、夫と二人で食事をしに出掛けたときに、最近また書き始めたんだ、と夫に話した。これまでの私は、書くことについて、自分から積極的に夫に話すことはなかった。話すことにためらいがあって。
何千万ドルものお金を動かす仕事をしている彼から見たら、日々の些事を題材に、誰が読んでくれるかもわからない記事を書くことなんて、ただのお遊びにしか見えないだろうと勝手に想像していたから。正直にいうと、話すのが恥ずかしいと思っている自分がいた。
それなのに話してみる気になったのは、なぜ書くのかを明確にできたことも大きい。私は書くことでどうしようとしているのか。お金やキャリアがほしくないわけではないけれど、第一の理由は、私自身がより良い生活をしたいからだった。そう考えたら、恥じることなんて何もない気がしたのだ。
それに、夫と二人だけでお出掛けして、「子供のことじゃなくて、僕たちの話をしよう」と言う夫のマインドにも多分に影響されたと思う。一番身近で私の幸せを願ってくれている夫に、私がいま何を考えて、いま何に挑戦しているのかを知ってほしかった。
私の話を聞いた夫は、「へえ、そうなんだ。」と感心しながら、「僕も書いてみたいと思っていた時期があったよ、僕は続かなかったけど。」
そして、「こんな記事を書いてみたらどう?」などといろいろなアイデアをくれた。それに私が「いや、こういう視点を入れたらもっと面白いね。」と返したりして、話が弾んだ。帰り際には、「君の生活のことを、話してくれてありがとう。」と夫が言った。
なんだ、勝手にためらって、恥ずかしがって損したな。コソコソ書いてないで、最初からこんな開放的な気持ちでいればよかった。
***
こういう文脈での、今日のパソコンだったのである。
自分の目標があって、それを応援し、背中を押してくれる人がいる。幸せだなあと思う。先日、noteを1カ月毎日更新する目標を立てて、日々書いているのだけど、なんだか新たな力を得たような気がしている。
家に帰ったら、夫に「今日は君のことを書いたよ。」と言おう。たぶん夫は、「僕がどんなにセクシーかってことでしょ?」って言うと思う(笑)。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?