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「ママと日本語で話したい」ですって?!

「そんな当たり前のことになにを驚いているんだ?」と思われたかもしれません。

でも、わたしは、子どもの口からこんな言葉が飛び出したことに、驚きと感動を覚えました。

我が子は、アメリカ生まれ、アメリカ育ちです。

家の中では、わたしは子どもたちに日本語で話しますが、父親とは完全に英語です。それに、一歩外に出たら、学校も習い事も全部英語の世界。子どもたちの言語力は、日本語よりも英語の方が断然強くなっています

上の子がプリスクールに行き始めた頃、つまり息子が3歳くらいのときから、英語が日本語を凌駕するようになりました。いまでは、わたしが日本語で話しかけても、9割は英語で返事をします。息子の様子を見て育った娘も同様です。

2人とも、わたしが話す日本語を聞いて理解していて、簡単な受け答えなら日本語でもいけますが、まとまった塊を話すのは難しいようです。

このままでは、いつか我が子と日本語で話せなくなる日がくるのではないか。

わたしはこんな漠然とした不安をこの数年持ち続けています。海外で子育てしている人によくある悩みだと思います。

わたしがいま子どもたちに望んでいることは、

せめて家の中だけでも、わたしとは日本語だけで会話できる習慣をつけたい

ということです。難しいのはわかっています。7歳と5歳。将来を見据えた苦しい修行に、どれほどの意味が見いだせるでしょうか。だからこそ。わたしはいつも、子どもたちへの動機付けのチャンスを探しています。

今朝、朝ごはんを食べながら子どもたちと話をしていたときのことです。娘がもぐもぐしながら英語で何か言ったのですが、不明瞭で意味がわからなかったので、わたしは聞き返しました。

子どもの英語は、もぐもぐしていなくても、ノンネイティブの耳には難しいときがあります。滑らかに話してくれるときはいいのですが、言葉の順が正しくなかったり、つっかえつっかえ切れ切れのときは、聞き直すこともあります。TOEICの問題は聞けても、歌の聞き取りは難しいのに似ています。

「なに?」と聞き返したわたしに、娘がぼそっと言いました。

わたし、もっと日本語が話せたらいいのに。そうしたら、ママがすぐわかってくれるから。」

思いがけない言葉に、わたしは「えっ」と一瞬詰まりました。間髪入れずに、息子が呼応して、

「僕も」

と、しみじみした様子で言いました。

わたしは驚きました。

2人に若干温度差はありますが、どちらにとっても、日本語はできたら避けたいものなのだと思っていたからです。英語で事足りてしまういまの生活で、日本語はママがいうから仕方なくやっている。わたしの目にはそう映っていました。

娘の発言に、「ママの英語力がしょぼくてごめん」という気持ちもありましたが、それ以上に、「日本語がもっと話せたらいいのに」という部分に、わたしは未来への希望を見出しました。こういえばママが喜ぶという計算が、彼女らの頭の隅にあったのかもしれません。子どもはしたたかです。それでもわたしは、胸にじんときて、2人を囲い込むようにいっぺんに抱きしめました。

日本語ができたら、ママともっと面白い話ができる

こんな素敵な動機付けがほかにあるでしょうか。「ママ大好き」と曇りのない目をしていってくれるこの時期に、これ以上の理由があるでしょうか。

わたしは、子どもたちを懐に包み込みながら、頭の中で考えました。

これから英語で話しかけられたら、わかってもわからないフリをして、どんどん日本語で話させよう

実際、海外で子育てをしている友人の中には、「ママは英語が全然わからない」という設定にして(本当はめちゃくちゃわかる)、子どもが幼い頃から、ママには日本語で話すという習慣を徹底している人がいます。我が家もそうすれば良かったのかもしれませんが、子どもたちはわたしが夫と英語で話すのを見ているので、その設定を貫けませんでした。

でも、今日からは、わかるけどちょっとしかわからない設定に寄せてみようと思ったのです。

何度も「え?え?」と聞き返されると、さすがに子どもたちも、ママの英語力はやばいと思うはずです。確実にママに伝えるためには、日本語でいうしかない。そんな状況を作ったら、子どもたちはもっと日本語で話すようになるのではないか。

でも、この作戦にはリスクもあります。子どもたちが、英語のわからない母親に見切りをつけ、打ち捨てる可能性も否定できません。もうママには言っても通じないから、パパに言おうという安易な方法へ流れてしまったりして…。それは困る。そんなことにはならないと信じたいけれど。

とりあえず、最悪のシナリオに備えて、わたしが英語力を磨くことが課題であることに、一ミリも変わりはありません。


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