見出し画像

あなたが知らないかもしれない、アメリカ生活の日常風景 (知らなくても全然問題ありません)

アメリカに移り住んで6年余り。いまや、カルチャーショックに身が震えるようなことも、ほとんどなくなりました。

でも、かつては私にも、生活のあちこちで驚きを発見しながら過ごしていた時期がありました。これまでの6年を思い返しながら、日本に住む皆さんが知らないかもしれない、アメリカ生活の日常風景を紹介してみたいと思います。

⚫︎野性のリス、鹿を頻繁に見かけます(たまにキツネ)

我が家は、首都ワシントンDCから車で30分ほどの郊外の街にあります。東京から30分と聞いて想像するより、はるかに緑が多いところです。

我が家の裏の林の中には、いろんな動物が生息しています。その中でもよく人前に出没するのは、圧倒的にリス、その次に鹿です。たまにキツネも見かけます。

リスについては、日本でスズメやハトを見かけるのと同じくらいの頻度で見かけます。日本からの客人は、道端でリスが木の実を集めているのを見かけたりすると、「かわいい~!」といって写真を撮ったりするのですが、ここに住めば、そういう衝動もいつしかなくなります。

鹿は、朝や夕方に庭先に出没し、草を食んでいきます。大人の鹿はそれなりに体が大きいし、立派な角を持つオスは近くで見ると結構な迫力があります。毎回鹿が我が家の庭にやってくると、子どもたちは差し足忍び足で近くの窓まで走り寄り、まるでサファリにでも来たかのように興奮しながら、鹿が静かに草を食む一部始終を眺めて楽しんでいます。

でも、子どもには人気の鹿ですが、大人から見ると、庭で育てた植物を容赦なく食べる迷惑な存在でもあります。私も、玄関前に植えたお気に入りの観葉植物が、ある日、茎だけの無残な姿になっていたときには、「鹿のやつめ~!」と怒りに震えました。ホームセンターで植物を買うと、日当たり、開花時期などの情報を記載したラベルには、鹿が好んで食べるかどうかも並列して書かれています。ここでは、ガーデニングをする際に、これは重要な情報なのです。

⚫︎洗濯物は干しません

お日様の下、洗濯物が風にそよぐ・・・といった日本では当たり前の光景が、アメリカではまず見当たりません。洗濯物は外に干さずに乾燥機を使います。

なるほど、家事の負担を軽減しているのね、と最初は思いましたが、そこには、「乾燥機を使う方が便利だから」ということ以上の理由があります。私が今まで見聞きした理由は以下のようなものです。

①生活の内側をさらけ出すようでみっともない。
②景観が損なわれる。
③乾燥機を買うお金もないみたいで恥ずかしい。

どうやら、これは、アメリカ的世間体の問題であるようです。

最初の頃は、外に干せば乾くものを毎回乾燥機を使うなんて、エネルギーの無駄遣いのように感じました。「お日様の匂い」のするシーツで寝る幸せを恋しく思ったりもしました。

でも、「郷に入らば郷に従え」といいます。特に、②の景観については、我が家だけの問題ではなく、近所一帯にもかかわるので(景観が損なわれると、近所一帯の不動産価値に影響するため、近所から苦情がきたという話も聞きます。)、このプレッシャーを押しのけてまで外に干そうとは思いませんでした。

確かに、乾燥機を使えば、天候に関係なく洗濯ができるし、干して取り込む作業を省略できるので、便利です。それに、シーツやタオルなどの洗い替えが少量で済むというメリットもあります。

でも、そのうち、私はアメリカ人が乾燥機を使う真の理由に気付いたのです。それは、

天日に干すと、洗濯物がカッピカピになるから

アメリカの水は硬水なので(地域によって差はあるが)、水中のミネラルが繊維に残って、乾いたときに布地が固くなってしまうのです。なので、アメリカで外干ししても、日本の洗剤のCMのように、頬をすりすりしたくなるようなふっくらした仕上がりにはなりません。カピカピ、あるいはパキパキです。だから、柔軟剤を含んだシートと一緒に、乾燥機でぐるぐる回しながら乾かすのです。

「ああ、そういうことかあ…。」と一人合点がいきました。あ、これはあくまでも私の説ですが(笑)。

⚫︎ポストに投函しなくても手紙が出せます

手紙を出すときは、自分の家の郵便受けに入れて、郵便受けに付いている小旗を上げておきます。すると、郵便屋さんが配達にきた際に、差出物を引き取っていってくれます。

つまり、アメリカの郵便受けは、郵便を受け取るだけではなく、郵便物を投函することもできるのです。

このシステムを知ったときは、画期的で便利!と思いました。わざわざポストや郵便局まで出向かなくていいのですから。日本のように街の機能や住宅が密集していないアメリカならではの発想かもしれません。

郵便ポストもあるにはありますが、普通、住宅街には設置されておらず、店や施設が集まっているエリアにあります。我が家のように、街の中のマンションではなく住宅街に住んでいると、ポストに投函しようと思えば、大抵の場合、歩いてはいけません。やはり車で行くことになります。

携帯で連絡を取り合うこの時代、手紙やはがきを出す機会はあまり多くありませんが、子どもたちから日本に住むおじいちゃん、おばあちゃんへの手紙を出すときや、年末のクリスマスカードを出す時期などには、この制度をありがたく思っています。

⚫︎Kombuchaという昆布茶ではない飲物が流行っています

アメリカのスーパーの飲み物コーナーへ行くと、必ずKombuchaを目にします。特に、オーガニック系の食材を取りそろえている、健康意識の高い層に人気のスーパー( "Whole Foods Market"など)では、 Kombuchaの品揃えがびっくりするほど充実しています。

棚4段のほぼ全てがKombucha

アメリカに来た当初、これは完全に理解不能でした。どう考えてもおかしい。昆布茶なんて流行るような飲み物ではない。アメリカ人は味覚がぶっ飛んでいるのか、それとも健康のために根性で飲んでいるのか。

そう思って調べてみたら、案の定、日本の昆布茶とアメリカで売られているKombuchaは全く別物だということがわかりました。

Kombuchaとは、古くアジアに起源をもつ発酵飲料で、お茶と砂糖に微生物を加えて発酵させたもの。日本でも1970年代に「紅茶キノコ」として人気を博した。自宅で手作りすることも可能。

https://kawashima-ya.jp/contents/?p=15758
(当該ページを参考に筆者が要約を作成)

発酵食品としての様々な健康効果が期待できるとして、健康意識の高い人たちを中心に、この10年ほど流行が広がっていったようです。アメリカだけではなく、欧米で広く人気が出ているし、日本でももはや珍しいものではないのかもしれません。

試しに飲んでみたことがあるのですが、基本形のKombuchaにレモン、ジンジャー、ライムなど何かしらの味が加えられていて(飲んだものが何味だったかは忘れました)、酸っぱいのか甘いのか、そもそも美味しいのか美味しくないのか、一言で言い表せる味ではなかったという印象だけが残っています。そして、飲んだのはその一回きりです。

美容にいいらしいですけどね。でも、同じ発酵ものなら、私は納豆の方がよっぽど好きです。これは、アメリカでは絶対に流行らないでしょうけれど。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?