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明るいところで書きたい

皆さんは、書く時間帯や場所について、こだわりはありますか。

わたしは、このところ、いつも夜にnoteを書いています。

子どもが寝静まった後、しんとしたキッチンで、ダイニングテーブルの自分の席にパソコンを広げて、カタカタと書いています。

窓が黒く映る夜に、部屋の明かりをつけて書くのは、かつての残業を思い起こさせていけません。早く済ませてベッドに潜り込みたい気持ちも湧いてきます。なんとなく、やっつけ仕事になりがちです。

だから、本当は、太陽が出ている時間帯に書きたいんです。陽がさす明るい部屋で、誰にも邪魔されずに、なににも急かされずに書きたい。

そういえば、夏目漱石の談話をまとめた短編を読んでいたとき、こんな記述を見つけました。

障子に日影の射した処で書くのが一番いいが、此家ではそんな事が出来ぬから、時に日の当る縁側に机を持ち出して、頭から日光を浴びながら筆を取る事もある。(中略)こうして書くと、よく出来るようである。凡て明るい処がよい。

『文士の生活 夏目漱石氏−収入−衣食住−娯楽−趣味−愛憎−日常生活−執筆の前後』夏目漱石

これを読んだとき、「わ、わたしもです!」と思いました。実際に声に出して言っていたかもしれません。

いや、アメリカの我が家には縁側はないし、頭から日光を浴びながら書くのも紫外線が気になるからしません。でも、「凡て明るい処がよい」の結びに、心から同意しました。

わたしは、普段の生活で、「こうじゃなきゃだめ」というこだわりはあまり多くありません。少ない方だと思います。

だけど、明るいところで書きたいという点については、数少ないこだわりポイントの一つです。具体的な場所は、どこでもいいんです。ただ明るさだけがポイントです。

明るいところの方が、気持ちが乗るんです。それは、わたしにとっては、目に見えるほどに大きな違いがあります。

書きたい気持ちが強くなる。いや、違うな。書いた先がどうなるのか、楽しみになってくる感じ。早く「そこ」へ到達したいというささやかな衝動がわいてきます。

明日こそは、明るいところで書きたい。


ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

この記事で紹介した短編では、夏目漱石が、作家という仕事について思うこと、書き手としての生活や書くときのこだわりなどについて語っていて興味深いです。

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