げるさん

見た物、聴いた物についてつらつらと。

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最近の記事

今年の聞いた・見た ~2023年のコンサート行脚を振り返る~

 早いもので年の瀬、とはよく言うけれど、今年は中々に長く感じた1年だった。仕事の多忙さもあれど、「年間50公演」というのを気にしてみると、社会人でこの数をきちんと行くのは中々に大変だ。  とはいえ50近い(大小合わせればそれ以上)公演を(自分のお金なのである程度自由な気持ちで)回ると、1年での見聞の広がり、深まりはとんでもない幅になる。  好きな奏者に再び出会い良さを実感するとともに(葵トリオ、カントロフ、北村朋幹、庄司紗矢香、江尻南美)、若手奏者の音を間近で見て知り(藤田

    • 「ヴァイオリン 桐原宗生の世界」〜コルンゴルトへの愛を込めて〜

       JNO Presents リサイタルシリーズ  「ヴァイオリン 桐原宗生の世界」 〈オール・コルンゴルトプログラム〉  気になっていた公演。タイミングも合ったので突発的に聴きにいきました。何より奏者が本当に好きなものを弾いているのが伝わってきて好印象。  演奏機会は増えているもののまだ馴染みの薄いコルンゴルトで固められたプログラム。フライヤー裏のコメントからも桐原自身のコルンゴルト愛が伝わってきていたが、前半後半の各冒頭で入る彼のMCにも熱が籠る。  前半、「雪だるま

      • 南薫三 ~日常の美しさを描きとめる~ -ステーションギャラリー&松濤美術館-

         2/20、東京ステーションギャラリーで南薫造展が始まった。地元・広島以外ではほぼはじめての大規模な回顧展だ。  またこの週末には、松濤美術館でも南薫造を見ることが出来る。遺族の寄贈によるコレクションからなる所蔵品展では、彼のスケッチ・習作がメインとなる。  あまり論じられることの少ない南薫造。しかしながら二つの展覧会から見える彼の創作はかなり魅力的だ。 『没後70年 南薫造』  @東京ステーションギャラリー  南薫造は1883年、現在の広島県呉市に生まれた。1902年、

        • 《田中一村展-千葉市美術館収蔵全作品》

           ひさびさの千葉市美術館。リニューアルしてから訪れるのは初めて。  千葉市美術館では、今月末まで同館所蔵の田中一村作品が全作品展示されている。晩年の奄美大島での制作が広く知られる彼だが、その移住前まで20年間住んでいたのが千葉だった。  彫刻師であった父から書画の訓練を受け、幼少期から才を発揮した一村(当時の画号は米邦)は、東京美術学校にも一発合格。しかしながらわずか2ヶ月で退学する(表向きの理由は「家の都合」)。だがその年の10月には個人展も開かれ、その展覧会の支援には

        今年の聞いた・見た ~2023年のコンサート行脚を振り返る~

        • 「ヴァイオリン 桐原宗生の世界」〜コルンゴルトへの愛を込めて〜

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          「眠り展」@東京国立近代

           1月は私用でまるで美術館に行けなかったが、諸々片付いたので会期ギリギリの展覧会に駆け込み続けている。東京国立近代美術館の「眠り展」もずっと気になっていたがようやく行くことが出来た。  「眠り展」は国内に6館ある国立美術館の合同展。過去にはアートの中の「陰と影」に着目した「陰翳礼讃」(2010)、美術館そのものをテーマにした「No Museum, No Life?―これからの美術館事典」(2015)が開催されており、今回は3度目。自分は前回の「美術館事典」を見に行って、工夫

          「眠り展」@東京国立近代

          石岡瑛子展@都現代美&GGG

           今年最初の展覧会は、石岡瑛子をめぐる二つの展覧会へ。 石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか  @東京都現代美術館  石岡瑛子はデザイナーとして、1970年代には資生堂の広告やパルコのCM・ポスターなどで一世を風靡した。1980年代以降は舞台美術や衣装デザインなどにも取り組み、国内外の数多くのアーティストとの共同制作を行う。1987年にはマイルス・デイヴィス『TUTU』のジャケットデザインで日本人初のグラミー賞、1993年にはフランシス・コッポラ監督作品『ドラキュラ

          石岡瑛子展@都現代美&GGG