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【読書】『月曜日の抹茶カフェ』青山美智子【人と人との繋がりの温かさ】


先日読んだ『木曜日にはココアを』の続編が発売されたと知り、早速読んでみました。今回は、『月曜日の抹茶カフェ』(青山美智子 著)についてです。


人と人との繋がりの温かさが、ストレートに表現されています。現実はこんなに甘くないよ、と言う人もいるかもしれませんが、そんな、現実世界の人間関係にお疲れ気味の方にこそ、届いてほしい一冊です。


人との繋がりが感じられる連作短編集


美保は、何をしてもうまくいかない日、ふと思い出してマーブル・カフェに向かいます。ところが、その日は定休日である月曜日でした。


残念に思う美保ですが、マーブル・カフェでは、「抹茶カフェ」が開かれていたのです。美保は、京都のお茶問屋の若旦那と出会います。


『月曜日の抹茶カフェ』は、このお話から始まる連作短編集です。『木曜日にはココアを』に登場した人物にも、再び会うことができます。どのお話も、人と人との繋がりが感じられる作品です。


人とのご縁


どんな出会いも、直接知らないところで誰かと誰かが繋がって生まれるということを教えてくれる、『カンガルーが待ってる』が特に心に残りました。


マークの妻のアツコが翻訳家になれたのは、マスターのおかげ。アツコがマスターと知り合えたのは、マークがいたから。マークとアツコが出会えたのは、アツコのペンフレンドのグレイスのおかげで、アツコがグレイスとペンフレンドになれたのは、中学校の英語クラブの顧問の先生のおかげで、それはアツコとグレイスの中学校を姉妹校としてくれた誰かのおかげでもあって・・・。


人間関係で悩んだり、周囲とぶつかったりするときは、少し負担に思ってしまう「人とのご縁」ですが、人と人は繋がって繋がって、繋がり続けていくんだと考えると、自分自身も誰かと誰かの素敵な出会いのきっかけになっているかもしれず、やっぱり「人とのご縁」は輝かしいものだなと認識しました。


『デルタの松の樹の下で』も印象的でした。大学に入り、成績というわかりやすい指標を失って戸惑う孝晴の気持ちに共感しましたし、彼が最後に至る、本当に好きなものや大切なものを集めていきたいという前向きな考えについて、私も大事にしたいと心から思いました。



『木曜日にはココアを』を読んだ方は、ぜひこちらも手に取ってみてください。再び温かい気持ちになれること、間違いなしです。
『木曜日にはココアを』を読んでいない方は、こちらだけでも楽しめますが、先に『木曜日にはココアを』を読むと、より一層充実した読書になるかと思います。



お読みいただき、ありがとうございました。




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