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【2021年本屋大賞ノミネート作品#5】『お探し物は図書室まで』青山美智子

本屋大賞ノミネート作品5作目。これを書いている今は7作目を読んでいる途中なのだが(14日の発表までにすべて読めるか不安である)、感想としては、「みんな疲れているんだろうな」というものだ。

まだ全作品読んだわけではないが、優しくて温かいお話が多くランクインしている印象が強い。その最たるものが本作だと思う。

みんなの相談役、司書の小町さん

小学校に併設されたコミュニティハウスにある図書室には、司書の小町さんと司書見習いののぞみちゃんがいる。

小町さんは、「何をお探し?」と利用者に声を掛け、その答えに直接的に関連する本に加え、一見無関係な本も案内する。

本書に登場する利用者は5人で、それぞれ1章ずつ語られている。彼らは仕事のこと、将来のこと、家庭と仕事の両立など様々思い悩んでいるが、小町さんに案内された本を端緒に道を切り開いていく

身近に感じられる図書室の利用者たち

利用者の悩みや探し物はどれも共感したり想像したりできるもので、彼らがとても身近に感じられた。

主に通勤中の電車で読んでいたので、実際に泣くことはなかったものの、どの章でも一回は鼻の奥がツンとする感覚に見舞われた

本当に温かくて素敵なお話だ。

心の中で小町さんに相談してみよう

この春、私は社会人7年目になった。

メンタルを健康に保つための方法については色々と考えて見つけてきており、たとえば、「辛いとき、少しだけ無理をして笑ってみる」というものなどがある。

笑顔でいる、楽しそうに仕事をしていると、周りの人と円滑にやれるし、良い空気は周りに伝染する。ただ、無理のしすぎはもちろん禁物だ。本当に笑えなくなっているなと思ったら、早急に周囲に助けを求めた方が良い。

本書を読んで、「心の中で小町さんに相談する」という方法が増えた。視点を変えることで自ら問題解決の一歩を踏み出す、ということがポイントだと思うので、小町さんなら何をヒントに出すかな、と自分に問いかけてみたい。

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