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【読書】アガサ・クリスティー③


アガサ・クリスティー第3弾。今回も5冊紹介していきたい。


これまでのアガサ・クリスティー関連記事はこちらから↓


11.検察側の証人


クリスティー以外でもあまり戯曲を読んだことがなく、初めは少し形式に慣れないなと感じたが、すぐに物語に夢中になった。


会話のみで進むので、速いテンポ感が心地良い。終わり方が衝撃的で、最後の「-幕-」と書かれたページを見つめながら、舞台の幕が閉じた後に感じるであろう空白の感情を想像した。


いつの日か、舞台でもぜひ見てみたい作品。



12.書斎の死体


実は、こちらを読む前に、次に紹介する『鏡は横にひび割れて』を読み始めていた。しかし、『鏡は横にひび割れて』に登場するゴシントン・ホールでの過去の出来事が書かれているのが『書斎の死体』だと知り、『鏡は横にひび割れて』を中断して先にこちらを読むことにした。作品同士に繋がりがあるのは楽しい。


人の言うことを無条件に信じず、たしかめること。細かいことも含め、事実をまっすぐ見ること。ミス・マープルのやり方は、日常生活でも役立ちそうだと思って、心に刻んだ。


13.鏡は横にひび割れて


ミス・マープルの身体が弱ったり、新住宅地ができたり、冒頭から時代の移り変わりがもの悲しいなと感じたが、最後まで切ないお話だった。


同じゴシントン・ホールが登場するといっても、『書斎の死体』とはずいぶん雰囲気が異なる。


私が女性であることや今の時代の状況により、事件の哀しさ、やるせなさがより深く胸に迫ってきた。



14.そして誰もいなくなった



説明不要の有名作品。過去に読んだこともあったし、ネタバレのようなものを見る機会も少なくなかったけれど、それでも面白さは変わらなかった。


あらすじが本当に素晴らしいなと思う。次々と人が消えていく恐怖を味わったり、それぞれの過去に思いを馳せたりしながら読み進め、結末に納得する。


実際にはあり得ない設定なのに、「法では裁かれない悪事」が現実的なのか、状況をすんなり受け入れて、全身でスリルを感じてしまう作品。


15.ゴルフ場殺人事件


誰もが知る作品というわけではない初期作品で、私も事前知識全くなしで読んだのだが、とても良かった。色々な要素がたっぷり詰まって、贅沢な一冊だった。


一つずつ明らかにされていく事件にまつわる事実だけでも盛り沢山なのに、ポアロとパリ警視庁の刑事ジローとの争い、ヘイスティングズの恋、ポアロとヘイスティングズのやりとりなどからも目が離せない。


ポアロが尖っているのが面白い。煙草の灰などの手がかりを必死に探すのは、狩りにおいて猟犬が担当する雑用のようなもので、自身は事件の心理的側面を探るのだ、などと平然と言い放つ。


それでも、最後には言葉に負けないくらい活躍するので、ポアロはやはりすごいな、と感心してしまう。


★見出し画像紹介


イギリス、ロンドン市内を流れるテムズ川に架かるタワーブリッジ。


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