【日向坂文庫#7】『千手學園少年探偵團』金子ユミ(表紙 上村ひなの)
日向坂文庫のようなキャンペーンの良いところの一つは、これまで読んだことのなかったジャンルの本と出会えることだと思う。
日向坂46の3期生4人が表紙を務めているのは、「明日も元気になれる小説、そろってます」をコピーとし、可愛らしい表紙が印象的な、光文社キャラクター文庫である。
私はこれまで、光文社文庫の作品は様々読んできたけれど、光文社キャラクター文庫の作品を読んだことはなかった。
今回、本書を読んで、まだ読んだことのないジャンルにも面白い本がたくさんあるのだろうなと思い、世界が広がった気がして、これからの読書がますます楽しみになった。
千手學園の不思議
閣僚の妾の子である永人は、正妻の子である失踪した兄に代わり、国を動かす人々の子息が通う千手學園に入学する。
永人は、三味線弾きである母の千佳について、浅草で毎日を過ごしてきた。様々な人を見てきた永人だったが、千手學園にも、一筋縄ではいかない個性豊かなメンバーがいた。
永人は周囲のメンバーとともに、學園の不思議を明らかにしていく。章題の「血を吐くピアノ」などを目にすると、どのような謎なのかとぎょっとしてしまうが、面白く読める。
楽しめる一冊
登場人物一人一人のキャラクターが濃く、謎を解決していくテンポも良い。舞台が大正時代なのも新鮮だ。
さらっと読めるけれど、軽すぎるわけでもなく、ミステリとして真相を考えたり、一人一人の強烈な性格が形成された背景に想いを馳せたり、楽しめる一冊だ。