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【2021年本屋大賞ノミネート作品#7】『滅びの前のシャングリラ』凪良ゆう

1ヶ月後に地球に小惑星が衝突し、人類が滅亡する。

最後の1ヶ月、どのように過ごすだろうかと考えてみる。

この本を読む前なら、「どうせ世界が終わるなら、仕事するのをやめて、大切な人たちと好きなことをして、美味しいものを食べて、楽しく過ごす」みたいな呑気な回答をしていたと思う。

しかし、よく考えてみると、みんながそのような状況のとき、誰が「美味しいもの」を提供してくれるだろう。作るにしても買うにしても外で食べるにしても、食材を生産する人、運ぶ人、売る人、調理する人など、誰かが仕事をしなければ、美味しいものには辿り着けない。

大混乱になって、法律ももはや意味を持たないから犯罪行為も増えて、「楽しく過ごす」どころではないだろう。

社会の歯車、なんて言葉があるけれど、一人一人が歯車になって世の中を回しているからこそ、きちんと毎日を過ごすことができるのだな、と改めて思う。やっぱり、世界には終わってほしくない

生きづらさを感じてきた人

この本は、冒頭に述べたような状況の中、友樹、信士、静香、雪絵、Locoという生き辛さを感じてきた人々が、最後の1ヶ月に何をし、どう思うのかを描く。

世の中は大混乱で、暴力的な場面もある。一方、そんな状況だからこそ叶ったこともあるし、素直になれることもある

コロナ禍の今

程度は違うけれど、コロナ禍の今、状況としては近いかもしれない。これまでの当たり前が、当たり前ではなくなっている。

1年とちょっと前の私たちに、少し先の未来では、マスクをつけて外出は自粛、イベントは無観客、海外旅行はできない、飲食店も早く閉まる、などと言っても信じないだろう。

今日と同じような明日が来るかはわからない

大事にしてきたものを捨てたり、少し大胆になったりすれば、今とは違う景色が見えるのかなと感じた。

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