完全キャッシュレス化について

昨今、アポ電強盗、詐欺、窃盗、違法薬物事犯が連日のように報じられる。

そこで本稿では、これら諸事犯の根本的解決案について論じる。

上記諸事犯に共通するのは金銭がらみ、ということだ。
金銭そのものを騙し取ったり盗んだり、物品を盗む場合でも、結局は現金に換えることになる。違法薬物についても、必ず現金のやり取りが生じる。

ここまで書けば察しはつくと思うが、諸悪の根源は "現金の存在" だ。
現金の持つ強力なる匿名性、独立性 (非ネットワーク性) 、被蔵匿性が
諸事犯を構成する。

そこで、この国の幸福度増大のために - これは決して大仰ではない ー
敢えて声を大にして訴えたい。

可及的すみやかに一切の現金をなくせ、と。

"完全"キャッシュレス化(とともに、決済機器を生体認証デバイスに限定し個人番号(マイナンバー)・法人番号とあらゆる金融口座を紐づける)により

通貨偽造、身代金誘拐はもとより、強盗、窃盗、恐喝、詐欺、横領などの 財産犯に対する防犯、捜査、司法、拘置刑務に係る莫大なる諸コストを解消(罪種によっては、犯罪自体の消滅もあり得る) ないしは大幅に削減できる。

上記犯罪が激減すれば、国民の心の安寧は大きく担保されることになるが、これは経済的コストでは計り得ない、まさにプライスレス効果をもたらす。

事犯に殺人や自殺が付帯した際には何より尊い人命が棄損される訳であり、失われるべくもない人命を救えることだけを以てしても、充分断行するに 価(あたい)しよう。

また、犯罪関連以外にも様々なコストを解消できる。

まずは金銭の不払い。税金(納税拒否・脱税)、借金、違約金、損害賠償金、罰金・反則金、賃貸・貸借料、過料、慰謝料、給食費、離婚後の養育費 etc.
これらは取りはぐれて泣き寝入りしたり、調査、取り立て、回収に時間や 人件費が膨大なコストとなるが、全て解消でき、“逃げ得“ も掃滅できる。

次に金銭の不正使用。暴力団等の反社会勢力らの地下経済活動による巨額 資金 (アングラマネー) の流れを不透明化しようとする資金洗浄 (マネロン)、政治資金の裏金、賄賂、私的流用、賭博、売春、違法薬物取引 etc. 
これらに係る国内での金の流れは把握でき、各々の事犯摘発に直結しよう。

ハード面のコスト。(ATMやCD、両替機、レジスター等の)現金取扱装置や(国立印刷局や造幣局の)通貨製造機の設備費、保守点検費、機器搬送費、維持費、人件費、設置スペースや土地建物 etc. これらも一切不要になる。

他にも, 現金輸送費や警備費, 金融機関窓口や店舗レジ等の現金関連の人件費も膨大で、総計では年間1兆5000億円にものぼる社会的コストを削減できるとの試算もある。

コスト削減だけでなく、保険金、給付金、還付金や個人間の送金が簡素化 でき、実店舗の無人化省力化、支払い内容のビッグデータ活用による消費 利便性ならびにサービス向上、決済・送金オペレーションの生産性向上、 インバウンド需要の更なる賦活化、50兆円にものぼるタンス預金の表出化、など、経済に与える影響も計り知れない。

ことほど左様に、キャッシュレスが単なる「かんたん便利、けど使い過ぎ ちゃう」ごとき次元を遥かに超えた、極大インパクトを社会に与えるものであることが分かる。

経済合理性、利便性にとどまらず、社会正義の実現と秩序維持の確守、  人命・人心尊重の観点からも、"完全"キャッシュレス化の遅滞そのものが、もはや罪業であると言っても過言ではあるまい。

(なおも現金使用に固執する者は、間接的に犯罪や除去できうる社会的不条理の放置に加担している、とまで言っては流石に言い過ぎだろうか)

課題は、キャッシュレス化のスピードだ。政府は2025年までに決済の40%をキャッシュレス化する目標を掲げているが、収量漸減則(※)により、漸進的積極介入なしでは "完全" キャッシュレス化は延々と完遂しないだろう。

法則にのっとれば、キャッシュレス比率が高まるほど、その伸びが鈍り、 完遂までの期間が延伸し、少量の現金通貨流通のための諸維持コストが  相対的に増大し、ついには発散(無限大に爆発)してしまうことになる為、

地デジ完全移行の3年前からアナログ停波告知が行われたのと同様、
充分な移行期間を設けた上で、速やかに "現金失効化" 告知を行うべきだ。
(上記法則により早晩、告知せざるを得なくなるのは必定ともいえる)

現金という、これまで世の中で最も信頼あるモノが失効するとは、すこぶるセンセーショナルに響くが、例えば2030年1月1日から現金は利用不可になるなどと十二分に余裕を持った期限を明示し、繰り返し告知することにより、

店舗ではキャッシュレス決済機器導入等の対応が粛々と行われ、個人はその動向を伺いつつ、現金を金融口座に移すなり、スマホ等生体認証デバイスにチャージすればいいまでのことだ。すべき行動は至って地味かつ平易であり充分な猶予が与えられれば、決して混乱をきたすようなことはなかろう。

世間で皆があまねく、より円滑に "完全" キャッシュレスに移行できるよう、
金融資産が一定額以下の個人 (貧困者)、小規模商店に対しては希望により、金融口座照会許諾を条件とし(ナンバー紐づきの為、極めて迅速かつ網羅的、反復恒常的に照会できるため、これにより不正申請は不可能となる)先番的税務調査対象となるむね告知の上(これも不正申請抑止を目的としたものである)、スマホや決済機器導入等に係る初期費用の全面補助を受けられる ようにする。また、

高齢者については一定額以下の商品を対象に、何割かの還元キャンペーンを政府が実施し、強烈なるインセンティブを与えて、心理的障壁を払拭するもよい(生体認証とナンバーの連携により年齢照会できるため、こうしたきめ細かい補助施策も、アプリ改変で比較的容易に展開できよう)。

前述の社会的コストの一部とはいえ、莫大なる財政コストを恒久的に毎年 削減でき、なおかつ完璧な徴税により税収も膨らむわけなので、上記補助金の調達は一時的であることからも、財源は全く問題なく確保できるだろう。

あとは時の政権首班の、国民心情に訴える熱のこもった演説をもって、完全キャッシュレス社会を見据えた速やかなる現金失効化宣言を待つばかりだ。

読者が今後、金銭にまつわる犯罪報道を見聞きするごとに、
完全キャッシュレス化についての拙論を、賛否を問わず、
想起して頂ければ、望外の喜びである。

収量漸減則:費用に対して効果がある時点を境に頭打ちとなり、費用対効果       (コスパ) が減少していく、という法則。
事例:一生懸命勉強すると初期ほどテストの点は伸びるが、いずれ頭打ちとなり、当初のような努力の割には成績が伸びなくなる、といった現象。

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