「ぼくさみしいの」と君は言った
食事中、ふいに息子が椅子から降りて脂の付いた手で発送準備中のCDを持とうとした。
とっさに「人に送るものだから触っちゃ駄目だよ！」と払い除けたら、急に呆然とした表情になり、テーブルの下でこたつ猫みたいに丸まってしまった。
え、そこまでのこと…？と思いつつ理由を聞いたら「ぼくさみしいの」と。
ほどなくして、大粒の涙でガン泣きし始めたので、ごめんねごめんねと謝りつつ、膝に抱っこして話を聞いてみる。
ニューアルバム"Crossborder"のリリース後、僕がCDにお礼のメモを貼り付け封筒に宛名を書いたのを発送するのを度々手伝ってくれていた彼は、人にはCDをあげる(売ってるんだけどね)のに、自分にはくれないことを密かに寂しく思っていたらしい。
「そっか、そうだよね…デザインラフの時から見てくれてたもんね。じゃあ、蓮にも一枚あげようか。欲しい？」
「うん…ほしー」
「はいどうぞ」
「…あけてもいいの？」
「いいよ」
「じゃ、いまきこうよ、いま」
「お、おう。」
手元にCDプレーヤーがないしパソコン開くのも面倒なので、スマホ内の音源を再生したら1曲目のビートルズ冒頭10秒でめっちゃ笑顔になった。
「もう泣かない？嬉しい？」
「うん！うれしー」
なんだ君、CDが欲しかったんじゃなくて愛が欲しかったのか。大丈夫、CDには限りがあるけど、家族の愛に限りはないから。
__
P.S. 限りあるほうのニューアルバム"Crossborder"はこちらです。
Spotify
CD購入はこちら
#子育て #パパはピアニスト #息子は甘えんぼ #crossborder
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？