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絶望SES(恐怖の現場ガチャ)

SESの世界で夜な夜な行われている運命のくじ引き、それが現場ガチャです。

自分が通う会社は自分の会社ではありません。
自分の席は自分の会社にありません。
自分の職場は自分で決められません。

それがSESです。BP(ビジネスパートナー)です。

未来の自分の運命はすべてガチャが握っています。
ガチャだけが次の現場を知っているのです。

今宵はそのガチャで散っていった仲間たちの話をしましょう。

Lv.1 孤独のランナウェイ

いわゆるアンダーBPというやつで、たった独りで他社のプロパーの下に放り込まれます。
(プロパー = 正社員)
コミュ力が無いと生きていけません。
さすがのZ世代でもこの孤独さには絶えられないでしょう。地獄です。

Aさんは誰ともしゃべれず、毎日黙々と仕様書を読み、そのうち居なくなっていました。

Bさんは毎朝大きな声で挨拶し、現場のプロパーに気に入られ、飲みに誘ってもらうようになり、幸せな毎日を過ごしていました。

孤独に勝つ最大の武器はコミュ力なのです。

Lv.8 島流し

遠く海の向こうへ飛ばされます。自社の同期と会えるのは半年後かもしれません。
マンスリーマンションならまだマシ、寮に放り込まれるかもしれません。
周りには何も無くコンビニで買うビールが唯一の楽しみ。

Cさんは車を購入し、毎週末に釣りやらキャンプとレジャーに出掛けてエンジョイしていました。

Dさんは寮に放り込まれ、最初は「金が貯まるから良いかも」と言っていたのですが、相部屋の人とうまくいかず、いつの間にか居なくなっていました。

金は貯まるかもしれませんが、楽しいか否かはその人次第です。

Lv.21 トイレがひとつ

短期決戦でアパートの一室を借りて缶詰めになることがあります。私が飛ばされたその一室にはトイレがひとつしかありませんでした。
しかも男女兼用

泣けてきましたね。

Eさんは女性のエンジニアでした。しかも20代。さぞかし嫌だったと思います。彼女は近くのコンビニのトイレに通っていました。
いつの間にか居なくなっていたことは言うまでもありません。
私に権力があれば彼女を助けられたかもしれない。。。
人の人生を左右する運命の現場ガチャを憎みました。

Lv.57 へんぴな場所

周りに工場しかない、コンビニが24時間営業じゃない、交通手段はチャリとバスのみ等々、大外れを引いたらそうなります。次の現場ガチャが回るまでじっと耐えるしかありません。

これは私が経験しました。今ではNGとなっている、出向先から別の現場へ長期出張するというケースで、ド田舎に飛ばされて2カ月間耐えました。土日に食料まとめ買いしておかないとカップラーメン生活でした。
まるで昭和の正月休みでしたよ。

Lv.78 タコ部屋

大きいプロジェクトになると人が増えて作業フロアが足りなくなり、チーム丸ごと移動させられることあるんですよ。
これも私の経験なんですけど、なんか物置みたいな部屋にパイプ椅子と長机置いて、40人くらい詰め込まれたことがありましてね。
ちょうど夏で、まさに熱帯雨林でした。人としての生活からかけ離れていましたね。

その部屋でね、ある日突然Gが出やがって、女性社員がギャーと騒いでそりゃもう地獄絵図でした。今でも忘れませんよ。
ゴキジェットが常備されている部屋、名付けてG部屋です。

Lv.99 大火事

誰が見ても修羅場の現場があります。二階に逃げてハシゴ外された状態とでもいいましょうか。デスマーチ極限状態。
こういう所に飛ばされるのは前任者が逃走して代えの要員(生贄)というパターンが多いですね。
きっと家には帰れないでしょう。片道切符です。

がしかし、これを乗り越えればスーバーマンになれます。プロジェクトがカットオーバーして、帰還の際は全社員から羨望の眼差しで見られることでしょう。そう、あなたは打ち勝ったのです!

F先輩がそうでした。毎日まるでゾンビにようにフロアをさまよっていました。髭ボーボーで、仙人のようにどこか遠くを見つめていました。

彼はいつ寝ているのか?

後輩たちはこぞってF先輩を崇拝しました。

プロジェクトカットオーバーの鐘が鳴ったとき、F先輩は膝から崩れ落ちました。

後輩たちは怒号を上げて居酒屋へ雪崩れ込み、その中に私も居ました。

今となっては良い思い出です。

その後、F先輩は神
じゃなくて部長になりました。

そして私は

現場ガチャからは距離を置き、今では自分の席がちゃんとある会社で働いています。

さよなら現場ガチャ。

もう二度と拘わることはないだろう。。。


おしまい

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