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ベンチャーで必要な知識とは

こんにちは、ジョージ・アンド・ショーンの松橋です。
今回は社員インタビュー第4回目です!本インタビューでは、ジョージ・アンド・ショーン(以下G&S)に参画されている皆さんに、「実際どんな会社なのか、どんなことをしているのかイマイチよくわからない…」という疑問をストレートに聞いていきます!ぜひお楽しみいただけたら幸いです。
よろしくお願いします。

第4回目社員インタビューは共同創業者として代表の井上さんと共にG&Sを起業された、CTO(Chief Technology Officer)の中村 晋吾さんに、とくにベンチャー企業で開発者として意識するべきことについてじっくり伺いながら、中村さんの将来的な展望についてもたっぷり語っていただきました。

プロフィール

―現在、G&SでCTOとして働かれている中村さんですが、これまでエンジニアとしてどのようなキャリアを歩まれてきたんですか。

大学院では自動運転の研究に没頭していました。大学院卒業後は、外資系コンサルティングファームのITコンサルタントとして、主に上流のシステム設計を数年行っており、その後、ブラウザ開発の会社に移り、エンジニアとしてデスクトップ向けウェブブラウザの開発を担っていました。

ちょうどその頃くらいから、大学院で研究室が一緒だった井上から「こういうものが作りたいから、開発面でのサポートをしてほしい」と連絡があり、事業構想や将来について二人で少しずつ話を進めていました。その後2016年にG&Sを起業することになり、当時はまだ二足の草鞋でしたが、どんどん深入りしていくようになりました。

世界最大級のIT関連見本市「CEBIT 2018」@ドイツにて「biblle(ビブル)」初ブース出展
(左:中村/右:井上)

ー最初は二足の草鞋で関わられていたんですね。そこからなぜ、G&SのCTOになろうと思ったのですか。

もともと技術が好きな人間なので、独立して技術者としての可能性を最大限に広げたいという気持ちが強かったのがあると思います。また、井上に声をかけられた当初から、CTOとして一緒にやってほしいという雰囲気は感じていました。
私も徐々に深入りするかたちで紆余曲折はありながらもローンチにまでたどり着いたbiblleのリリースのタイミングで、創業から2年後に本業でのエンジニアを退職し、G&SのCTOとして本格的に始動しました。

ビジョン実現を技術面から支える


また、よくスタートアップでCEOとCTOで意見が分かれてもめるなんてことを聞いたりしますが、初めから仕事と友達の関係をある程度分けたスタンスで、井上にはとことん思いっきりやってもらって、自分はそれをCTOとして技術面から全力で支援する立ち位置にいようと考えていたので、関係性でも悩んだことはないですね。

さらに私が条件として出したフルリモートの働き方に対しても即答でOKしてくれたのもそうですが、開発に打ち込める環境を整えてくれたのも大きなきっかけでした。スタートアップとしてはCTOを決めるというのは非常に大きな決断だと思いますし、そこまで期待してくれたこと、G&Sが目指すビジョン、壮大な事業構想にも強く共感ができたこともありますね。

ーG&S創業当時はどのようなことをされていたのでしょうか。
 
創業当時はファーストプロダクトの「biblle(ビブル)」の製作に励みました。アプリだけでなく、ハードウェアの開発も行わなければならなかったので本当に多くの時間を要しました。特にアプリがうまく動作しない時、電波を発信する機械のため、アプリが悪いのか、ハードが悪いのか、電波が悪いのか、果たしてもはや電波を阻害するような環境が悪いのか、試行錯誤を重ねました。
 
また、ルクセンブルクでの展示会は今のG&Sの事業のコアとなっている、認知症及びMCIを早期検知する仕組みつくりへ方向性をシフトするような大きな転機となりました。それまでも社会課題の解決を軸にビジネスを考え、探し物タグとしてプロダクトを終わるというよりかは、そこから派生した礎となる位置情報を検知するインフラを築き、検知網を広め、高齢者の方や子供が安心して暮らせる社会を創りたいという思いでbiblleの開発を行っていました。
 
ですが、その時目の当たりにしたのはビーコンタグに対しての付加価値を求める声と最新技術に精通した海外の人の厳しい意見でした。そこから、ビーコンタグを使った位置情報システムの可能性を模索し、タグを付けた人から収集される”日常の行動のログ”から得られる情報を利用して、認知症になるであろうと予知・検知される患者様を早期発見できる機械学習プログラムの開発及び認知症の手前時期のMCIの早期発見・早期治療につながるプロダクトつくりへと方向転換し、現在までNTT西日本様、JAIST様など様々な企業様と連携し開発を進めてきました。

(アプリと端末(タグ)で優しい社会を作る企業「ジョージ・アンド・ショーン」が NTT西日本、シャープ、JAISTと連携し、 認知症の予知を行う機械学習プログラムを開発 -90%を超える精度で”認知症患者の早期発見を行う実証実験”の第1期を終了-)

世界のスタートアップが最新技術/サービスをお披露目する「4YFN」のジャパンパビリオンエリアにJETRO選出の日本代表スタートアップとして出展。@ スペイン・バルセロナ

ー現在、G&Sで取り組まれていること、CTOとしてどのような役割を担当されているのか教えてください。

今、担っている事業は主に3軸で「biblle(ビブル)」の刷新開発、地域コミュニティアプリ「KYOUDOKO(キョウドコ)」のモバイルアプリの開発、新規事業のアンドロイド開発やWEBアプリの開発を行っています。エンジニアとしてPMの補佐も含め、黙々とプログラムを書いています。

創業間もないベンチャーに集まってくれたメンバーに加え、最近ではエンジニアも含め20名ほどに増えました。ようやく会社としてのラインナップの土台が出来てきて、準備がようやく整ってきたと思います。
G&Sの場合、エンジニアといっても兼業メンバーが多く、各自の働き方やスキル・経験など多様なので、そういったメンバーに最適な開発環境を整えてあげていきたいと思っています。

「フルスタック・フルサイクル」自己解決能力の必要性

―少し技術的な面もお伺いしたいのですが、ベンチャーで必要な技術知識はなんですか。

開発者の方は特に「フルスタック・フルサイクル」という言葉を聞いたことがあると思います。「フルサイクル」とは、例えばアプリを作るときに、はじめにどういうものをつくるかの設計を考え、要件定義を設定、2番目にプログラムを書いて開発する作業、3番目にそれをテストする工程、4番目にそれをリリースして、継続的にメンテナンスなどの運用する、という一つの一連のサイクルがあり、この全てに携わることをフルサイクルといいます。

もう一方で、「フルスタック」はもう少し技術的な観点になります。例えばモバイルアプリを作れるけど、サーバーはできませんというと、“モバイルアプリエンジニア”と呼び、iOSやAndroidの開発ができる人ということになりますが、開発に関わる全ての知識、例えばサーバーもやります、モバイルもやります、ウェブもやります、全部の工程ができることを「フルスタック」といいます。

技術知識とは少し離れますが、ベンチャーで開発に携わる上で上記の「フルスタック・フルサイクル」な開発についての意識は重要な鍵となり、現時点でできる、できないは置いておいて、一連のサイクルにどれだけ自分が携わることができるかを常に考える気持ちがとても重要です。

最初はウェブのみ開発する、などスタートはそれで良く、その後作るだけではなくて、実際にそれを改善していきたいと思う気持ち、サーバー側にも手をだしてやってみようだとか、特定の範囲だけでなく、開発の全部に携わるという心意気がやはり大事になってくると思います。

―ベンチャー企業では人数が限られているからこそ、こうした心がけが大事なのですね。

私自身も今も新規事業でやったことがない開発にも挑戦したり、新しいことをやってみたりしています。何か新たなプロダクトをつくろうとなった時に何をつくるか、どんな言語を使うか、フレームワーク、ライブラリなど自分で分からない時に、もちろん人に相談することも解決の一つです。

ですがベンチャーでは大企業のようにこの部分はこの部署が専門で、精通している人がいるというわけでないため、みんなが確実に分かるわけでもないのでもないものです。そういった時にやはり自分で調べて、はじめて触るものでも試しに動かしてみるという気持ちが大切で、メンバー一人一人が自己解決できる力をつけていけるよう、フォローしていきたいですね。

―IoTからAIまで開発を手掛けるために必要な知識はなんですか。

IoTだとハードウェア、AIだと数学的な話も入ってくるので、プログラムの知識以外のパターン認識やそれぞれ最適化技術の知識が必要となってくると思います。ですが重要なのはAIのニューラルネットワークの知識など、一個一個のトピック的なことでなくて、上記でも話したように「何でもやりまっせ!」の精神なのです。

例えばIoTだとRaspberry Piは入門編ですが、自分でLEDと合わせて買ってみて、どういう仕組みか実際プログラムをPythonで組んでみます。ここにはもちろん根気強さも大事になってきますが、どちらかというとそういった原動力となるのも「どうなっているんだろう→試してみよう→動いた!」など子供心的なプログラムのABCを楽しむ気持ちだと思うので、そこが必要だと思います。

G&SのCTOが思う未来イメージ

―最新技術に日々接している中村さんにITに限らず、なんでも作れるとしたら何をつくりたいかお伺いしたいです。

子供の頃からずっとロボットを作りたいと思っていて、大学院時代もみんなロボット作りたい人が周りに多かったんです。もはやロボット作るために大学に入ったようなもので、私もその一人でした。
修士論文ではアクタークリーティック(actor-critic)という、強化学習のフレームワークを用いたシミュレーターを作って、車のハンドリング、ペダルの操作を学習させるシステムをつくり、機械学習の面白さをそこで味わったので、将来的にはそういう技術を使って何か作りたいなとは思います。

―G&Sの中で今後やってみたいことを教えてください。

Flutterを使った、クロスプラットフォームな開発環境には非常に興味があります。iOSのアプリを作るときはswiftという言語を使ってプログラムを書きますが、一方でAndroidの時はkotlinの言語を使ってそれぞれプログラムを書きます。それをFlutterだと、Dartという言語を書けば、 iOSのアプリもAndroidのアプリも両方作ってくれるのでとても便利です。
実際、現在行っているbiblleの刷新開発はクロスプラットフォームな環境で作っていますが、私はまだあまり携われてないので、これから力を入れていきたいです。

―クロスプラットフォームな開発環境でG&Sで将来作りたいものはありますか。

現在、G&Sではbiblleを使った、位置情報に特化したIoT増進サービス「施設360°」、AIによる日常的な脳健康度チェック「Cognivida」、脳機能維持のための生活改善「KYOUDOKO」、さらに脳機能推移の見える化による継続インセンティブを提供しており、住んでいるだけで健康になれる都市づくりを目指しています。

少しスケールが大きくなりますが、技術者としてこのウェルネスシティ構想の実現に向けて作りたいのは街ごとのコントロールセンサーのようなダッシュボードを作りたいと思います。その中で位置情報もbiblleだけでなく、監視カメラや衛星カメラ、ドローンも使用可能なら飛ばして、いろんな技術を組み合わせて使って、総合インフラをG&Sが作れたら非常に面白いですね。

例えば映画で見るような、主人公が衛星カメラで犯人を追っていて、2ブロック先の××通りに犯人がいるのが分かる、だがその近くには住居もたくさんあって、人が移動している熱源を検知してこの建物の中には人が数人いるから、ここでは銃撃戦はできないなどそういった場面があったりしますが、「あれ。これってすごくないか!」と思いますし、自分がこれをつくれたら、こういった景色をみんなで見たいなと思ってしまいます。

世界の一流が集まるスポーツサミット「Sport Innovation Summit Tokyo 2018」にて登壇

―技術の組み合わせによって可能性が広がりすごくワクワクしますね!
最後に中村さんの将来の目標を教えてください。

元々、自分の親と一緒に働きたかったという思いがあって、将来は子どもと一緒に働きたいという気持ちが大きいです。今、子供がサッカーをしているので、サッカーチームを作って監督になるか、技術とサッカーが融合したITな会社を作るのもいいですし、働く環境を整えて、家族経営が今の夢です。




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