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「思い出のマーニー」 〜ジブリ公式画像で感想を書く〜

    スタジオジブリが、「常識の範囲」で使用可能な、作品画像の公開を始めました。
    そこでいざ、今まで書きたくても書けなかったコラムを書いてみました。
    映画の画像を使った感想文著作権もろもろの問題があって、扱いにくかった画像。それを堂々と使用できる
    どんな感想文になるか、これから書く身にも分かりません。とにかく書くのが楽しみ。但し、ネタバレありですのでご注意を。

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心身を病んだ少女の物語

    冒頭の場面から引き込まれました。

    「私は、私が嫌い

    このセリフにより、すぐに、これは今までのジブリ作品とは違うなと気付きました。
    これまでのジブリ作品(というか宮崎アニメ)に出てくる女性は皆、心身ともに頑健なキャラばかりの印象でした。
   本作では、ぜんそくという身体症状とともに、心も病んでいる少女を描くということを、冒頭ではっきりと示しました。
    自分も心を病んでいる身なので、この導入部はとても印象的でした。

    「この世には目に見えない魔法の輪がある。輪には内側と外側があって、私は外側の人間

    このセリフも心に突き刺さります。
    おそらく、映画を見る人自身が「内側」に居るか「外側」に居るかによって、印象が全然違ってくるセリフではないでしょうか。
    常に「内側」に居るのが当たり前な人には、共感するのが難しいのでは。
    私は、子どもの頃から「外側」に居ることが普通でした。無理して「内側」に入り込もうとする無駄な努力ばかりしてきたところは、この映画の主人公とは違いますが。
    公園での写生を通じて、輪の内側と外側を示し、外側の杏奈の居る位置が、木の影で暗くなっている場面が象徴的でした(この場面の画像が欲しかった!)。

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家族療法

    見終わった後に、↓この本と、その中で説明されている「家族療法」のことが頭に浮かびました。

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    家族療法の詳細については、ここでの説明は省きます。正確に説明できるほど理解しているわけではないので。知りたい方は、本書のような専門的な本をご参照ください。
    ただ、この映画で、杏奈がマーニーとともに辿る道程は、家族療法の過程とよく似ていると感じるのです。
    米林監督は、家族療法を学んで明確に理解した上で、この映画を制作したのではと思えるほど。
    映画を再度見ると、今度は杏奈とマーニーの関係が分かっています。二人が辿る過程は、杏奈のルーツを辿るという、家族療法で使う一手法に沿っていると感じるようになります。
    その過程の到達点を、見事に描写するのが、この場面です↓

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    マーニーに対しての赦し、かつ自分に対しての赦しと癒しを得た瞬間。杏奈の心の病が癒された瞬間でもあります。
    そう覚った時に、見ている私も
    二度目に見る映画で初めて涙するのも珍しいです。

アルハンブラの思い出

    学生時代に、クラシックギターに熱心に取り組んだ人間としては、この映画に名曲「アルハンブラの思い出」が、効果的に使われていることを、取り上げないわけにはいかないでしょう。
    持っているギター関連のCDで、最も多く収録されているのがこの曲でしょう。ナルシソ・イエペスの生演奏も聴きに行きました。いくら練習しても、なかなかできなかったあのトレモロ奏法(できる人は簡単にできちゃうんですが…)。結局、弾けるようにはなりませんでした。それでも、自分の中では、最も美しい名曲であることに違いはありません。

    この場面で、マーニーが「アルハンブラの思い出」の旋律を口ずさみながら、杏奈と踊るわけですが↓

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    曲自体にも思い入れが深いものだから、曲ばかり聴いてしまって、肝心の映画の場面が頭に入ってこないのです!
    これにはまいりました。好きな名曲が映画やドラマに使われるのは嬉しい反面、こういう問題もあるのだなと。素直にBGMとして、割り切って見られればよかったんですけど。

    この場面でも歌われますね↓

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    「アルハンブラの思い出」は、杏奈とマーニーの絆を象徴する曲でした。

原作

    映画を繰り返し見てから、原作を買いました。但し、洋書で。
   ハリー・ポッターでもダ・ヴィンチ・コードでもそうでしたが、原作が英語で入手できる場合は、なるべく原文に接するようにしています。

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    映画化される前のエディションが欲しかったんですが、時すでに遅し。洋書の表紙もジブリ色に染まってしまっていました。しかも、微妙に「コレジャナイ」感が…。

    原作は映画とはだいぶ違いますね。
    アンナとマーニーとの物語は前半のみ。しかも、マーニーの描かれ方は何だか幽霊のようです。事実、英語でghost storyとして紹介しているサイトを見たことがあります(洋書の表紙も、水面にマーニーの姿が映っていないことに注目)。
    後半は、映画にはない展開。アンナにいきなり5人きょうだいの友だちができます。その優しき母親が、アンナを見守りつつ、マーニーとは誰なのかを探る、ちょっと探偵モノじみた?展開になっています。
    原作と映画とで、物語の何を重視したかの違いが興味深いです。

    ところで、映画の中で寡黙な十一(といち)という男↓

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    原作ではWuntermennyという、カタカナにも日本語にもしにくい、不思議な名前になっています(英国Norfolk訛り?)。
    しかし、この名前には「十一人目の子」という意味が込められています。そのため、邦訳で「十一(といち)」という名にしたのは、なかなか的確な訳だと思います。

映画を見るきっかけ

    映画を見ようと思ったきっかけは、妻のSNSつながりの、ギリシャの青年からのオススメでした。
    彼は筋金入りの日本オタク。アニメ大好き。一方、我々夫婦は、日本に住む日本人なのに、アニメ情報に疎く、最新情報は彼から逆輸入されることも多いです。
    彼から「『思い出のマーニー』いいよ!」とオススメされたのがきっかけとなり、レンタルDVDで見ることになります。
   (ちなみに「君の名は。」も彼からオススメされました) 

    見終わって、妻が彼と映画の感想を話し合っていた時、彼がものすごく気になったのは、この場面なのだそうです↓

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    「日本にはこういうフェスティバルがあるんだね!カラフルで楽しそう!
    七夕まつりの描写がツボにはまったようです。

おわりに

    いや〜、楽しいですね、公式画像をちりばめながら、映画の感想を書けるというのは。
    いずれ、風の谷のナウシカ、天空の城ラピュタ、魔女の宅急便の画像が公開されたら、また書いてみたいと思っています(これで将来のnote投稿ネタを3つは確保できた 嬉)。

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