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【ESG】HSBCは温暖化対策に向けて、加速化をコミット、株主の過熱化する要求も沈静化。

HSBCが年次株主総会で温暖化対策について、具体策をコミットし、投資家から納得を得られた模様。今後、他の金融機関も追随する動きが続くと見込みます。

こんにちは英国紳士です。機関投資家や海外駐在員を経験し、準富裕層になった私の投資や海外経験について付加価値のある情報を提供しています。

1.HSBCのコミットメントとその背景

パリ協定の遵守やその後のカーボン・ニュートラルの達成に向けて、各国金融機関はソフトなコミットメントを明言していますが、投資家の要求は益々過熱化しています。

多くの年金基金やソブリンウェルスファンドは、温暖化対策に対する要求を強めており、より早期に具体的なコミットメントがなされない場合には、株主として行動も辞さない構えを示しています。とりわけ、欧州ではESGに対する環境意識は強く、HSBCに対して、投資家グループは強硬な議案の提出を示唆するなど、年次総会に向けてプレッシャーが高まる状況が続いていました。

そんな中、HSBCが提示した計画は、「2021年中に石油・ガス・電力セクターについて、2022年中にその他のセクターについて、科学的根拠に基づいた施策を短期・中期的な時間軸で策定・発表する」というものでした。

また、年次ベースでアニュアルレポートにて進捗状況を報告するという、投資家が強く要望していた内容も盛り込まれました。

投資家グループは来年はより強い要求を検討すると含みを持たせるものの、今回は同行の提案に一旦は応諾した状況です。同行にとっても、投資家期待地をコントロールしながら、目先の計画策定に集中することができるため、当面の時間を稼ぐことに成功したと解釈できます。

2. 今後の見通し

投資家との対話の中で、ESG政策を策定・実行していく流れは、今後、金融のみならず、あらゆるセクターで起こるトレンドと考えられます。2030年、2040年といった途方もなく長いタイムラインでなく、今回のHSBCのように、短期的にもできることは、計画を策定し、進捗状況を外部に公表することが強く求められています。

日本の金融機関においても、同様のプレッシャーや自発的な動きは継続するものと思われます。株主のみならず、資金の貸し手である銀行も、環境対策を怠る企業に対しては、改善あるいは退出を求める動きが強まると見込まれます。

投資の観点では、各業界の中では、どのプレイヤーが温暖化対策で先行しているかを把握し、とりわけ対応が遅れる企業については、投資対象として慎重になる必要があるかと思います。企業業績のみならず、グローバルトレンドである環境対策の巧拙が、投資パフォーマンスに影響を与える局面は継続すると思われます。

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英国紳士

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