[UFC286]ウスマンまさかの連敗
UFC286のメインイベント、レオン・エドワーズ VS. カマル・ウスマン3は圧倒的な差をつけてウスマンが勝利するものだとばかり思っていたので、エドワーズがウスマンを判定で退けたのは衝撃的だった。
総合的に高いレベルにあるウスマンが2度同じ相手に負けるということ自体非常に驚きだが、それくらい前回の敗戦はウスマン自身にとっても大きな衝撃となっていたのかもしれない。
というのも今回の一戦で僅差ではあるが判定に差がついてしまったのは、ウスマンが安定した勝利に固執してテイクダウンに望みを託しすぎていたせいにも見えたところがあった。
現にウスマンはテイクダウンを成功させるまでの1・2ラウンドは流れを掴めていなかったが、エドワーズからテイクダウンを奪った3ラウンドは勢いを取り戻していた。
そこからテイクダウンを奪って気持ちが落ち着いた様子が伺える。
しかし4ラウンド以降テイクダウンでエドワーズをコントロールする事ができず、組み展開からスタンドに戻ると打撃でエドワーズに押されがちになってしまった。
テイクダウンを起点にしてポイントを稼ぐという計算が狂い始めたのが、ウスマンの動きにも現れていた。
終始ウスマンはプレッシャーを掛けてエドワーズをケージ側に追いやっていたが、有効打で差をつける事ができておらず、逆に実直に蹴りでダメージを与えながらクリーンヒットを奪ったエドワーズにポイントを奪われてしまうことになってしまった。
恐らくエドワーズは前半のラウンドでウスマンの生命線がグラウンドコントロールにあることを感じ取ったのではないかと思う。
実際に終盤のラウンドではウスマンの組みに対する対処もしっかりと行われていて、テイクダウンを取られないように修正がなされていた。
結果的にやや神経質になりすぎた感のあるウスマンは自身の長所を活かすことが出来なかったが、エドワーズはらしく試合を進めて防衛戦のプレッシャーを振り切った。
勝利を手繰り寄せることに早ったウスマンをエドワーズが冷静に処理したことで、エドワーズはベルトを守ることに成功した。
結局時代は動かないだろうと思っていたが、エドワーズはウスマン相手に見事連勝を収めてみせた。
絶対王者を退けてウェルターの王となったエドワーズは次の戦いで誰を相手取るのか。
会場にはコビントンの姿があったので、ぶつかる可能性もあるだろう。
また、まだまだ王座を諦めていないウスマンも再びベルトを求めてトップランカーと鎬を削ることになるだろうと思うので、そちらの動向にも注目したい。
個人的にはウスマン・チマエフ・ラフモノフ、この3人がいずれかの組み合わせでぶつかることを期待している。