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[Bellator] ペティスVS.ミックスに見る堀口恭司の総合力

先日行われたセルジオ・ペティスVS.パトリック・ミックスのバンタム級タイトルマッチ。

バンタム級GPを制した暫定王者のミックスと現王者のペティスが行うタイトルマッチは王座統一戦でもあった。

堀口恭司に劇的フィニッシュを収め、パトリシオ・ピットブルに勝利したペティスがGPで数々の強豪を下してきたミックスとの大一番。

バンタム級タイトルマッチ
●セルジオ・ペティスVS.○パトリック・ミックス
※ミックスの2R一本勝ち(RNC) 新チャンピオンの誕生

結果はミックスの一本勝ち。

バックを取ったミックスがボディトライアングルでペティスをコントロールし、ディフェンスする腕を足でロックされたペティスはミックスにチョークを深く極められてしまい、敢え無くタップアウトした。

これで正式に王座を統一しバンタム級のチャンピオンとなったパトリック・ミックス。

彼には驚異的なグラップリング技術に加えてもう一つ目立つ要素がある。

それは彼のサイズである。

ペティスが168cmなのに対してミックスは182cmもあるというので、身長差は実に14cmほどになる。

その身長差にも驚きだが、単純にバンタムの階級で182cmというサイズはかなりの大きさになる。

このサイズ差は組み技が存在するMMAにおいては大きな違いを生み出すことになるだろう。

加えてミックスは手足が細長く、グラウンド展開で多用される柔術テクニックにおいて非常に優秀な働きをする。

そして今回のようにバックテイクされ、ボディをロックされてしまえば、対戦相手は成す術がなくなってしまうことがほとんどになるだろう。

打撃面でも距離を作れるメリットがあるため、立っても寝てもサイズの大きさは強みになる。

パンチ専門のボクシングと違い、総合的な攻撃を警戒しなくてはならないMMAでは、そのリーチ差もより深刻な影響を及ぼしてくるようになる。

そういったことを踏まえて考えると14cmというサイズ差は絶望的なところがある。

王者としてベルトを保持していた168cmのペティスもミックスとケージを共有出来たのは僅か2Rだけだった。

パトリック・ミックスVS.堀口恭司

そこで思い起こされるのがミックスVS.堀口恭司。

堀口恭司はそんなミックスと対戦して、5分5Rを戦い抜いた。

結果は0-3の判定負けとなってしまったが、ミックスの好きにさせて全ラウンドをコントロールされたわけではなかった。

堀口恭司は165cmとペティスよりも小柄ながら、ミックスにバックテイクから4の字を取られても徹底したディフェンスでミスを犯さずにチョークを防ぎ切っている。

体力が削られ、ポイントも落とし焦りと疲労が募る中でも冷静な対処を行い続けた結果、ミックスにフィニッシュを許すことなくフルラウンドを戦い抜く状況を作ることが出来た。

そこには日々の反復と、それに伴う膨大な練習量によって築かれた大きな基礎の存在がある。

ATTでレスリングや柔術などの組み技やストライキング専門の練習などMMAに必要な幅広い技術と知識を身に付けてきた堀口は、類稀なるパワーに加えて経験値と技術を獲得した。

それはMMAファイターとしての安定感や堅牢さを付与することに繋がっていると感じる。

結果的にはミックスに敗戦する形となってしまったが、ミックス(19-1)はキャリア19勝の内15のフィニッシュを持っており、判定までいったのは僅か4試合のみ。

ミックス自身が敗戦したアーチュレッタ戦を除けば、Bellatorでミックスを相手に判定までいった選手は堀口恭司だけとなっている。

バンタム級GPでマゴメド・マゴメドフとラウフェオン・ストッツを、そして今回の王座統一戦でセルジオ・ペティスをフィニッシュしているミックスはバンタム級のトップファイターを仕留める実力があることを結果で示している。

そのミックスが仕留め切れなかったのが堀口恭司。

その段階でいかに総合的に優れ、タフなファイターであるのかが分かる。

フライ級の堀口恭司と今後

そんな堀口恭司はミックスとの試合を経て、バンタム級で試合を行う上での体格的な厳しさを感じたことに加えて、体質的に増量することも難しいこともあって適正階級となるフライ級へと転向することを決めている。

世界でバンタム級とやり合うことが出来た彼が成長した姿でフライ級に臨むとなると、それこそ世界でもトップレベルのクラスに属することになるだろう。

まだフライ級では扇久保博正との1戦だけとなっているが、神龍誠との戦いが年末に控えている上にRIZINには海外のフライ級選手で強豪とされるファイターも在籍しているので、彼の研鑽されたMMAが披露される機会は今後も続くだろうと思われる。

日本と世界を繋ぐMMA界のパイオニア兼レジェンドファイターとして今なお活躍を続ける堀口恭司の今後に注目が向けられる。

また新団体として立ち上げたTOP BRIGHTSの興行カードにも豪華な選手が名を連ねているので、そちらも合わせて要注目となりそうだ。


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