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[UFC284] PFPを賭けた闘い

ライト級(C)イスラム・マカチェフ VS. フェザー級(C)アレキサンダー・ボルカノフスキー

このカードが組まれた時から勝者がどちらになるのかの議論が起こり続けている。

それくらい大きな一戦、何せPFPを決める闘いになるのだからUFCに所属する選手も含めて世界中が注目する試合になることは間違いない。

ただ、もしもという仮定の上に成立しているPFPは少し曖昧な気がして一ファンとしてはイマイチぴんと来ない部分もある。

しかし、選手にとってUFCの中でPFPに位置するというのはこの上ない栄冠であるに違いない。

どちらの王者が有利か?

マカチェフ・ボルカノフスキー共に現在ベルトを保有する階級においては敵なしと言っていいほどに突出している。

またボルカノフスキーはフェザーから階級を上げてライト級で戦うことになるが、ラガーマンだった頃の彼はもっと大きな体をしていたので増量という意味では問題ないと思われる。

しかしMMAを行う上で、それがスピードやスタミナにどう影響してくるのかが問題になる。

その点マカチェフはいつも通りでいいわけなので、ボルカノフスキーに比べると不確定要素が少ない分やや有利かもしれない。

また互いの長所を比較すると、ボルカノフスキーは「ストライキング」でマカチェフは「グラップリング」と対照的で、互いにその長所に相手を下す可能性が秘められている。

ただMMAの性質を考えると、回避が難しく押し付けやすいのはグラップリングの方になるのではないかと思う。

過去の試合を振り返って見ても、ボルカノフスキーに危うさを感じたのは寝かされた後の場面であり、もしマカチェフのしつこいタックルを切れずにテイクダウンを取られてしまったとしたら強みを見せられずにコントロールされてしまうかもしれない。

ボルカノフスキーはスタンドでは有利を作れると思うが、劣勢になった状況からでも強いカードを切ることが出来るのは、テイクダウン能力に長けるマカチェフの方なのではないかと思うので、有利・不利で言えばマカチェフの方が有利なのではないかと思う。

展開予想

前へ出る圧力と手数の多さや正確性に関してはボルカノフスキーの方が上手だと思うので、序盤はボルカノフスキーが攻勢を強めて中央を取るのではないかと予想。

ただその流れを切る為にマカチェフはボルカノフスキーの入りに合わせてタックルを入れてくることが考えられる。

ボルカノフスキーもレスリング技術に秀でてはいるが、マカチェフの寝かせる技術・トップコントロール力はそれも凌駕してしまうだろう。

ここでボルカノフスキーが寝かされてしまうと、次のラウンドから踏み込みに躊躇が出てくる可能性が高く、そこからマカチェフが徐々に圧力を強める流れになれば、ケージ際に追い込まれ高確率でテイクダウンを狙われることになる。

そうなると立ち上がることは非常に困難になってくると思われるので、ラウンドを失う可能性が高くなる。

そしてポイントの消費から焦って立ち上がろうとしてしまえば、マカチェフにバックを取られてチョークの餌食となってしまうかもしれない。

その場合は3Rくらいでマカチェフの一本勝ちが決まるのではないだろうか。

逆にタックルを切ってスタンドを続行できたら、スタミナと正確性の高い打撃でマカチェフを削っていくことが出来るかもしれない。

なのでボルカノフスキーはなるべく全ラウンドを通してケージを背負わないように立ち回り、タックルを処理する状況を確保しながらダメージを与えていかなくてはならない。

そして、もしボルカノフスキーが上手く試合を運んでスタンドを維持することが出来たとしたら、後半戦にかけてスタミナ面で大きなアドバンテージを握ることが出来る可能性がある。

ライト級に上げたことによる影響が出てコンディションに変化がある可能性もあるが、ボルカノフスキー自身のスタミナは豊富で多くのファイターがパフォーマンスが下降してくるような場面でも勢いを落とさない強さがある。

その部分での優劣が出始めるところまで試合を持っていくことが出来たとしたら、圧倒的な支配力を見せるマカチェフのレスリング技術も組み疲れから脅威が薄れてくるだろうし、動きが鈍くなったところにボルカノフスキーの猛攻が火を吹けば大きな損傷を与えることが出来るかもしれない。

そうなった場合、判定2-1のスプリットでの勝利か5RパウンドアウトでのTKO勝利でボルカノフスキーが勝利を収めるのではないだろうかと思う。

UFC屈指のチャンピオン同士のぶつかり合い

MMAの完成度が非常に高いマカチェフとボルカノフスキーの両名は、プロ戦績において敗戦はたったの一度だけで、最高峰のUFCに身を置きながら変わらず勝利を重ね続けている。

それだけでこの二人がどれだけ化け物じみたファイターなのか窺い知ることが出来る。

そんな両雄の雌雄が決する夢のカードが2月12日にオーストラリアで実現する。

勝利を掴むための難易度は相性的に見てもボルカノフスキーの方が高めになっているとは思うが、マカチェフが一敗を喫した試合は打撃をもらってのTKO負けでもある。

なのでボルカノフスキーが一つ一つをクリアして打撃を安定して打ち込めるところまで辿り着くことが出来れば、その一発でライト級敵なし状態のマカチェフを沈めてエドワーズVSウスマンに匹敵する衝撃を起こす可能性もある。

世界を席巻するダゲスタンの代表格であるマカチェフが意のままにPFPをものにするのか、それとも高水準のスキルセットを纏うニュージーランドの「THE GREAT」がその流れに待ったをかけ、自身が紛れもないPFPであることを証明するのか。

現代MMAを代表するようなこのビッグマッチは果たしてどんな結末を見せてくれるのだろうか。


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