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[UFC294] 豪華カードの並ぶアブダビ大会

これまでも豪華なカードが組まれてきたアブダビ大会と同様に今回のUFC294も非常に豪華なカードが並んでいる。

ただ、その中でも特に注目を集めるメインとコ•メインのカードが変更されるという事態となりビッグマッチが消滅してしまったが、その代わりに新たなビッグマッチが組まれることとなった。

メイン ライト級タイトルマッチ
イスラム・マカチェフVS.チャールズ・オリベイラ 中止
          ↓
イスラム・マカチェフVS.アレキサンダー・ヴォルカノフスキー 変更

コ•メイン ミドル級
パウロ・コスタVS.カムザット・チマエフ 中止
       ↓
カマル・ウスマンVS.カムザット・チマエフ 変更
 

組み合わせ変更をした後の方がむしろすごいカードになったのではないかというくらいのビッグネームが代役となって出場することになったUFC294。

激闘を繰り広げたマカチェフとヴォルカノフスキーの階級を超えた戦いが再び行われる。

さらに、以前はウェルター級で絶対王者として君臨していたウスマンが階級を上げて無敗の戦闘狂・チマエフとぶつかるミドル級の一戦。

より勝敗が見えにくくなるような強豪同士のぶつかり合いはアブダビ大会を大きく彩ることになるだろうと思われる。

ただ一つ勿体なく感じられるのは「期間」。

負傷というアクシデントに対応するのだから、ウスマンやヴォルカノフスキーは当然万全を期せるだけの準備期間を獲得することはできない。

これだけのファイターの戦いが不完全燃焼のような形で消費されてしまう可能性があるのは残念に思える。

ビッグマッチであればあるほどお互いがしっかり作ってきた状態でちゃんと試合が行われて欲しいと思う。

とは言えウスマンやヴォルカノフスキーがトレーニングを全くしていなかったわけではないと思うので、最低限の対応は出来るのではないかと感じている。

そもそもそうでなければウスマンやヴォルカノフスキーであっても、流石にオファーを受けることはないだろう。

その上で、UFCという世界トップの団体で行われるトップクラスの試合に急遽代役で出場するというリスク満載のオファーに応えるヴォルカノフスキーとウスマンの漢気は本当に素晴らしいと思う。

ヴォルカノフスキー、2階級制覇なるか?

コンディション作りに不安があるウスマンやヴォルカノフスキーは少なからず不利性を抱えることにはなってしまうだろう。

マカチェフVS.ヴォルカノフスキー1ではヴォルカノフスキーの働きの方が勝利に値するという声もあったが、ヴォルカノフスキーが自身の長所をマカチェフに向けられていない感じがあった。

高いレベルで実力が拮抗するればするほど、僅かな差が大きなアドバンテージとなってくる。

マカチェフの方が一つ上の階級ということもあってサイズもあるので、ヴォルカノフスキーは得意のストライキングを活かしていけない上に、タックルを常に警戒させられるので踏み込むことも出来ない状態にさせられてしまう。

マカチェフはテイクダウンを成功させれば高い確率でラウンドを奪うことが出来る、これは気持ち的な余裕を作るには十分な材料になる。

この安定と不安定の構図を崩すにはヴォルカノフスキーが組み負けない、もしくはタックルを正確に切ることでマカチェフの気持ち的な保険を焦りに変えていく必要があるだろう。

前回の5R目のようにマカチェフのスタミナと気力が削れてくればヴォルカノフスキーにも勝機が見えてくる。

マカチェフの攻撃を抑えながら、その状態を早い段階で準備するという非常に難しい作業をクリアしないと、ヴォルカノフスキーがライト級のベルトを手に入れるのは難しいのではないかと思う。

ウスマンはチマエフを止められるのか?

以前までウェルター級の王として圧倒的な力を見せて来たウスマンは、戦闘狂の怪物カムザット・チマエフを止めることが出来るのか。

元々ウェルター級の中でもサイズが大きめのチマエフはミドル級でも十分に戦えると思われるし、そのための期間もそれなりにあっただろう。

しかし、その一方でウスマンにもそれが当てはまるかどうかは怪しい、加えて準備期間もそこまで無いとなると、ウスマンが本来の力を発揮出来るのかどうか不安がある。

また、エドワーズに2度負けてかつての幻想が崩れ去ったウスマンと、強烈な勝利を掲げてきた未だ無敗のチマエフでは勢いというところにも差があるように感じてしまう。

恐らくチマエフはウスマンのレスリングを怖がらないと思うのでスタンドでもガンガン攻めていくことになるだろう。

チマエフがバーンズと戦った時点では、総合力ではウスマンが上であるように思えたけれど、ミドル級だとどうなるのか。

パワーと相手を飲み込む勢いのある「動」のチマエフと、正確性・ディフェンス力・スタミナ・技術といった総合力に優れ丁寧に相手をコントロールしていく「静」のウスマン。

チマエフに飲み込まれずにウスマンが自分の戦い方で試合を作っていくことが出来れば、スタミナが落ちてくる後半で勝機を見出すことが出来るかもしれない。

しかしウスマンがチマエフの真っ向勝負に応えてしまうと、早い段階でチマエフがウスマンを倒してしまうこともあり得るだろう。

KOを負けを喫しているかいないかという、これまでの経験の違いも結果に響いてくるのかもしれない。

楽しみなファイター

マカチェフやヴォルカノフスキー、ウスマンやチマエフ以外にもUFC294には注目のファイターが数多く出場する。

マゴメド・アンカラエフ
ここを勝ってタイトル戦線に残ることはできるのか。

ジョニー・ウォーカー
一気にタイトル戦線への浮上を狙う。現在3連勝中。

サイード・ヌルマゴメドフ
ダゲスタンの強豪は復帰戦を勝利で飾ることが出来るのか。 

ムハンマド・モカエフ
キャリア負け無し、スター街道を突き進むフライ級のコンプリートファイター。

ビクター・ヘンリー
元DEEPバンタム級王者は強豪を退けて上へと駒を進められるのか。

ジャビット・バシャラート
未だ無敗のアフガニスタンのファイター、トータル力の高さをビクターにも見せつけてくるか。

ナサニエル・ウッド
現在3連勝中。あらゆる局面で勝負できるウッドは連勝を伸ばすことが出来るのか。

シャラプディン・マゴメドフ
ダゲスタンの狂戦士がUFCに参戦。UFCのミドル級は彼を受け止めることが出来るのか。その戦闘力の高さに驚愕するデビュー戦となりそうだ。

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