読書する私 7/3-7/9 ソログープ『かくれんぼ・毒の園』
「毒」という存在は恐ろしいものであるとは承知していても、どこか蠱惑的である。
そう考える人間は、私のみならず、古今東西、一定数いるものだと思っていて、実際「毒のある花」的なテーマを扱った作品は探してみると、結構、あっさりと見つかる。
最近、私のセンサーがそちら方面に反応することが多く、その探索中に感のあったのが本書。
ロシア文学、ロシア前期象徴主義ということで、確実に読みやすくはないだろうなと思ったが、案の定、読了に非常に苦労した。
聞き慣れぬ人名、頭に浮かびにくい情景が、仕事終わりの疲れた頭には最高の子守唄になるようで、とにかく、読み始めたら数頁で寝てしまう。
寝てしまう、というか寝落ちする。
私は寝落ちという状態になることは、殆どないので、凄まじいまでの睡眠導入力であるを
そんなわけで、私とは非常に相性の悪い(ある意味では良い)本であり、読んでいる最中からメルカリでの値付けをいくらにしようかなどと不埒なことを考えていたが、読了後は、少なくとももう一回は読み返してみたいと思った(そもそも本書は岩波書店の本店やオンラインショップですら在庫がなく希少な本なのかもしれない)。
一通り読み終えて、分かっていないなりに、各話を振り返り粗筋にしてみると、かなり私好みの世界観。
上下左右斜めに至るまでとにかく頽廃と厭世と死で埋め尽くされている。
死に際の美しさたるや陶酔を誘いさえもする。
いわゆるデカダンというやつで、読みやすいものではないのだけれど、それこそ蠱惑的で、ふらふらと吸い寄せられてしまう。
解説によるとソログープの作品が発表された頃はロシアでは若い青年男女の自殺が増えたなどというエピソードもあるようで、その是非はさておくとして、然もありなんという気はする。
象徴主義らしく詩的な表現も多く、今の私の感性では間違いなくソログープ作品の魅力を満喫できてはいない。
短歌にしてもそうだけれど、もっと感性を磨いて、象徴主義がストンと腑に落ちてくるような身体になりたいと切実に感じた一冊。
目当てだった『毒の園』は期待を裏切らない面白さ。
読みかけのマンガ『毒姫』そのものではあるのだけれど(当然、毒姫の方が全然新しい作品)、こうした設定は結構古くから色んなところで登場するらしい。
皆大好きだな、毒。
収録作はどれもこれも美しいのだけれど群を抜いているのが『小羊』。
アタックの強さ、美しさが断然である。
5頁程度の短い作品ではあるが読了後、絶句してしばらく動けなかった。
修行を積んだ後に、再読したら、さらなる感動とやるせなさに身悶えすることになるであろう一冊。
さて、その日がやってくるのはいつの日か。
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