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ケリー 3

スナック純・・・

その店は細い路地を入ったところにあった。

昭和30年代は この町も戦後の日本と時期を同じくして最盛期を迎えていたのである。

そしてその頃 日本のあちこちには路面電車が走っていた。

しかし その後の不況で次々と廃線になり その線路跡が 我が地元では一方通行の路地になっていたのであった。

俺 「こんなゴミゴミしたところに有るんだ!?」

K村 「ええ・・ 場所は悪いですが店と女の子はまあまあですよ!! 営業方針にちょっと問題が有るだけで・・・ ギャハハハハ・・・」

俺 「で 純のママは いくつぐらいなの??」

K村 「え~~と・・・ たぶん 30歳にはなってないと思いますよ!! 27~8歳と聞いたような気がします」

俺 「えっ!? お前 行ったことがあるの??」

K村 「あっ ハイ! 何度か同僚と一緒に・・・ デヘヘヘヘヘ・・・」

(何だよ!! 他人事のような話だったが・・  じゃ ピアスの話は そのときに仕入れたのか・・・)

店の前に到着し ドアのレバーに手を掛けようとした丁度その時・・・

突然 中からドアが開き 酔っぱらった客と赤いドレスを来た色っぽい女性が手を組んで出て来たのであった。

K村 「(小声で) ママです」

小柄だが 綺麗な女性であった。

K村 「なんでも 東京生まれらしいスよ!!」

(どおりで どことなく垢抜けてるような気がした)

ママ 「あら カワちゃん いらっしゃい!」

K村 「あっ!? アケミさん!! どーも!」

(お前・・・ カワちゃんって呼ばれてるの?? もしかして常連???)

ママ 「空いてるところに適当に座っててよ!! あっ!? マリちゃんも居るからね!!」

(オイ! マリちゃんって誰だよ!!)

そう言い終わると 客の背中を押しながら 暗い路地裏に連れて行くママ・・・

そして 何やらイチャイチャし始めたのであった。

その気配を感じながら 入れ違いに店に入った2人・・・

ドアを入ると 目の前には10人以上がかけられる長いカウンターが有り、右手の観葉植物が置かれた広いスペースには 5~6席のボックス席が配置されていた。

(その大き目の植物のおかげで 計算されたように死角が 所々に出来ていた。)

見渡すと 店内は8割方イッパイだった。

「ここ 座っていいかな・・・」と言いながら 空いているボックスに座る俺達・・・

K村 「ここのママのお見送りは天下一品ですよ!! ほとんどのオヤジはイチコロでしょうね!! ギャハハハハハ・・・」

俺 「そっ そうなんだ!? ちょっと見て来てもいいか!?? ブヒャヒャヒャヒャ・・・」

K村 「先輩 いくらなんでも それはマズイですよ! ドヒャヒャヒャ・・・」

俺 「営業妨害ってヤツか???」

K村 「当たり前ですよ!! ゲヒョヒョヒョヒョ・・・」

「あら・・ 何か楽しいことでも有ったんですか???」

そう言いながら 20歳ぐらいの若いオネエチャンがオシボリを持ってやって来た。

K村 「マリちゃん オヒサ!! 楽しいことって・・・ マリちゃんに会うのが 一番の楽しみに決まってるだろ!! デヘヘヘヘヘヘ・・・」

(オイッ!? お前 鼻の下が5センチ伸びてるぞ!!)

マリ 「まったく・・・ カワちゃんは口が上手いんだから・・・ あら こちらの方は初めてかしら・・・」

ボックスに座った彼女の綺麗な足に見とれていた俺・・・

「えっ!? あっ!? 初めてです。」

K村 「先輩 嫌らしい目をして 何を見てたんですか?? ドヒャヒャヒャ・・・」

俺 「何って・・・ 綺麗な子だなって 見とれてただけだよ!!」

マリ 「あら お上手! やっぱりデパートにお勤めの方なんですか??」

K村 「いや 仕事仲間じゃなくて 俺の高校、大学の先輩だよ! オヤジさんが会社をしてて え~~と・・・ 今 先輩は専務でしたっけ??」

俺 「あっ!? うん 一応 専務だけど・・・ 何にもセンムってヤツだよ!! ギャハハハハ・・・」

マリ 「まあ・・・ 面白い方・・・ で お名前は??」

俺 「小波野といいます。でも みんなはケンって呼んでますが・・・」

マリ 「ケンさんですか??? ちょっと遊び人ポイ 響きですね!! ウフフフフ・・・」

俺 「俺がですか??? 全然 遊び人じゃないですよ!! 遊び人といえば こいつの方がずっ~と遊び人ですから!!」

K村 「先輩 俺の足を引っ張るのはやめて下さいよ!! マリちゃんが勘違いしちゃうでしょ!??」

俺 「エッ!? 勘違いなの?? 勘違いね・・・ ブヒョヒョヒョ・・・」

そんな話で盛り上がっていると 背後から何やらいい匂いが漂って来たのであった。

その気配に振り向く俺・・・

するとそこには 外で一仕事を終えたアケミママが立っていたのである。

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