【ご報告とお願い】無力感との戦い、このままでいいの?に向き合う話
日頃よりモヨ・チルドレン・センターの活動にお力を貸していただき、心よりありがとうございます。代表の佐藤南帆です。
2022年2月にモヨの代表に就任。
気づけば2年半が経ってしまいました。
ケアプラン会議、膨大な事務作業や役所関係の手続きに追われて、気づいたら1日が終わっている毎日。
そんな毎日を重ねていたら、2年半が経ってしまっていました。
「私はモヨのために何を生み出しているのだろう」
と焦燥感と無力感に襲われ、押しつぶされそうになることが定期的にあります。
そんなネガティブな感情と戦いの末、”これからについて”思うことがありました。
本noteでは、前述した”これからについて”を考えるきっかけになった出来事をお伝えするとともに、10月27日に控える大切な年中行事「ナイロビマラソン・チャリティラン・サポーター募集」のお願いについて、お伝えできればと思います。
長くなってしまいましたが、どうか、最後までお読みいただければ嬉しいです。
テストで7点を取った少年Kの話
2022年12月に窃盗罪で警察に捕まり、その後モヨに入居した13歳の少年「K」
彼の母は知的障がいを持ち、妹は身体障がいがあり、祖母がひとりで「K」を含む家族を養っていました。
祖母は愛する家族のために必死で働いていたけれど、彼女の稼ぎだけでは生活は苦しかったようです。
そんな祖母の苦しむ姿を見た「K」は、拾った鉄くずをお金に変えてもらったり、野菜を売ったりして、祖母にお金を渡すようになりました。
しかし、稼ぎは足りず「K」は窃盗に走り、警察に捕った後、モヨに入居。
入居前は、ほとんど学校に行けてなかった彼。
学校に入学したものの、勉強についていけずテストは0点。
仮病を使って休むようになり、表情もどんどん暗くなっていきました。
ケニアが新教育制度になった影響もあり、勉強についていけない子どもを低学年に戻してイチからやり直すのがかなり難しく、どう介入すべきかとても悩みました。
彼と相談し、職業訓練校への入学を試みることに。
13歳で職業訓練校に入るのは異例でしたが、校長先生の理解を得られ、入学の許可をもらうことができました。
職業訓練校では、整備士・美容・溶接・ケータリング…など様々なコースがあり「K」はそれぞれのコースを数ヶ月ごと経験。
溶接師になるためにスキルを身につけるコースに一番興味を持ったようで、溶接技術を専攻することに。
初めてのテストで彼は23点満点中7点でした。
「ねぇ!みて、ぼく初めて点数を取れた!」
「次はもっといい点数取れるように頑張るね!」
と嬉しそうに点数を見せてくれて、彼の誇らしげな表情をはじめてみることができました。
これまで、生活苦から自尊心はズタズタに傷つけられてきた彼。
そんな彼が自慢げな表情を見せてくれることが、とんでもなく嬉しかったです。
将来はお金を稼げるようになって、祖母、母、妹を養える力をつけたいと順調に学びを続けていた彼。
そんなある日、彼が大好きだった妹さんが亡くなってしまったという悲しい知らせがありました。
机の上で泣きじゃくる彼をみて、かける言葉がなく、私はそばにいることしかできませんでした。
悲痛な知らせから半年。
先日モヨでは、子ども達が使っている木製のベッドを全てスチールベッドに変える決断をしました。
施設設立当初から使っている木製のベッド。
南京虫がなかなか完全駆除できずに、頭を悩ませていました。
木の奥に卵を産むので、定期的に殺虫剤をまいても、根絶が難しいようです。
木製のベッドは温かみを感じられるとモヨ創設者の松下さんが好まれてた一方で、南京虫が完全駆除できないまま使い続けるのは衛生的ではないと判断。
思い切って全てのベッドを変更することに。スチールベッドは溶接技術が必要なので、プロの溶接師をモヨに来てもらいました。
すると、何を言わずとも「K」は学校のユニフォームを着て、率先して手伝いをしていました。
自分のできることを探そうと溶接師のアシスタントとしてテキパキ動く彼の背中は、自信に溢れていました。
自尊心を傷づけられ、うつむいている彼はもういません。
小柄なはずの彼の背中は、とても大きく見えました。
ー 衣食住を確保すること
ー 明日を心配せずに過ごせる環境をつくること
ー「僕にもできるんだ」という成功体験をつくること。
それが、私たちが生み出すことのできる価値なのだと思いました。
ただ目の前のことだけをやっていると思っていたこれまで。
でも、目の前のことに精一杯向き合うことで、生み出せる価値があることを教えてもらいました。
妥協のない小さな小さな仕事の積み重ねが生み出すものは、きっとあるはず。
代表に就任したとき、「全ては罪のない無垢な子どもたちの未来を照らすために」と言葉を掲げました。
もしかしたら…ひょっとしたら…
ほんの少しだけど、カタチにできているんではないか。
と思うことができました。
この半年で、新しいプログラムも始動。
日々の子ども達の関わりの中で課題に感じたことから生まれた3つの企画。
① ファミリーメンターシッププログラム
将来子どもを引き取ってくれる可能性のある家族・親族を招き「養育や教育について」話し合うワークショップを開催。
② 薬物乱用防止啓発プログラム
更生施設がある地域全体の子ども約70人を対象として「薬物乱用防止」のためのワークショップを開催。
③ 学費支援の対象となる条件を変更
これまでは高校生のみを対象としていましたが、専門学校や小学校の学費が支払えなくて困っている子どもたちも対象とすることにしました。
まだまだ始めたばかりのそれぞれのプログラム。実践を通じて、対象者の反応や変化をアセスメントしつつ、改善点を洗い出し、よりよい内容へとブラッシュアップします。
①ファミリーメンターシッププログラムと②薬物乱用防止啓発プログラムは、第2回目の開催を今年12月に予定しており、準備を進めています。
団体の代表として、視座を高く持ち、立派なビジョンを掲げることはまだできません。
でも今は、目の前のことに真摯に向き合うことで生まれる価値を積み上げていきたいと思っています。
チャリティラン・サポーター募集のお願い
この度、モヨの活動資金を募るため『チャリティランイベント』を実施します!
チャリティイベントを通じて、サポーターとしてモヨをご支援いただく方々を募集したく、下記にお知らせさせていただきます。
モヨの子ども達・スタッフは、10月27日(日)に開催されるナイロビマラソンに参加し、完走を目指します!
皆様に、子ども達・スタッフの個別サポーターになっていただき、サポートいただいた子ども・スタッフが無事に完走できたら「走行距離 x 1,000円」をモヨにご寄付いただくというチャリティランイベントです。
昨年は約90名の方がご賛同いただき、合計約220万円のご寄付をいただきました。
ぜひ、少しでも興味がある方は、下記をお読みいただき、サポーターとしてモヨチームの完走を見守り、ご寄付いただけると嬉しいです。
ナイロビマラソンとは?
スタンダード・チャータード銀行主催。
ケニアで最大の単発スポーツイベント。
チャリティラン開催の経緯
モヨがこの「チャリティラン」を始めたのは2007年。モヨ創設者の松下照美さんが、スタンダード・チャータード銀行にお誘いをいただいて参加し始めたイベントです。
「チャリティランに参加することで、子どもたちと一緒にモヨをアピールできる!子どもたちも資金調達に貢献できる!」と、子ども達も大賛成で参加してくれています。
毎年、皆様の応援のおかげでほとんどの子どもが完走することができ、イベントを通じて多くのご寄付をいただいており、モヨにとっても、子ども達にとっても、大切な年中行事のひとつとなっております。
ご寄付までの流れ
※毎年ほとんどの子どもが完走することができていますが、万が一、サポートいただいた子どもが完走できなかった場合は、ご寄付をいただくことはございません。
ご寄付の使い道
子ども達の食費・日用品費・学費
施設の電気代・水道代・維持費・工事費
スタッフ人件費
など、モヨの活動運営資金として使わせていただきます。
モヨでは、子ども達全員分の生活費だけで、1週間あたり約77,000円が必要になります。
21km分(21km x 1,000円=21,000円)のご寄付をいただきますと、子ども達の生活費、約2日分を賄うことができます。
参加する子どもとスタッフ
10kmコース
子ども:14名
スタッフ:4名
合計:18名
21kmコース
子ども:28名
スタッフ:8名
合計:36名
42kmコース
スタッフ:3名
以上、57名全員で完走を目指して走ります!
サポーター登録方法
下記の登録フォームよりサポーターのご登録をお願いいたします。
ご自身でサポートする子ども・スタッフをご指名することをご希望する方は別途、個別にご連絡させていただきお選びいただきます。
※ご登録確認後、こちらからメールをお送りします。for.moyochildren@gmail.com からのメールを受信できるようにご確認いただくようお願いいたします。
最後に
子ども達・スタッフと一緒に楽しみながら、そして精一杯完走を目指して走りますので、どうか、どうかサポートをお願いいたします!!
モヨの活動を守るためには、皆様からのご寄付が必要不可欠です。
皆さまからの温かいご支援をお待ちしております。
お申し込み方法などで、ご不明な点がある方はお気軽に for.moyochildren@gmail.com にメールいただけますと幸いです。
▼モヨ代表就任当時に綴った想いはこちら