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「魔法学校」入学

娘は無事にイギリスへ到着した。
彼女は今、自分の人生を逞しく歩んでいる。
ということだろう、、。

重たいピンク色(彼女曰く、薄紫色)のスーツケースを二つ、小さな体で前のめりに転がしながら歩いていく娘を、夫と二人空港で見送ってから約20時間。彼女の住むことになる街の寮に入ったとのこと。

私もやっとホッとできた。

私や夫の若かった頃は、到着の連絡はどこかで公衆電話を探すか、ポストカードを送るか、、、だったが、今は、ポンと写真付きのテキストで連絡が来る。「見て!私の住む部屋からの眺めよ!」と弾むような声(文)で、無事到着の連絡が来た。

ハリーポッターの世界じゃないか!

娘はそう、「魔法学校」に入学した(ようなもの)だ。

自分の人生に正面から向き合って、自分自身の人生を彩る、自分なりの「ミラクル」(普通の生活の中の全てがミラクルだ!)を起こそうとしている。そう思うと、今までお世話になったどの学校も「魔法学校」だったといえる。

ある程度の年齢までは、親が主導であったり、関わっていくことも多い。でも、彼女が自分の世界を生きると決め、自分の箒で飛んで行くことは、寂しくも嬉しいことなのだ。そして、こればかりは「親の魔法の杖」ではやってあげられないのだ。彼女が自分の杖で起こすしかないのだ。

誰もがそうであるように、娘には苦手なことが山ほどある。そして、誰もがそうであるように、娘が生まれた時に与えられた、小さな宝物のような種子も持っている。それを、最初は夫と周囲の方達と時間をかけて大切に育ててきた。

そして、ほんの少し芽を出した今、彼女は「魔法学校」に入学したのだ。色々な人と出会い、共に切磋琢磨して、芽が育ち、彼女自身の木になってゆく、多くの学友もそれぞれの木となり、共に、次の世代の森になる。

夫とそう思うことにしている。

娘は、早速に、自分の杖をクルクルっと回して、
「パーティス・テンポラス!」(=道を開け!)
とやるのかな?

重いスーツケースは、きっと
「ロコモーター、薄紫のスーツケース!」(=薄紫のスーツケースよ、動け!)
とやったんだろうな、、。

「ふふふ、、。」

到着のメッセージと写真を見て夫と微笑んだ。



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