つけたのだあれ?
皆さんも外出中や仕事中に強烈な腹痛(便意)に襲われたっていう経験があるのではないでしょうか?
そんな日の出来事です。
8月中旬、外は37度、雲ひとつない青空
この日は仕事で昼食にどうしても味が濃くて温かい麺が食べたかった。
何だろう、暑い日に涼しい部屋で熱い物が食べたいっていうあの衝動だ。
会社の近くにはそんな店がないからカップ麺にしようととりあえずセブンイレブンへ。
外はやはり暑い、一歩出ただけで汗だくだ。
しかも俺は偏見でYシャツの半袖がダサいと思っている人間だから長袖のYシャツ。
より暑い。
会社から徒歩2分のセブンに到着。
さすがセブン、入った瞬間冷房がガンガンに効いていて気持ちいい。
店内は昼時という事もありレジに5人程度の列。
おっと、列の中にいつも配達してくれる郵便局の配達員がいるではないか。
この人、雨の日も猛暑の日も頑張ってるんだよな。
心の中で敬礼。
いつもありがとうございます。
早速、カップ麺コーナーへ。
いやー素晴らしいラインナップ。
昔でいう横浜ベイスターズのマシンガン打線だ。
カップ麺を選んでいると誰かに見られている気がしてきた。
周りを見回しても特に怪しげな人物はいない。
連日暑いし疲れてるのかな、早く選んで戻ろう。
日清シーフード味BIGに手を伸ばそうとした時視線の正体がわかった。
正体は
【蒙古タンメン中本のおっさん】だった。
上から見下してきやがる。
お前にこの辛さが耐えれるのかいっ?
とでも言ってきているような挑発的な顔つきだ。
おいおいナメるなよ。
俺は殴り合いの喧嘩はした事ないけど不良の漫画は死ぬほど読んだ。
これを不良の世界で言うならタイマンが始まろうとしている。
俺が残すか、俺が食すか。
いつもは断るビニール袋
3円買ったら〜!!
こちとらタイマン目の前なんじゃ
袋の3円大した事ない。
社に戻りタイマンの準備。
指定の線までお湯を入れる。
普通のカップ麺といえば3分なのにこいつは5分、格闘技で言うならヘビー級だ。
おれは60キロ分が悪いぜ。
しかもよく見るとパッケージに
【北極ラーメン】と書いてある。
北極とは何だ、逆に寒いんじゃないのか。
寒い北極すら灼熱にすると言う意味なのか。
そんな事を考えてたらだんだんパッケージのおっさんが怖くなってきた。
5分が経過しゴングが鳴った。
相手も俺も至近距離でにらみ合いタイマンの開始だ。
少し唇も触れた。
先ずはスープ
くそっっ辛さの中に旨みが詰まっていてうめー。
次に麺だスープがしっかり絡みやがってこいつも悪くない。
しかも後半にくるガツンとした辛味がまたいい…
いゃっ待て、待て、辛すぎる、痛すぎる。
汗が噴き出てきた。
状況で言うと髪の毛をあのおっさんに引っ張られて上から睨まれている状況だ。
おっさんがさっきよりも大きく見える。
怖い、イキってごめんなさい。
そんなつもりはなかったんです。
無理かもしれない。
無理だよ絶対。
一旦、いろはす500ミリを一気飲みして応急処置。
タオルで汗を拭き無駄に椅子で2回転。
思考回路がやられた。
あまりの辛さで放心状態になり固まっているとだんだん視線が汗を拭いたタオル一点に集中し意識が遠のいていく。
このままでは負ける。
倒れそうだ。
動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動いてよっ
おれの心だけがそう叫ぶ。
タオルを見つめているとメリーゴーランドのメロディーが頭に流れ出し、昔の記憶がフラッシュバックしてきた。
このタオルは結婚して間もない頃、嫁がプレゼントしてくれたタオルだった。
毎日暑いからって。
俺は意識を取り戻した。
現実に戻れた俺は辛さと感動で涙が出ていた。
うぉーーーーーーーーーー!
俺には嫁と子供がいる、こんな所で負けるわけにはいかない。
食べては汗を拭いてを繰り返し何とかスープまで飲み干し俺はタイマンに勝った。
何だかさっきよりも中本のおっさんが小さく見えた。
何より家族の大切さがわかった。
それから追加でいろはす500ミリを飲み干し、舌の痺れをとった。
午後からは外回り。
営業車に乗り目的地へ。
クーラーガンガンで快適な車内、ラジオからはケツメイシの夏の思い出。
テンションもぶち上がり口ずさむ。
ラップのところは歌詞忘れたからなんとなく。
夏の思い出が終わる頃、お腹からギュルルルルっと音が鳴った。
腹がとてつもなく痛く冷や汗が出始めた。
これ以上腹を冷やすのはまずいと思い、
すぐさまエアコンをきる。
呼吸が荒くなる。
意味もなく窓を開けたり閉めたりする。
おのれ中本、タイマンに負けた腹いせに内側から仲間を集め鉄パイプで殴打してきてやがる。
こんな展開も読んできた不良漫画にあったっけな。
そんな事よりもまずい。
冷や汗も腹痛も限界に近づく。
信号待ちだ。
どこかコンビニはないか。
あっ50メートル先にセブンがある。
信号が青になる。
この時ばかりは営業車のトヨタプレミオもフェラーリ並みのスピードがでた。
車を止めて急いで店内へ。
定員すまない、いつも必ずトイレを借りる時は声がけするんだけど今回は無理だ。
何故かわからないが定員に向かって軽く手を上げた。
こっち見てないけど。
トイレはどこだ右か左か手前か奥か
焦る俺、その時だった。
【落ち着け、トイレが近づけば近づくほど腹も安心してより便意が増す。
ここは順番待ちを想定しろ。】
神の声が聞こえた。
焦る自分から我を取り戻した。
案の定、太ったサラリーマンが並んでいた。
俺は2番目、今気になるのは
今入ってるやつはどれぐらいで出るのか、前のサラリーマンは大なのか小なのかそれだけだ。
さらり俺の後ろに綺麗な女性が並ぶ。
意味もなく1回転し顔を見たらやはり可愛かった。
少し落ち着いていた痛みがまた走り出した。
この時ばかりはコンビニの冷房すら憎い。
やっと入ってた人が出てきた。
そしてサラリーマンが突入。
1分経過しても出てこない。
これは大だと確信した。
早く出ろ、おれも時間がないそう思った時、また誰かに見られているような気がした。
今度は1人じゃない何人もの視線。
周りを見回すと、すぐ横の成人誌の水着のお姉さんたちだった。
可愛い。
後ろのお姉さんに見てることがバレないように見まくる。
少し気が紛れたのも束の間、中本たちが最高潮に俺の中で激しく暴れ出した。
もう無理だ、やめてくれ。
痛みに耐えながらキョロキョロしていると向かいのカップ麺売り場の棚、最上段から何人もの中本がこちらを睨みつけていた。
さっきの視線はお姉さんたちではなく中本だったのだ。
おれはもう負けた。
報復に負けここで大便を漏らし人生にも負ける。
家族よすまん…
ガチャっっっっっ
そう思った瞬間、サラリーマンがトイレから出てきた。
助かった…
遭難して見つけてもらった時ってもしかしたらこんな気持ちなのかな。
中本よ喧嘩も勝ち、報復にも耐えた。
完全に俺の勝利だ。
早速トイレへ
臭い
とんでもなくこびりついてる。
あのサラリーマンに怒りを覚えた。
何が嫌ってこの後俺が便を済ませて流しても、こびりついたのが流れなかった場合、後ろのお姉さんは俺がつけたと思う訳だよね。
でもそう考えると前のサラリーマンもこびりつけてなかったのかもしれない。
先入観で人を疑ってはいけない。
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