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コミックエッセイ 僕が僕であるためのパラダイムシフト

EMIさんのコミックエッセイ「僕が僕であるためのパラダイムシフト」を読みました。架空の人物の、生い立ちからうつ病の発症、そしてそれが完治するまでの物語です。作者のEMIさんご自身の体験に基づく物語なのですが、とてもわかりやすかったです。


著書の前書きには、「うつの正体のようなものを知ったのですが、それを誰かに伝えたいと思ったときに、言葉や文章だけだとなかなか難しく、漫画で架空の物語にするのが良いと思いこの漫画を制作しました」と書かれています。漫画はドラマや映画ほどではないものの、半分視覚情報からその情景を読み取る媒体なので、文章で伝えにくいニュアンスの事例を比較的わかりやすく表現出来るのかもしれません。

もしかすると、フキダシで個人の感情や思考を表現出来るぶん動画よりメッセージ性の強い優れた媒体かもしれませんね(自分が漫画が大好きだからって……笑)

反面、文章で何から何まで全部表現することの難しさと言ったらないですよね。私は本当にそう思います。「言葉では言い表せない」ゼッツミョーなニュアンスを上手に表現出来る作家さんは本当に尊く稀有な存在だとわたしは思います。

 作中、主人公はうつは自分が自分の本心を虐待していることを知らせようとしている存在なのではないかと気がつきます。自分の本心を無視し続けて、親の期待に応えようと努力した結果、自分でも気がつかないうちに自己虐待を繰り返していたのではないかと。うつは、それに気がつかせるために現れたのではないかと。

なるほど……。

なるべく自分の心の声をきいて、その欲求を満たすように心がけていくうちに、うつは自然と消えてなくなったのですね。

うつ病になりやすい人の特徴として、 
真面目、責任感が強い、完璧主義、他人の評価を気にする、などがあげられるようです。
そういう方々は何かとネガティブに言われがちですが、私はむしろ信頼に値すると思うのです。
真面目で頑張りやの方、優しくて自分より他人を優先してしまう方、他人の痛みや辛さが手に取るようにわかる感受性の鋭い方。
みんな「他人がどうなろうと自分さえ良ければいい」ができなくて、辛くなってしまうんじゃないかなぁ。

ちいさなことでも良いので、自分が喜ぶ方の選択をしていけたらいいですね。社会生活を営むうえで、どうしても他人優先になってしまうこともありますが、自分が自分自身を裏切らないとわかってさえいれば、心と魂が解離せずに済む気がしますね。自分の魂の訴えに優しく耳を傾けてあげたいですね。





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