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読書感想 菊池寛 死者を嗤う

菊池寛の短編小説です。青空文庫でみかけて読んでみました。短いのですぐに読めます。

 江戸川に女性の溺死死体があがり、橋には野次馬が集まっています。巡査と区役所の人夫が遺体の引き揚げ作業を行っているのですが、なかなか上手くいかず、群衆はそれを好奇の目で見ながら思い思いの言葉を発しています。

 主人公は、死者を笑い者にするその様子を見て
「かつては身なりを気にした女性だったろうに、そこまで侮辱しなくても」と悲しい気持ちになるのですね。

「最も不幸なる人々が、死後においても、なお曝し物の侮辱を受ける事を憤らずにはいられなかった。それと同時に啓吉は、死者を前にして哄笑する野卑な群衆に対する反感を感じた」とあります。

とはいえ、自分だって死体を見たいという興味があって見学してるんじゃん?しかも、あわよくば小説のネタにしようと考えたじゃん?自分も群衆と同じ浮いた好奇心を持っていないとはいえないじゃん?
と主人公は思うのでした。

しかし当時の東京の人はそんなにヒマだったのか……他に楽しみがなかったのか……と思いました。

死者を侮辱するなんて許されない行為だと思いますが、でも、私自身もそのような場面に出くわしたら、チラッとのぞき見したくなるかもです……。(すみません…)

でも、心で思ってしまうのは、それはもう仕方がない事だと個人的に思うので、
思った事を実際に口に出したり行動に起こしたりしなければなんとか許してもらえるだろうと思うのです。(何に??)

自分の心を律することは大切だと常々思います。自分の敵は自分です。
実際に自分が弱い立場になったとき、今までの自分はなんて恥ずかしい事を言っていたのだろうと思う事がたくさんありました。
結局実際にその立場になってみないと、その気持ちはわからないものですね。

いつものことですが全然菊池寛の感想じゃなくなっててすみません……。

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