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読書感想 島本理生さん波打ち際の蛍

 小説投稿真っ最中なのに、読書感想文を書いてしまいました。というのも、島本理生さんの小説を読んだら胸が苦しくなって、吐き出さずにはいられなくなったのです…!(何言ってんだおい) 

 添削アドバイスがきっかけで島本理生さんの「ナラタージュ」を知り、読んでみたところ色々衝撃を受けました。

 自分の文章とシンクロする部分が多くて驚愕しました。これじゃあ真似したと思われても仕方がないレベルです。どういうことだ…??

 で、おそるおそる他の作品にも手を伸ばしてみたのです。刺激が少なそうなものを選んで。


 「波打ち際の蛍」は、元彼のDVがトラウマとなり、異性との関係を築くことが難しくなってしまった繊細な女性の物語です。

 ま〜あ、何から何まで繊細で透明感に溢れている描写で、読んでいて息苦しさを覚えるのです。深層心理を深掘りしていく叙情的な描写に胸が痛みます。付き合い始めた年上の男性とのビッミョーな関係性の描き方もとにかく切ない。「なんとも言えない」空気感を文字で表現出来るのが凄い。

 多分、刺さる人には心臓の真ん中にぶっ刺さるけれど、刺さらない人には良さがわからない作風ではないかと想像します。この作品の良さは、というか島本理生さんの良さは、物語の筋書きではないのです。数秒過ぎたらもう消えてしまう、その瞬間のリアルで生々しい感覚の描写が素晴らしいのです。


 私が女性作家の小説を敬遠するのは、この息苦しさを回避したかったからだと思い出しました。しばらくは全力で避けようと思います。ホラーより心臓に悪いから。でも多分また読んじゃうと思うけど…。

 タイトルの「波打ち際」の意味がわかった時、もうとっくに忘れてしまった、自分の心の奥の脆くて柔らかい部分を引っ張り出されているような感覚がしました。


私の吐き出しにお付き合いいただきありがとうございました。










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