【極超短編小説】納豆に手を伸ばしたときに始まった話の結末はボクに委ねられているのかな?⑦
ボクは姉貴にも「絶対にそこを動かないで」と言ってカフェを出た。
彼のいるファミレスと姉貴のいるカフェのちょうど真ん中に立って、ボクはしばし物思いにふける。
さて、これからどうしようか?
姉貴を彼のファミレスに連れていく、あるいは彼を姉貴のカフェに連れていく。それとも二人同時にここに呼び出す。
いずれにしろ、確実に二人の思いは成就されるはずだ。
いや、ちょっと待てよ。二人の思いを成就させないことだって、今のボクには可能だ。うまい具合に言いくるめて、二人を合わせないことだってできる。おやっ?ボクって今、もしかして二人の運命を握ってる?おっと、ボクって神?恋愛の神?なんだか全能感を感じる~。まあ、そんな鬼畜みたいなことするつもりないけど~(笑)
でもなあ、ここまで楽しませてもらったわけだし、ついでに何か‥‥最後に一興とでもいうか、あればいいなあ。
てなことを一人でニヤニヤしながら考えていると、ふと視線を感じてあたりを見渡した。
ヒョウがボクを見ていた。いや、シャツの胸にプリントされたヒョウがボクを見つめていた。
ヒョウの顔から上に視線を移動するとパンチパーマのオバサンがニコニコしながらこちらを見ている。両手にはたくさんの納豆が詰まったレジ袋。
あっ、ボクは思わず声を上げる。豹顔パンチオバサン!
よくよく見るとオバサンの額の真ん中に大きな黒子。
黒子?んんー、何て言ったっけかな?
び‥‥び、び、びゃ‥‥びゃく‥‥。そうだ『白毫』!
ふたりとも今度のチャンスを逃がしたら、さすがにオバサンも怒るよな。
(おわり)
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