【読書記録】可燃物/米澤穂信
こんにちは!本日はこちらの作品をご紹介したいと思います。
こちら1月中旬の読了です。
1月に読んだ本は紹介したいものが多くて、読書記録待ちが渋滞中。
ミステリー絶賛入門中の私。
『このミス』など、ミステリー作品のベストランキングで1位に輝き、今、最も注目を浴びているミステリー小説を選びました。
警察が主人公の、警察による事件解決短編集です!
やはり評判なだけあって、本当に面白い作品でした!
魅力的な主人公、葛警部
主人公は刑事部捜査第一課の警部、葛。
彼の、淡々とした語りが特徴の本作。この淡々とした語り口こそが読者を引き込み、読み手はまるで、葛の頭の中に入り込んだような感覚に陥ります。
事件に関係する人物をあぶり出し、部下を使ってひたすら情報収集をする。
集めた情報をピックアップし、つなぎ合わせて仮説を立てる。
あるときは自らの立てた仮説をも疑ってかかり、徐々に真相へと近づいていく・・・
5編全て通して読んでも、葛という人物像にはほとんど触れらていません。
ひいて言うならば、彼や彼の部下たちは昼夜問わず働き、相当の激務をこなしていることは伝わってきます。
あくまで物語は、相当な激務の下にあっても精鋭さを欠かない葛の思考力でもって、事件を軸として淡々と展開・・・。
こう表現すると、「この作品は単調なのか?」と思ってしまうかもしれませんが、そうではなく、ずるっと引き込まれて、先が気になって、あっという間に読み切ってしまうと思います。
これが、短編作品に秀でた米澤穂信さんの圧倒的な筆力なんですね。
リアリティのある事件に、予想ができない結末
一部あらすじにもありましたが、題材になっている事件は以下のとおり。
スキー場の遭難事件
高齢者宅への強盗傷害事件
山中のバラバラ遺体遺棄事件
住宅街での連続放火事件
レストランでの立てこもり事件
こう、羅列してみるとなかなかインパクト大なんですが、事件そのものの衝撃度は(個人的に)普通で、「いつかニュースで見たことがあるような事件だな」という印象すら持ちました。
いつか、どこかで起きたことがありそうな事件なんですが、どの事件にも、予想をひっくり返すような真相が隠されています。
この真相が分かったときの爽快感は、ミステリー小説ならではの王道な読後感というのでしょうか。
でも、この作品が描き出していることで特徴的だったのは、刑事たちが血みどろになって集めた情報の中には、当たり前のように不要な情報も存在することだったように思います。
必要な情報を得るためには、文字通り地を這うような、地道な捜査が必要なんですね。
題材になっている事件も現実的でしたし、警察の捜査過程なんかもすごくリアリティがあり、大満足の作品でした。
シリーズ化に向けて、期待大・・・!
こちらの作品、本当に面白くて満足度が高かったのですが、だからこそ、
もっと読みたい、と思ってしまうような作品でした。
作品の概要にも
「群馬県警を舞台にした新たなミステリーシリーズ始動」
とあったので、これはシリーズ化・続編を期待しても良いですよね、きっと・・・!
まだ決まったわけでも何でもないのに、楽しみにしている自分がいます。
本屋大賞にもノミネートされそうな作品だと思ったのですが、惜しくもノミネートは逃してしまいましたね。
こちらの作品をきっかけに、また私の中で目の離せない作家さんが1人増えました。
この記事を読んで、米澤穂信さんの『可燃物』気になった方は、ぜひ手に取ってみてください!読んだことのある方は、コメントでぜひ感想を教えていただけるとうれしいです^^
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