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【読書記録】可燃物/米澤穂信

こんにちは!本日はこちらの作品をご紹介したいと思います。
こちら1月中旬の読了です。
1月に読んだ本は紹介したいものが多くて、読書記録待ちが渋滞中。

2023年ミステリーランキング3冠達成!
(「このミステリーがすごい!」第1位、「ミステリが読みたい!」第1位、「週刊文春ミステリーベスト10」第1位)

余計なことは喋らない。上司から疎まれる。部下にもよい上司とは思われていない。しかし、捜査能力は卓越している。葛警部だけに見えている世界がある。
群馬県警を舞台にした新たなミステリーシリーズ始動。

群馬県警利根警察署に入った遭難の一報。現場となったスキー場に捜査員が赴くと、そこには頸動脈を刺され失血死した男性の遺体があった。犯人は一緒に遭難していた男とほぼ特定できるが、凶器が見つからない。その場所は崖の下で、しかも二人の周りの雪は踏み荒らされておらず、凶器を処分することは不可能だった。犯人は何を使って〝刺殺〟したのか?(「崖の下」)

榛名山麓の〈きすげ回廊〉で右上腕が発見されたことを皮切りに明らかになったばらばら遺体遺棄事件。単に遺体を隠すためなら、遊歩道から見える位置に右上腕を捨てるはずはない。なぜ、犯人は死体を切り刻んだのか? (「命の恩」)

太田市の住宅街で連続放火事件が発生した。県警葛班が捜査に当てられるが、容疑者を絞り込めないうちに、犯行がぴたりと止まってしまう。犯行の動機は何か? なぜ放火は止まったのか? 犯人の姿が像を結ばず捜査は行き詰まるかに見えたが……(「可燃物」)

連続放火事件の“見えざる共通項”を探り出す表題作を始め、葛警部の鮮やかな推理が光る5編。

Amazonより

ミステリー絶賛入門中の私。
『このミス』など、ミステリー作品のベストランキングで1位に輝き、今、最も注目を浴びているミステリー小説を選びました。
警察が主人公の、警察による事件解決短編集です!

やはり評判なだけあって、本当に面白い作品でした!

魅力的な主人公、葛警部

主人公は刑事部捜査第一課の警部、葛。
彼の、淡々とした語りが特徴の本作。この淡々とした語り口こそが読者を引き込み、読み手はまるで、葛の頭の中に入り込んだような感覚に陥ります。

事件に関係する人物をあぶり出し、部下を使ってひたすら情報収集をする。
集めた情報をピックアップし、つなぎ合わせて仮説を立てる。
あるときは自らの立てた仮説をも疑ってかかり、徐々に真相へと近づいていく・・・

5編全て通して読んでも、葛という人物像にはほとんど触れらていません。
ひいて言うならば、彼や彼の部下たちは昼夜問わず働き、相当の激務をこなしていることは伝わってきます。

あくまで物語は、相当な激務の下にあっても精鋭さを欠かない葛の思考力でもって、事件を軸として淡々と展開・・・。
こう表現すると、「この作品は単調なのか?」と思ってしまうかもしれませんが、そうではなく、ずるっと引き込まれて、先が気になって、あっという間に読み切ってしまうと思います。

これが、短編作品に秀でた米澤穂信さんの圧倒的な筆力なんですね。

リアリティのある事件に、予想ができない結末

一部あらすじにもありましたが、題材になっている事件は以下のとおり。

  • スキー場の遭難事件

  • 高齢者宅への強盗傷害事件

  • 山中のバラバラ遺体遺棄事件

  • 住宅街での連続放火事件

  • レストランでの立てこもり事件

こう、羅列してみるとなかなかインパクト大なんですが、事件そのものの衝撃度は(個人的に)普通で、「いつかニュースで見たことがあるような事件だな」という印象すら持ちました。

いつか、どこかで起きたことがありそうな事件なんですが、どの事件にも、予想をひっくり返すような真相が隠されています。

この真相が分かったときの爽快感は、ミステリー小説ならではの王道な読後感というのでしょうか。

でも、この作品が描き出していることで特徴的だったのは、刑事たちが血みどろになって集めた情報の中には、当たり前のように不要な情報も存在することだったように思います。

必要な情報を得るためには、文字通り地を這うような、地道な捜査が必要なんですね。

題材になっている事件も現実的でしたし、警察の捜査過程なんかもすごくリアリティがあり、大満足の作品でした。

シリーズ化に向けて、期待大・・・!

こちらの作品、本当に面白くて満足度が高かったのですが、だからこそ、
もっと読みたい、と思ってしまうような作品でした。

作品の概要にも
「群馬県警を舞台にした新たなミステリーシリーズ始動
とあったので、これはシリーズ化・続編を期待しても良いですよね、きっと・・・!

まだ決まったわけでも何でもないのに、楽しみにしている自分がいます。

本屋大賞にもノミネートされそうな作品だと思ったのですが、惜しくもノミネートは逃してしまいましたね。

こちらの作品をきっかけに、また私の中で目の離せない作家さんが1人増えました。

この記事を読んで、米澤穂信さんの『可燃物』気になった方は、ぜひ手に取ってみてください!読んだことのある方は、コメントでぜひ感想を教えていただけるとうれしいです^^

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