「家族」について
私は最近、「家族」という関係性について考えていて、「家族」という関係も作っていく、作り続けていくものなんだなと感じている。
私は家族の中で「娘」という立場で、もう家族ができあがっている状態の中で暮らしてきたため、家族があることが当然でこの関係性を作っていくという考えは全くなかった。しかし、最近母が突然体調を崩し、医師からは死ぬかもしれないと言われ、母は入院した。結果的に母は2週間後に退院したが、母がいない状況で2週間父と私だけで過ごしたことで、母について知らないことが多いことがわかった。
わかったこととして一番大きかったのは母の家事負担の多さと大変さである。
私はひとり暮らしをしているため家事はある程度できるが、実家では全く家事をしていなかったため、3人分の家事がどれだけ大変かわかっていなかった。
例えば食器洗いはひとり暮らしであれば朝使った食器はシンクに置いておいて、夜まとめて洗うということもできる。しかし、3人分となるとそうはいかないので、朝、会社に行く前に洗う。(というかその前に母は朝早く起きて一人で朝食と弁当を作っていた!)
そして、朝、洗濯物を干してやっと会社に行く。これら全て朝の7時までには終わらせていた。
夜ご飯も会社から帰った後に作り、私たちが食べ終わったら食器を洗う。
今、文章にしてみると母の大変さを改めて感じるとともに自分の何もしてなさに腹がたつ。母がいない間、なんで私は自分の生活をこんなにも母に押し付けていたんだろうと猛省した。私の家族は仲は良いが、私と父は母を家政婦のように扱っていた。性別役割分業が根強いこの国ではこの状態は普通のことなのだと思う。私も普通だから何も考えず母に負担を押し付けていた。でもやっぱりおかしかった。既存の価値観に縛られていると、社会的な役割に押し込まれ、他者を人間として尊重できなくなる。(←私は本当は性別役割分業についてわかっていたが、気づかないふりをしていた気もする、、、)
母がいない間は私と父で協力して家事をした。父も母の大変さを身にしみてわかったようだった。
2週間後、母が退院してからは最初のうちは私と父で家事をし、母が元気になってからは3人で分担して家事をするようになった。(分担してといってもランダムでできる人ができる家事をやるという感じ)
母がいない間、家事以外にも変化があった。私と父は軽い話はするが、深い話はあまりしたことがなかった。しかし、母が死ぬかもしれない状況の中で悲しみを分かち合う同士のような連帯感がうまれ、今まで私のトラウマとなっていた家族の問題について父に話すことができた。
この問題は私が幼い頃からあり、家族全員が当事者であったため、私は誰にも話すことができなかった。しかし、この話をあるきっかけにより父に打ち明けたことによって、父はこの話を受け止め、この話をする前よりも状況を良くすることができた。この話を打ち明けた後は、過去の問題や母が抱えていたけど、私が知らなかった問題、父が抱えている問題など、今まで話しづらかったことを話せるようになった。以前は父に対して、「なにを言ってもどうせわかってもらえない」という諦めや不信感をもっていたが、話しをしたことで、一人の人間として尊重されているような満足感(←肯定感?とも違うし、とにかく満たされた気持ちになった!)を得られた。
母の入院前後で明らかに家族の関係性は変わった。母がいなくなったことで、母という存在が逆に明確になり、同時に私たちの怠惰も明らかになった。
なので、今までの役割を組み換え、作り直した。
私は今の家族は好きである。以前は家族の中の一人ひとりは好きだけど、「家族」は嫌いだった。私は自分のこの感情の正体がわからなかった。でも、今回家族を作り直したことで、私は家族の弱者が苦しむシステムが嫌いだったのだとわかった。この国の家族システムは家長(男)を一番として、その下に女、そしてこども(特に幼いこども、女)という力関係になっている。私は幼い頃は一番の弱者で本当に苦しかったが、今はおとなになり、母を搾取する側になっていた。以前はこの関係性をなんとなく感じとっていたから、「家族」が嫌いだったのだと思う。しかし、今はなぜ嫌いか明確に言葉にすることができ、話しをして、相手のことを知って、母の役割の大変さも身にしみてわかり、自分たちにとってよりよい役割分担をすることができるようになったから「家族」が前よりも好きになったのだと思う。
まだ「家族」というあり方が苦手だと感じることもあるし、また役割分担が偏ってきた!と感じることもあるので、「家族」を大切に思うなら、ひとつずつ話しあって、相手を尊重できる関係性を作る努力をしていかなければならないのだと思った。
私は人があまり好きではないが、今回の家族変動を経験し、関係性を他者と協力して作り上げていく楽しさに気づいた。
そしてそんなときにミン・ジビョンさんの「私の最高の彼氏とその彼女」を読み、新しい恋愛を作り上げていく主人公たちに励まされ、なんか、もっと、他者と0から関係築きたい!!という謎の欲望が湧いてきている。
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