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恋と好きは(水溶性の)盲目

恋は盲目とはよく言ったもんだ。

他者への感情のうち、全てが好きで出来ているわけじゃない。
よく分からんなあとか、こういうところ苦手だなあとか、ここは嫌いだとか合わないとかもある。
そういうのが円グラフの中でマーブルを描いて、その中で好きの色合いが多ければ「この人は好ましい」とか「この○○は好ましい」になるんだと思う。

人生で出会った人の中で全てが好きだと感じた人は誰もいない。どこか多少悩ましいところがある。
でも、好きだ!!!!があんまりにも強い色をしていて、負の感情を覆いつくすとちょっとのことは目をつぶり、全部好き!!!!になっちゃうのかもしれない。正気の頭で考えれば全部好きなんてまやかしなのにね。

わたしは結構「全部好き!!!」で瞬間的な感情を塗りつぶしがちなところがある。なんかね、浮かれやすい。
恋とか好きとかハマりたてのものとか。普段の感情や興味が浅く薄い色のせいかもしれない。あるいは自分がないからかもしれない。
理由はともあれ、浮かれてアホになって「好きだから、そういう苦手かもしれないところもいいじゃないか、好きなんだし」「まあまあ好きなんだし、そういうイラっとする言動もいいじゃないか、好きなんだし」「好きだから、多少ルーズで、多少?合わなくても許そうじゃないか、好きなんだし」とまあこんなふうになりがちである。
好きを免罪符にしているだけで、実際は全然よくないし許してないし腹はたってるし苦手なまんまだ。
塗りつぶしてる好きの色は水溶性だし。うっすい色で見えなくなってる本来のわたしの感情は油性のため、好きと混ざりもしなければ消えることもない。薄いくせに強固なのだ。めんどくさいもので。

だから、きっかけ一つで正気に戻ってしまうと、揺り戻しのように冷める。
水ぶっかけたら水溶性絵の具流されちゃうのと同じで。水で溶けたせいで元の色がどんなだったかもう思い出せない。
もう一回同じ状態に戻すのは無理だ。一度そうなったらもう二度目はないのだと思う。二度、全く同じものは築けない。

で、まあなんというか今そんな感じ。
そんな感じの心模様だけど、生活はそのまま継続しなければいけなくて、天秤にどう乗せてバランスを取ったらいいのか手探りだ。
感情の切り替え早すぎ?いやでも、急に冷めたように見えるだけでさ、本当はちょっとずつちょっとずつ水で流してて、それを目を瞑ることで誤魔化してただけなのよ。結構前から好きの絵の具流れてんの。
浮かれるのも盲目になるのも、悪くない。けど、盲目にならずにちゃんと目を開けたまま好きになれるような関係がしたいな〜〜〜〜〜切実。