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仕事はじめとわたしB

仕事が始まった。
数ヶ月休んでいたのが嘘のように毎日5時45分に目が覚める。お弁当を詰めて、前よりずっときちんと化粧をしてお気に入りのピアスをつけて、バスに乗り、電車を乗り継ぎ職場へ向かう。
仕事は紆余曲折あってなぜか前の職場に復職した。なんでや、という気持ちもありつつ、まあそうなるだろうなとわかっていた自分もいる。

前の職場だけど、前の部署ではない。
新しい組織図が配布されていないし、全社的に説明されていないのでわたしの今の立ち位置はふわふわしている。
どの部署でとか、なにをやってもらうつもりで、みたいなのは説明されている。でもほんとふわっふわなのだ。わたがしでももうちょっとしっかりしてるくらいにふわっふわ。
周りからみるとなにしてるかわかんない人で、でもなにかしらの仕事はしてるんだろうなあみたいな人になっている。
ふわっふわすぎて、正直以前のわたしだったら不安を覚えていただろう。不確かさと手触りのなさに怯え、恐慌状態になり、メンタルをぐずぐずにしつつ自分の無能さを意味なく呪っただろう。
でももうそんなところは抜けてしまった。たぶん、一回会社辞めちゃったから怖いものがなくなってしまったんだと思う。

だから、そのふわっふわさを「あーなにやっても、なにをしても、別に怒られずに好きになってよい感じのポジションなんだろうな」と良いように解釈することにした。
いちおうシステム担当になるらしい。算数も困難で、プログラミングのプの字もわからないのに大層な名前がついてる。
大層な名前に見合うようにちょっとずつ勉強しようと思う。あと使えた方が会社のためになるソフトがあって、それもちょっとずつ取得していくつもりだ。

デザインとかできたらいいなあと思っていた。あこがれがあった。
休んでいろいろ考えるうちに自分には合ってないことに気づいた。ただ、あこがれを拗らせていただけだ。
それより黙々粛々と出来るもののほうが得意なんだし、そっちをもっとのばすことにする。自分の長所をやっと自覚できた。
うーんおやすみしたの、無駄じゃなかったな。

パソコンのデスクトップにふせんがはってある。TODOメモみたいなの。
その一行目にひらがなでこう書いた。

「あんまりひとにかまいすぎない」

他人の手助けももちろんしたい。でも、自分の手助けと仕事とやりたいことだって優先したい。だから魔法のことばとしておいている。
一度仕事辞めて、あのときずっと働いていた職場のわたしAは一度死んだのだ。
地続きではあれど、すこしあたらしいわたしBとして働いていく。

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