近畿大学 司書 【図書館サービス概論】 試験問題と解答例 2024年4月入学


【問題】

閲覧サービスについて、貸出サービスとの関連とともに説明し、今後の課題を列挙してください。 

【解答例】(良78点)

 図書館サービスには、直接利用者と接しない事務所側で行われるテクニカルサービスと利用者のさまざまなニーズに応えて直接的・具体的に利用者へ行われるパブリックサービ スがある。閲覧サービスおよび貸出サービスはパブリックサービスに該当し、ここで1. 閲覧サービスと貸出サービスの概要と関連性、2. 今後の課題を述べる。

1. 閲覧サービスと貸出サービスの概要と関連性
 閲覧サービスは現代の図書館サービスの中で最も基礎的なもので、図書館内で図書館の資料を読んだり調べたりすることである。閲覧の対象は、図書の他に、映画等のDVDや音 楽CDといった電子媒体も閲覧サービスに含まれる。また現代の図書館は利用者自身が読みたい本を選ぶことができる開架式が一般的で、多くの資料から自由に手に取って試し読みができたり、偶然に求めていた資料が見つけられるようなブラウジングの効果も得られる。
 貸出サービスは、利用者が資料を期限付きで借りることができるサービスで、図書館の館内で開館時間内に閲覧するという制約を受けずに、利用者が資料を読むことが可能である。
 閲覧サービスと貸出サービスが強く関連する点は、戦後に公共図書館が無料で誰でも資料を閲覧できるようになったのは大きい。誰でも無料で様々な資料を閲覧することができるようになったことで、市民による読書の意欲が高まり、図書の貸出サービスも利用されるようになった。この背景には図書館法の図書館無料の原則と、『中小レポート』による貸出サービス強化が挙げられる。戦前では利用料金を徴収する図書館が多かったものの、1950年に成立・施行された図書館法の第17条の図書館無料の原則によって解放された。そして1963年の『中小都市における公共図書館の運営』、通称『中小レポート』が運営基準が提起され、館外貸出が強化された。

2.今後の課題
 閲覧や貸出の数については戦後伸び続けてきたものの、その質も考えるべきである。公共図書館の閲覧サービスおよび貸出サービスの課題には、①地方自治体の財政状況と資料の収集、②レファレンスサービスの充実、③情報技術発展による資料の多様化が挙げられる。
 ①については地方自治体の財政状況が厳しくなっている昨今では、資料収集の充実化に 直接影響し、利用者の求める資料がタイムリーに揃えられなくなる可能性がある。利用者が求める資料が無ければ、閲覧する利用者数とそれに付随して貸出数も減少する可能性が ある。
 ②は先述したように、『中小レポート』によって貸出数は伸びたものの、貸出サービスに特化したことによって司書によるレファレンスサービスは利用者が少ないのが現状である。情報が多くある現代では特に利用者全員が求める資料を効率的に探索し、適切な資料探し出すことが難しくなっている。専門職である司書と協力することが求められている。利用者によって有意義な資料に出会い、質の高い閲覧サービス・貸出サービスが実現させることが、 今後の図書館発展には必要であると考えられる。
 ③は情報技術発展により、図書館の資料は図書やCD・DVDなどに限らず、データベースや電子書籍など多岐にわたる。②の情報探索に加えて、情報リテラシーは閲覧サービスを有意義にするためにも必要であり、情報技術が使いこなせる人と使いこなせない人で格差が生まれないよう、図書館側から利用教育をあらゆる人に施すことで、利用者のための閲覧・貸出につながると考えられる。

【感想】

試験日は2024年6月16日でした。初めて試験を受けた科目だったのもあってか、結果は良 78点と微妙でした。あと2点あれば優だったのに、、、
一発合格できたので良しとするかーという感想です。


※注意
解答の丸写しはしないようにお願いいたします。
皆さんの参考になれば幸いです。

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