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近畿大学 司書 【図書館情報資源特論】 試験問題と解答例 2024年4月入学


【問題】

地域資料の活用と情報サービスについて述べてください。また、公立図書館の情報発信ツールの事例を挙げ、今後の課題を述べてください。

【解答例】(良79点)

 はじめに地域資料の活用と情報サービスについて述べ、次に公立図書館の情報発信ツールの事例、最後に今後の課題を述べる。

(1)地域資料の活用と情報サービス
 地域資料は郷土資料と地方行政資料の図書や記録などのことである。郷土資料は民間の出版者や団体が発行した情報資源のことであり、地方行政資料は国や自治体が作成した情報資源のことである。地域資料は、その地域の事情や住民の希望に沿った図書館サービスのために収集する情報資源の一つである。
 図書館での情報サービスには、利用者の質問や相談の対応、他の図書館の相互協力、広報・情報発信といった直接的なものとレファレンスコレクションの構築やレファレンス記録・保存・事例研究・分析などの間接的なものがある。
 住民の課題解決において、地域資料の活用による情報サービス提供は重要な役割を果たす1つの要素である。その地域の行政・自治体サービスといった暮らしに役立つサービスや、文化・民俗・歴史といったその地域にまつわる事柄を継承していくことが期待される。 そのためにも、各公共図書館に地域資料の収集・保存・提供だけでなく、住民に寄りそうレファレンスサービスや学校やMLA連携などの関連機関との協力、歴史資料のデジタルアーカイブ化・インターネットによる公開展示やイベント開催などの情報発信によって、地域資料の活用と住民の課題解決につながると考える。

(2) 公立図書館の情報発信ツール
 公立図書館の情報発信ツールとして、デジタルアーカイブ・インターネットを利用した① デジタルアーカイブと②地域資料を活用したイベントの事例を挙げる。
 
①デジタルアーカイブ
 図書館や博物館、公文書館による、所蔵資料をデジタル化して保存・整理し、ホームページ等で公開され、デジタルアーカイブとして電子資料を保存・公開した事例として鳥取県立図書館の「とっとりデジタルコレクション」がある。資料保存と地域文化の再認識や活性化につなげるため、鳥取県立図書館、鳥取県立公文書館、鳥取県立埋蔵文化財センター、鳥取県立博物館が所蔵する資料をデジタル化してインターネット上で公開している。2021年3月に運用開始し、同年9月から「ジャパンサーチ」からもデジタルコレクション所蔵資料の検索が可能になっている。
 
②地域資料を活用したイベント
 地域資料と参加型イベントの開催によって住民に対して地域を身近に感じさせる事例として新宿区立角筈図書館による「『江戸名所図会』であるく柏木 角筈~江戸時代の名所・旧跡を探訪~」というイベント事例を挙げる。新宿区の今と昔の姿を知り、地域の理解と愛着がもてるように開催され、図書館が作成した資料をもとに柏木角筈地域の5か所を歩いて回った。イベント後には、イベント時の写真や配布資料、地域資料紹介コーナーなどを図書館内に設置した。図書館がイベントを通じて地域資料の発信を行った事例である。
 
(3)今後の課題
 今後の課題として挙げられるのは、各自治体によって公立図書館による地域資料の収集や保存に差があること、専門職員の不足による保存や地域資料の分類や書誌作成などの組織化が進まないことが挙げられる。
 近年の地方自治体の財政状況のひっ迫によって図書館に関連する予算が不足することが多い。予算の不足によって設備費や人件費が削減されることから、先述した課題が生まれると考えられる。

【感想】

図書館情報資源特論の範囲は地域資料に限られているので、勉強しやすかったです。実際の試験もレポートで書いた内容を抜粋している箇所もあります。

レポートと同様に参考文献で『事例で学ぶ図書館情報資源概論』を利用しました。この本には大変助けられましたので、内容の肉付けや事例を挙げる際におすすめです。

点数が79点と、あと1点おまけにしてくれたら、、、という思いもありますが、合格できたので良しとします(笑)



※注意
解答の丸写しはしないようにお願いいたします。
皆さんの参考になれば幸いです。

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